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狭い部屋から

暗くて狭い部屋でたった一つのパソコンの明りを頼りに今日も、一日をすごしていた。

「高志!!」

「なんだよ! ババァ!」

「いつまで部屋に、閉じこもってるの!! いい加減働きなさい!! このニート!!」

「うるせー! 俺は今、この狭い世界で見聞を広げてるんだよ!! 邪魔するな!!」

「何が見聞よ! お前がそういうなら、こっちにだって考えがありますから!!」

企みの言葉を残して立ち去って行った。

「ふん、やれるもんならやってみろ・・・」

俺は重たい身体を起こしながら、部屋のドアまで近づきよく耳を澄ましながらドアノブに手を掛けゆっくり扉を開けた。扉を少し開け顔を覗き込ませ、廊下の周りを警戒しながら、自分の昼食分を部屋に入れた。

「クソ・・・あのババァ・・・俺の嫌いな食べ物ばかりじゃん・・・」

文句を言いながらもお腹の空腹感を満たす為には、食べなければ仕方がなく、適当に座りお盆に添えられていた箸に手をかけ昼食を口にする。「・・・」

黙々と食べていると、物凄い勢いで扉を叩く音が部屋中に広がった。

「うるせー!! 誰だ!」

「兄ちゃん、早く出て来い!! 母さんに心配をかけるな!!」

「うるせ! 誰にも迷惑かけてねぇーだろ!!」

「だったら早く出てけ!!」

妹の名前は(赤沢 守花)は学校から帰ると、いつも『早く働けとか出てけ』の事ばかりだ、俺だって好きでニートになったわけではないのだ・・・俺がニートになったきっかけは3年前の冬の頃だった。その前から、真面目で何でもそつなくこなし言われたことには仕事を1日で終わらせていた。

そんな、当たり前のサラリーマンをしていたのだったが・・・突然のリストラ宣言だ。

「えっ、なっなんでですか・・・課長」

「いろいろあるんだよ。あっこれは、上からだから俺は知らんよ。君、何かしたんじゃないのか?」

「何も、していませんよ!!」

「まぁ~、とにかくだ。次の仕事では、言われないようにな」

課長は呑気に伝え、周りの同僚はクスクスと笑う声が聞こえた。俺は、そのショックと人間不信のあまり家に帰って来るや否や、部屋に閉じこもり今に至るということだ。

家族は俺が仕事に行かない理由、閉じこもった理由すら何も聞かなかい、親にも心を閉ざしていた、親は「働け」と強引な物言いをするだけだ。

「何も、知らない癖に働けとか言うなよ・・・」

ただただ俺は俺なりに、悔しく空しい生活を送るのに苦痛で仕方がない、自殺もしようかと考えたこともある・・・パソコンのサイトの書き込みは苦しいから途中で辞めたwというレビューで諦めた。死にたいが死ぬ勇気もなければ人間社会を渡って行けるかどうか自身がないのだ。

俺は溜息を吐きながら、さっきまで空腹の身体が満腹に満たされ、心地良い眠気へと誘われた。


                     ※


どれぐらい寝ていたのか分からないが、目が覚めると見知らぬ場所に居た、辺りは夜の感じだが明るく照らされ賑やかな所だった。

「えっここは・・・」

「やぁ~ようこそ。ここは最近、出来たエルドランドパークだよ~ん!! つまり、遊園地だよ。しかもね、ボクがここの支配人だよ~ん♪」

疳高い声で挨拶をし、とてつもなく変てこりんなウサギがそこに居た。

胡散臭い雰囲気と関わりたくないという気持ちでいっぱいだった。

「あの~確か俺は、部屋に居たはずなんだけど・・・」

「おかしいな。君は、1人でこのテーマパークに遊びに来たんじゃないの?」

「そうだったかな・・・」

「それよりさぁ~、き・み! 右手に持っているのは何のチラシ?」

「えっ」

そう言われいつの間に手にしていたのか分からない、くしゃくしゃに丸められたチラシを両手で開いていく。

エルドランドヒーローショーの正社員募集チラシだ。内容は、《担当隊員:レッド(リーダー)時給:20万円・ボーナスあり★休日:不定期★定年:退職未明。即、採用。》と書かれていた。

「えっ・・・ヒーローショーの正社員しかも、リーダー」

「あぁー! それは、エルドランドのヒーローショー募集のチラシだったんだね♪」

俺は、エルドランドの支配人と名乗ったウサギの声に俺は、少し吃驚した。

「きみに、ピッタリだね♪ きみの髪の毛も赤だし、それに苗字も赤沢って付くしね♪ しかも、男だし♪採用♪ 」

「えっ、採用・・・。」

何が何だか分からないまま、採用と言われ適当だと感じながらも、悪くない物件なので断る理由もなかったから俺は、小さく頷いた。

「本当!! 嬉しいな! 君が最後だったんだよ! 司会のお姉さんとグリーンとブルーとイエローとピンクは、決まっていたんだけどね♪ いやぁ~君なら¨OK¨してくれると思ったよ♪」

そう言ってウサギは俺の右手を握りしめ、パークの出口まで案内してくれた。ウサギは、俺の背中を押した後、背筋を伸ばし敬礼のポーズでこう言った。

「明日からよろしくね♪ 赤沢 高志くん。」

「えっ」

急に勢いをついた風が俺の視界を奪う、気が付くとさっきまで居たウサギの姿は何処にもく、静まり返った不気味さの残るテーマパークが広がっていた。

「俺は一体いつ、ここに来たんだろう。」

不思議さを感じながら俺は通ったかどうか、覚えていない来た道を淡々と家の方に誘導されている様に感じた。家に辿り着くと、玄関先で母と父と守花が居た。

父が俺に気づき。

「高志、今まで何処に行ってたんだ。母さんを心配させるな。」

俺は、何も覚えていないので何も言い返す事が出来なかった。

「高志あんた、就職するって言って、こんな時間に家を出て行ったのよ!! 自殺かと思ったじゃない!」

母はさっきまで泣いていたのだとはっきりと気づいた。母は俺の両手を優しく握りしめ。俺は質問した。

「俺・・・そんな事言ってたのか?」

「そうよ。だからちゃんとした、格好で行ったのよね。」

俺は、母にそう言われて気が付いた。

(いつのまに・・・この服)

「で、就職はどうだったの? 採用されたの?」

「えっ・・・採用・・・された。」

父と母はその言葉を聞き、とても嬉しそうに、俺を家の中に入ろうと言った。俺は、何だか安堵して家に入ろうとしたら、守花が不思議な言葉を俺にだけ聞こえるように呟いた。

「兄ちゃん。やるなら命を賭けてこの世界を守って。私も守るから」

そう言って守花は先に、家に入って行った。

一体、守花は何が言いたかったんだろうか・・・。


つづく











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