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神様の定食屋  作者: 中村 颯希
秋の部
23/27

肉じゃがか、カレーか(後)

「へえ。感じのいいお店だね。まさか哲史が定食屋なんて、ほんと意外」


 カウンターの一席に通された夏美は、バッグを置くや、出会ったときそのままの、愛想のいい笑みを浮かべて話し出した。


「私、この辺は滅多に通らないんだけど、今日はたまたま近くで人と会っててさ。夕飯食べ損ねて、お腹ぺこぺこー、って思ってたら、急にいい匂いがしたもんだから、つい立ち止まっちゃったの。だから、狙ったわけじゃないんだ、ほんとに」


 ハキハキと話す夏美は、この状況になんら物怖じしていないように見える。

 だが、手を伸ばされないままゆっくり冷えていくおしぼりや、時々くしゃりと潰すようにして掻き上げられる髪が、彼女の緊張を物語っていた。


「知らなかったよ、哲史がここで働いてたなんて。だって、その」


 やがて、静まり返った空間で、一人まくし立てる状況に心折れたのか、夏美が諦めたように目を伏せる。


「……元気だった?」

「うん」


 俺もまた、なんと声を掛けていいものかわからず、短く頷くのが精一杯だった。


(もー、せっかく再会したなら、もっと和気藹々と話せばいいのに。というか、そういうことなんだよね? やっぱり、みーちゃんのカレって、しーくんだったんだよね?)


 そんな中、脳内の亜紀さんだけが、目を輝かせる勢いではしゃいでいる。

 執拗に好みや付き合い遍歴を確認していたのは、彼女なりに俺の正体を照合しようとしていたからなのだと、このときになって俺はようやく思い至った。


(ほらほら、沈黙が痛々しいよ。なにか話して。一年ぶりでしょう? 変化はたくさんあるじゃない。髪型とか服装とか体型とか。それにほら、みーちゃん、お腹空いてるって)


 亜紀さんに急かされ、慌てて漬物の乗った小皿を差し出す。

 定食に添える漬物を、夜営業の際には先付けとして出しているのだ。


 皿の立てる、こと、という小さな音が、一層店内の静寂を際立たせるような気がして、俺は焦りながら会話の糸口を探った。


「これ、ひとまずつまみ代わりに。ええと……髪、伸びたな。それに、痩せた?」

「ああ、うん。まあねー」


 だが気のせいか、夏美の笑みは一層ぎこちなくなったように見えた。


「それと……そういう格好、するんだな。その……スカートっていうか、可愛い系の」

「はは。お嬢様チックで笑えるでしょ」

「いや。笑えるとかじゃ、全然」


 実際夏美は、可愛かった。


 以前の彼女は、動きやすさ重視のジーンズやショートパンツ、そうでなければ、スエットのような服を好んで着ていたし、髪も短く、ほぼすっぴんで、どこか少年のようだった。

 それが今や、肩まで伸ばした髪を下ろし、白いニットとふわふわしたスカートをまとい、淡い色の口紅を塗っているのである。


 おしとやかな雰囲気は亜紀さんそっくりで、つまりそれは、好みか好みじゃないかで言えば、俺のタイプど真ん中なわけで。


 先ほどから俺は、これは本当に夏美なのかと違和感を抱きながらも、どぎまぎとしていたのであった。


「意外だけど……ええと、可愛い、んじゃないのかな」


 勇気を振り絞って告げると、しかし彼女は、なぜか恥じるようにして再びくしゃりと髪を押しつぶす。

 そして、唐突に席を立った。


「ごめん。そういえば今日、持ち合わせが全然ないんだった。日を改めるね」

「えっ! い、いや、大丈夫!」


 このままでは彼女は、俺の前から永遠に去ってしまう。

 それを悟った俺は、亜紀さんが、(嘘だよ。しーくん止めて!)と指示を出すよりも早く、本能的にカウンターに身を乗り出していた。


「実はもう、閉店してて。カレーを……明日のカレーを、仕込んでただけなんだ。だから、カレーなら、タダでいいから。試食してってくれないかな。そう、味見」


 自分でも強引だと思う説明だ。

 案の定、夏美は戸惑ったように笑い、首を振った。


「それでも悪いよ。それにほら、今日私、白い服着てるし、カレーはちょっと」

「あ、洗えばいいじゃん! うち、シミ抜き用の洗剤とか炭酸水とかも用意してるし!」


 必死すぎてドン引きされやしないかと、我ながら心配だ。

 いっそ泣きたいと思いながら、俺は思いつく言葉を次々ぶつけた。


「よくいる、よくいるんだよ、カレー飛ばしちゃうお客さん! だから俺、シミ抜き得意で。むしろ披露したい。どんなシミだって、俺が華麗に抜いてやるから! カレーだけに!」


 カレーだけに。

 俺はなにを言ってるんだ?


 決まりの悪さに、耳の端が熱くなる。

 しかし俺が、「すんませんでした今の全部忘れて帰ってください」と土下座するよりも早く、なぜか夏美は足を止めた。


「……ほんと?」


 痛みを堪えるように微笑んだ彼女が、いったい俺の発言の何に反応したかはわからない。

 だが夏美は、小さな、縋るような声で、


「じゃあ、……ちょっとだけ、頂いてこう、かな」


 と呟き、おずおずと、席に戻ったのだった。





 ***





 楕円形の、少しざらりとした陶器皿に、炊きたてのご飯を盛り付ける。

 少し空けておいた右側のスペースに、そっとカレーを注ぎ込めば、完成だ。


(私にもやらせて)


 亜紀さんが上機嫌に言うので、一度体を委ねると、彼女は丁寧な手付きでカレーをすくい、なぜかにんじんを一つだけ、白米とカレーの境目に移動させた。


(うん、いい感じ)


 でこぼことしたにんじんが、やけに目立つのは気になったが、これで完成らしい。


「めしあがれ」


 誇らしげな亜紀さんに代わって、レモン水と一緒にカレー皿を差し出す。

 食欲をくすぐるスパイスの香りが、白い湯気となってふんわりと一面に漂ったが、夏美はカレー皿を見つめるだけで、スプーンに手を伸ばそうともしなかった。


「――……これ」


 やがて、彼女はぽつんと問うた。


「このにんじん、なに?」


 視線の先にあったのは、でこぼこな岩石のような形に刻まれたにんじんだった。


 なに、というのは、正体を問われているのだろうか。

 それとも、意図を?


「ええと、これは」

(見ての通り、お星様だよ。茶色い大地に降り立った、輝ける地上の星だよ)


 言いよどんでいると、脳裏の亜紀さんが神妙に答えるので、思わず「えっ」と声が漏れそうになる。


 いや……、道理でにんじんを切るとき、こまこまと包丁を動かしていたとは思っていたが、まさかこれが、星を象っていたつもりだったとは。

 もしや「盛り付けに籠もる亜紀さんらしさ」とは、このことだったのか。


「ほ……星」

(ただの星じゃないよ。茶色い大地に降り立った、輝ける地上の星だよ)

「茶色い大地に降り立った、輝ける地上の星」


 苦虫を噛みつぶした顔で復唱する。


 笑ってくれたらいい。

 せめて、「は?」とツッコミを入れてくれたらいい。


 だが実際にはそのどちらとも違って、夏美は静かに、息を呑んだ。


「……なにそれ」


 ぎこちない笑みを浮かべて、スプーンを握る。

 それから彼女は、ゆっくりと、なにかを恐れるように、カレーを口にした。


 もぐもぐ、と、引き結んだ唇が動く。

 その内側では、豊かな味わいと熱が、みるみる広がっているに違いないと俺は思った。


 とろりと舌を滑るカレー。

 茶色のそれに触れた途端、爽やかなスパイスと、香ばしいにんにくの香りが、鼻まですっと駆け抜けていく。


 くたくたに煮込まれた玉ねぎは歯先でとろけ、にんじんはほんのりと甘い。

 ほくほくしたじゃがいもは、舌の上で転がさなくてはいけないほど熱くて、角切り肉は噛むたびに、じゅわりと塩気と脂を滲ませるだろう。


 いくらでも白飯を掻き込める、誰もが愛する味。

 なのに夏美は、最初の一口を飲み込んだ後、いつまでも動かなかった。


 いいや、よく見ればその手は震え、口に含んだままのスプーンが、カチカチと小さな音を立てていた。


「――……っ、…………」


 涙がこぼれるのを防ぐように、夏美がぎっと皿を睨みつける。


 彼女はスプーンをなんとか引き抜き、素早くおしぼりで目元を拭ったが、すぐにまた涙が溢れてしまったのか、そのままおしぼりに顔を埋めた。


「――……はは。ごめん。……辛くて」


 嗚咽を押し殺すあまり、声が震えている。

 それでも彼女は、ずっと鼻を啜り上げ、俯いたまま強がりを口にした。


「か、辛すぎて、涙出てきちゃった」


 ルーは二つとも辛口ではなかったし、そもそも、夏美は大の激辛好きだったはずだ。

 自分でも無理があるとわかっているのか、それ以上嘘は重ねず、夏美はただ、肩を震わせ続けた。


 肩を滑る長い髪に、薄い肩。

 白い服に身を包んだ彼女は、俺の知らない、弱々しい女の子のようだった。


(ああ、みーちゃん。どうしよう、泣かないで……)


 頭の中で、亜紀さんが困り果てた声を上げている。

 俺もまた、夏美が打ち震える様子を見ていられなくて、気付けば話しかけていた。


「……いったい、どうしたんだよ」


 もしかしたら少し、拗ねたような声になってしまっていたかもしれない。


「夏美。どうしちゃったんだよ。そんな……弱々しくなっちまって」


 そう。

 夏美は、一年前より、痩せていた。


 長く伸ばした髪や、ふんわりした白いスカートは、ほっそりとした体と相まって、たしかに可愛らしいと思うのに、俺はどうしても、それが夏美らしい姿とは思えなかったのだ。


「カレー、好きだったじゃん。辛いもの好きで、刺激ばっか求めてて、うまいもん食ったら、大声で『うまーっ』って笑うやつだったのに。……誰かに合わせて、無理してんの?」


 もしや、新しい男と付き合って、そいつの望む格好をしているのだろうか。

 そいつの望む振る舞いを目指しているのだろうか。


(違うよ)


 だがそのとき、亜紀さんがゆっくりと首を振る。


(私のせいなの)


 ひどく、悲しげな声だった。


 え、と思うのと同時に、俯いていた夏美が、「弱々しい、かあ」と呟く。

 涙にくぐもった声は、自嘲の響きに満ちていた。


 ひんやりとした室内に、くねるようにして揺れる白い湯気。

 針の落ちる音さえ聞こえそうな、静まり返った空間。

 あとは――神様の計らい。


 それらに背中を押されるようにして、やがて夏美は、おしぼりからふらりと顔を上げた。


「急に泣いちゃったのは、思い出したからで……」


 説明しようとして、だが言いよどみ、再び口を閉ざす。

 しばし視線をさまよわせ、「どこから話そうかな」と呟いた後、夏美は覚悟を決めたように、まっすぐ俺の顔を見つめた。


「去年はいきなり、ごめんね。あの日、いきなり哲史に、別れを切り出したのは――」


 はっきりとした、口調。

 だがすぐに、力強さは溶けるようにして消え、夏美はくしゃりと髪を押しつぶす。


「切り出したのは、お……お姉ちゃんが、死んだからなの」


 お姉ちゃん、と口にするとき、彼女は喉を震わせ、堪らずといった様子で口を覆った。


「私の、二個上の、お姉ちゃん。去年、バレエ公演の最中に、火災があって……それに巻き込まれて、死……、死んじゃったの」


 知らなかったし、知っていた。

 この複雑な状況を説明できるはずもなく、俺は軽く俯き、ただ耳を傾ける。


 彼女が何度も言葉を詰まらせながら話したのは、こんな内容だった。


 夏美には、二歳年上の姉、亜紀さんがいた。

 跳ねっ返りの妹とは異なり、いつも穏やかだった姉。

 淑やかで素直な彼女は両親のお気に入りで、親の望むままの進路を辿り、親の営む会社に就職した。

 自慢の娘だと、親はしきりと亜紀さんを褒め称えた。


 一方の夏美は、幼少時からお転婆で、両親の手を患わせてばかりいた。


 母親がそれなりの名家の出とかで、「女は淑やかに、上品に」と何度も叱られたが、そのたびに反発し、元来の活発な性質を強めていった。


 大学でヒップホップに興味を持ち、就活の時期までサークルの友達と練習漬けの日々を送っていると、「そんな下品な遊びをしていないで、まじめに勉強しなさい」と叱られた。

 亜紀さん同様、親の会社で事務員となることを迫られたという。


「私もね、べつにダンサーの夢だけ追いかけてたわけじゃなくて、インストラクターの仕事に就いて生計を、って考えてて。そこを頭ごなしに強制されて、こっちも強く断ったら、すっかり実家から、足が遠のいちゃった」


 俺が知る夏美の職業は、ジムのインストラクターだ。


 一人暮らしを始めると、両親とはすっかり没交渉になった。

 ただ、穏やかで自然体の亜紀さんとだけは、どんな時期でも仲がよく、連絡を取り合っていた。


「それで、去年の今頃、お姉ちゃんに言われて渋々親に電話したら……年末は帰省するのか、みたいな話から、また大喧嘩して。いよいよ絶縁されかけたのね。そうしたら、お姉ちゃんがある日いきなり、……バレエのチケットを送ってきて」


 せっかく滑らかさを取り戻しかけていた口調が、再び途切れがちになる。

 夏美は何度も瞬きをして、カレー皿から目を逸らした。


「どういうつもり、って聞いたら、もうすぐお母さんの誕生日だから、二人でバレエでも見てきたら、って言うの。わかり合えるかもしれないでしょ、って。要は、喧嘩の仲裁」


 お姉ちゃんって優しいからさ、と笑おうとしたようだが、笑みは途中で歪んでしまった。

 鼻の頭が、赤く染まっていた。


「でも、そのとき私、感謝するどころか、……お、怒っちゃったの。なにそれ、って。『お姉ちゃんも、お母さんも、全然わかってない。全然、わかってない』……」


 チケットは、コンテンポラリーダンスでも、モダンバレエですらなく、クラシックバレエのものだった。


 夏美はそれを見てむしろ、「伝統的な芸術しか認めない」と突き付けられたように感じた。

 自分と、自分以外の三人は、やはり住む世界が違うのだと。


 だから夏美は、「母親と一緒に観るなんてごめんだ」と、チケットを姉に突き返した。


「そしたらお姉ちゃんが次の日、『お母さんも行かないそうだし、せっかく評判のいい演目だから、夏美だけでも行ってみたら』って言ったの。お母さんも来ないって聞いたら、私は……なんでかな、ショックで。怒鳴っちゃった。ならお姉ちゃんが行きなよ! って」


 黒々とした瞳に、じわりと涙が滲む。

 それで、と声を震わせる、夏美の話の続きを、俺はもう知っていた。


 亜紀さんは代わりにバレエを鑑賞し、そこで火事に巻き込まれて亡くなったのだ。


「わ……私の、せいなの」


 すっかり赤らんだ頬の上を、透明な涙がぽろりと流れ落ちてゆく。


「私が行くはずの、席に、座っていたせいで。お姉ちゃんは死んだ」

(違うよ、みーちゃん)


 頭の中で、静かな亜紀さんの声が響く。

 だが空気を震わせないその言葉は、次々と涙を溢れさせる夏美には届かなかった。


「お姉ちゃんに、観に行く理由なんて、なかったのに。私が、行けって言ったから」

(違う)

「せめて、一緒に行ってたら……ううん。私が、死ねばよかった」

(違うよ、みーちゃん)


 一向に聞き届けられぬ言葉に、亜紀さんもまた、徐々に声を湿らせてゆく。


(そんなこと、言わないでよ……)


 夏美はとうとう両手で顔を覆い、大きくしゃくり上げた。

 その拍子に、はらりと黒髪が肩を滑ると、真っ赤な目でそれを見つめる。


「……その日から、髪を伸ばしはじめたの」


 消え入りそうな声に、俺ははっと顔を上げた。


 服装。

 髪型。

 すっかり華奢になった夏美をまじまじと見つめ、この一年、彼女がなにをしようとしていたのかを、今さらながらに理解したからだった。


「色も変えた。元の服は、全部捨てた。親の会社に、転職した。私……消えちゃいたかった。『佐藤夏美』も、それを知っている人も、全部消しちゃいたかったの」


 髪を強く握り締めながら、夏美はぼろぼろと涙を流す。

 彼女は、俺を含めた「佐藤夏美」の世界を全部断ち切って、――亜紀さんに、成り代わろうとしていたのだ。


「そんなこと……」

「馬鹿げてるよね。わかってる。でも、そうでもしないと、生きていけないと思ったの。申し訳なくて、苦しくて……親が望んだお姉ちゃんじゃなく、私が生きていくなんて」


 両親は、姉の言動をなぞる夏美を見るたびに、複雑そうな顔をしたが、結局止めはしなかったそうだ。

 おそらく彼らも、喪失感を埋めるのに必死だったのだろう。


 演者も観客も、偽りだとわかりきっている芝居。

 破綻がすぐ後ろまで迫っているからこそ、誰もが必死にそこから視線を逸らした。


 折れた骨が歪んだ形のまま定着してしまうように、夏美たちの生活は、徐々に奇妙な安定を見せていく。

 両親との仲はすっかり良好になり、すると母親は、夏美に見合いを勧めたそうだ。


 それがちょうど、今日だった。


「み、見合い!?」

「うん……。いや、紹介、って言う方が近いかな。二人で食事だけ、してきなさいって」


 ぎょっと目を剥いた俺に、夏美が鼻を啜りながらもごもごと答える。


 互いの顔を確かめるだけの「食事会」。

 やって来た男性は、たしかに母の紹介だけあって、品がよく、穏やかな人物だった。


 静かな会話。

 優しい物腰。

 店も予約してくれていて、自分は付いて行くだけでよかった。


 けれど彼は、夏美がメイン料理を注文しようとすると、何度も口を出してきたという。


 トマト煮込みは論外。

 脂が跳ねるから、ステーキもだめ。

 匂いが強い料理も品がない。

 カレーソースなんて、まずありえない。


 だって、女の子が、それもそんな白い服を汚しては、みっともないじゃないか――。


「その瞬間、なんか……無理だーって思っちゃって」

(それは私も無理だなぁ)


 静かに話を聞いていた亜紀さんが、しみじみと呟く。

 やはりその声は届かなかったので、夏美は、親に叱られた子どものように、しょんぼりと肩を落とした。


「お店では全然食べられずじまい。お腹が空いて、早くご飯を食べたいなって思って……でも、家には帰りたくなくて。ふらっと電車を降りて、ぶらついてたら、ここに来てた」


 秋の夜は寒かった。

 腹は倒れそうなほど空いていた。


 帰りたい。

 でも、どこへ?


 いまだに足に馴染まないヒールを引きずり、底冷えのするスカートの裾をひらめかせ、とぼとぼと夜道を歩く。

 するとそのとき、突然、懐かしいカレーの匂いがした。


 郷愁を誘う、あの匂い。

 夏美は導かれるように、この店へとやって来た。


「そうしたら、哲史が現れて、カレーを食べてけって、言うでしょ? 白い服だからって断ったら、シミ抜きしてやる、なんて」


 軽い口調を取り繕おうとしているのに、夏美の笑みは、不格好になってしまっていた。


「しかも、このカレーがね。お姉ちゃんが作ってくれたのに、そっくりなの。にんにくで炒めた野菜を、酒で蒸した、ちょっと和風のカレー。一度私が教えたら、お姉ちゃん、律儀に、毎回そうしてくれてて。……毎回、へたくそな星が乗ってて」


 毎回だった、と、夏美は震える声で付け足した。


「親と喧嘩したとき。家に帰りたくないな、っていうとき。家の前で立ち止まっちゃう日に限って、なぜか毎回、お姉ちゃんは、カレーを作って、待っててくれてたの。だから、匂いにつられて、私は家に帰れた。親とも話せた」


 香ばしいにんにくや、こんがりと焼き目を付けた肉の匂い。

 酒に蒸されて、とろとろになった野菜や、何よりあの、食欲をくすぐるカレーの匂いが、夏美を家に導いた。


「お姉ちゃんが……私にとっての、帰れる家だった」


 つ、と一筋、涙が頬を伝う。

 夏美はぐいと乱暴にそれを拭い取ると、強引に口の端を持ち上げた。


「……だから、私、もっと、ちゃんとしなきゃね」


 え、と思ったのは、そのときだ。


「こんな巡り合わせ、そうないもん。きっとお姉ちゃんが、私を励ましてくれたんだと思う。ここで怖じ気づいてどうする、家庭に入って、ちゃんとしなさい、って」

(え?)


 頭の中でも、亜紀さんが愕然とした気配がする。

 俺も思わず天を仰ぎそうになった。


「息苦しくて無理、なんて言ってる場合じゃないよね。私……ちゃんと、お姉ちゃんのぶんまで、生きないと。お姉ちゃんみたいに、きちんと」


 そうじゃないだろう!

 叶うなら俺は、カウンターを飛び越えて、夏美の肩を揺さぶってやりたかった。


 そうじゃない。

 そんなはずがない。

 妹を「活発で魅力的」と評する亜紀さんが、夏美にこれ以上の無理を求めるはずがない。


 筋違いな罪悪感に押しつぶされて、自分らしさをそぎ落としてまで、必死に「姉」に成り代わろうとする――亜紀さんは、そんな夏美をこそ止めたいと思ったに違いないのに。


「夏美――」

(しーくん)


 だが、俺が口を開くより早く、脳内の亜紀さんが切り出した。


(悪いけど、こう伝えてくれない?)


 俺の拳が、強く握り締められている。

 亜紀さんと一体となった俺の体は、かっと腹のあたりから熱を帯び、突き上げるような衝動は、喉を震わせるほどだった。


(こんの、――馬鹿!)


 普段おっとりと話す亜紀さんの怒号は、俺の鼓膜を内側から揺さぶるほどの激しさだ。


(なに考えてるのよ! みーちゃんはみーちゃんでしょ!? 死んだ人間は今さら戻らない。佐藤夏美を、途中から佐藤亜紀にすることなんてできない。どうしてわからないの!)


 じわりと涙が滲む。

 それは、亜紀さんが初めて見せた激情だった。


 鼻がつんとする。

 喉が痛んで、奥歯に力が籠もる。


 亜紀さんは、怒り、悲しんでいた。


(材料は同じでも、カレーを今さら肉じゃがになんかできっこないよ! 私、そう言ったでしょ!?)


 早く伝えて。

 急いた口調で言われ、俺は耳に一番残った台詞を、慌てて伝える。


「夏美。材料は同じでも、カレーを今さら、肉じゃがにすることなんかできないよ」


 言い切ってから、我ながらなんて唐突だろうと思い、付け足した。


「……って、昔、ある人が言ってて。それを今、思い出して」


 だが、不自然さを警戒する必要はなかったようだ。

 亜紀さんの不思議な啖呵を聞いた途端、夏美ははっと顔を上げ、食い入るようにこちらを見つめていた。

 やがて、小さく開いた口が、掠れた声を紡ぎ出した。


「――……それ、誰が言ってたの?」


 この機会を逃してはならない。

 俺は頭を捻り、なんとか話の辻褄を合わせた。


「亜紀さん。佐藤亜紀さん。去年の今ごろこの店に来て、話が弾んで……。俺がカレーの作り方に悩んでたら、このレシピを教えてくれた。妹から教わった作り方なのよ、って。ごめん、よくある名字だったから、夏美のお姉さんだったってことに、今気付いたんだ」

「…………」


 夏美の目が、大きく見開かれる。黒々とした瞳が、見る間に涙で潤んだ。


(ありがとう、しーくん。それで、こう言ってくれる? 「カレーと肉じゃがじゃ、材料の切り方も違う。味付けを変えればいいってもんじゃない」って。「私は、みーちゃんのカレーが大好きだった」って)

「亜紀さんは言ってた。カレーと肉じゃがじゃ、材料の切り方も違う。味付けを変えればいいってもんじゃない、って」


 亜紀さんは夏美のカレーが、と伝える前に、俺は口をつぐむ羽目になった。

 夏美が、これまでとは比べものにならない勢いで、涙をこぼしはじめたからだ。


「――……そう、言って、たの……っ?」

「あ、ああ」


 頷くと、夏美は子どものようにくしゃくしゃに顔を歪め、両手で顔を覆った。


 お姉ちゃん。


 子犬がひんと鳴くような、嗚咽まみれの声だった。


「……なにか、特別な意味のある言葉だったのか?」


 尋ねると、夏美は肩を震わせたまま、小さく頷く。

 は、は、と息を吐き出しながら、途切れ途切れに答えた。


「む、昔……、私が、親に、ご、ご飯……カレーを、作ろうと、したとき。親が途中で、そんなの嫌だ、肉じゃがにでも、変えろって、言ってきて」

(みーちゃんね、小さい頃は、親に気に入られたくて、必死だったの。ご飯を作ったりして。でも……私たちの親って、遠慮がない人で。今日は炊き込みご飯をもらっちゃったから、カレーなんて作られても困る、って言うのよ。十歳の子が、一生懸命料理してたのに)


 妹の言葉足らずの説明を、亜紀さんが補う。

 静かな怒りと、悲しみを湛えた声だった。


(私ならその時点で、鍋ごとゴミ箱に突っ込んだと思うんだけど、みーちゃんは、慌ててお醤油を探してた。もう煮てるのに。肉じゃがにしなきゃ、って、泣きながら)

「私……、悲しかったけど、肉じゃがにしようと、した。そうしたら、お姉ちゃんが」

(だから私、横からルーを放り込んじゃった。家中のルーを掻き集めて、銘柄問わず、手当たり次第。それで親に言ってやったの)

「『無理無理、もうカレーでーす』って、言ったの。『今さら、肉じゃがになんか、なれませーん』って。にこにこしながら、きっぱり。わ、私の、代わりに、言ってくれた」


 涙がぼろぼろと、白い頬を滑り落ちる。

 きれいに塗った化粧は、すっかり剥げてしまったが、感情をむき出しにする彼女を見て、俺は、ああ、夏美だと思った。


「それで、二人で……カレーのまま、食べた。普段、お上品な和食しか出ない、家なのに、お姉ちゃん、ルーを入れすぎの、味の濃すぎるカレーを、全部食べて……、『みーちゃんのカレー、美味しい』って、言ってくれたの」

(だって、美味しかったもの)


 亜紀さんが小さく笑う。

 ただし彼女も、控えめに鼻を啜っていた。


(あのなんでもかんでも淡泊な『家庭の味』の中で、みーちゃんのカレーだけが、はっきりしてて、美味しかったもの)


 そのとき俺には、二人で鍋を覗き込む幼い姉妹の姿が見えた気がした。


 がつんとした匂い。

 ぶつ切りにした具材。

 冷え切った家の中で漂う、唯一温かな湯気を浴びながら、二人手を握り、冒険の味に挑む。


「亜紀さんは……『みーちゃんのカレーが大好きだ』って、言ってたよ」


 伝われ、と願いながら、俺は亜紀さんの言葉を告げた。


「なんでも淡泊な『家庭の味』の中で、夏美のカレーが一番好きだったって。亜紀さんは、はっきりしてて、活発な妹のことが大好きだって、言ってた」


 伝わってくれ。


 亜紀さんは、妹に自分を再現してもらうことなんて望んでいない。

 夏美に、ありのままの姿で、生きてほしいだけなんだ。


「…………っ」


 ぐ、と唇を引き結んだ夏美に、亜紀さんが静かに語りかける。


(私、元気で人気者のみーちゃんが、いつも羨ましかったよ。でもね、別に、自分のことも嫌いじゃなかった。肉じゃがには肉じゃがのよさがあるもの。みーちゃんが私に成り代わろうなんて……成り代われるなんて、私に失礼だと思わない?)


 馬鹿にすんな、と、拗ねた口調で唇を尖らせてから、亜紀さんは笑った。


(今さらほかに変身なんて、できないよ。お願いだから、カレーの本分を全うして)


 それは、つい先ほど俺が口にした台詞だ。

 あのとき亜紀さんがなぜ満足そうに笑っていたのか、俺はようやく理解できた気がした。


 一年前店に来たときそう言っていた、という形に調整して、亜紀さんの願いを伝えると、夏美はいよいよ大声を上げて泣き出した。


 何度も「お姉ちゃん」と呼び、顔中を涙でぐしゃぐしゃにして、すっかりすべての化粧を流し終えてしまった頃、彼女はすんと、小さく鼻を啜った。


「なんで私、忘れちゃってたんだろうなぁ……」


 感情の嵐が過ぎ去ったのと同時に、憑きものも一緒に落ちてしまったようだ。

 瞼は赤く腫れ上がっていたが、素直な光を浮かべて、カレー皿を見つめた。


「……冷めてきちゃった」


 ぽつんと呟き、スプーンを握る。

 夏美は少し考えて、やがてこう尋ねた。


「カレーが飛んじゃったら、シミ抜きしてくれる?」


 俺は力いっぱい頷いた。


「任せろ」


 夏美はそこから、気持ちのいいほどの速さで、スプーンを動かした。


 飯を掬う。

 カレーの海をくぐらせる。

 口に運んで、噛み締め、飲み込む。


 咀嚼するたび、唇が震え、ふ、ふ、と息が漏れていたが、きっと辛さのせいだろう。


 だって夏美の食べる姿は力強かった。

 がつがつ、という音が聞こえそうなほど。


 飲み込むたびに、生きる、生きる、と宣言しているかのようだった。

 ありのままに、生きる。


 飯の一粒も残さず、きれいに皿を平らげると、夏美はからん、とスプーンを置いた。


「ごちそうさまでした。……美味しかった」


 目はまだ潤んでいたし、顔中、ぐしゃぐしゃだったけれど、胸を衝かれるほど、美しい笑みだった。

 夏美は、カレーを食べる間、肩の片側に流していた髪を掴むと、軽くおどけてみせた。


「カレー食べるのに、長い髪って邪魔だね。切っちゃおうかな」


 意味を悟った亜紀さんが、小さく息を呑む気配がする。

 一拍置いて、彼女はそれは嬉しそうに、頬を緩めた。


(いいと思うよ。私は、ショートのみーちゃんが好き)

「いいと思う」


 伝言、というのを言い訳に、俺は答える。

 俺だって、ショートヘアの夏美が好きだ。


 声には温度が籠もりすぎていたのかもしれない。

 夏美は俺の相槌を聞いた途端、ちょっと唇を噛み、顔を逸らす。


 三呼吸ほどの沈黙の後、彼女は「じゃあ」と、上擦った声で応じた。


「切ったら、見せに来ようかな」

「来て」


 無意識に身を乗り出し、言ってしまってから俺は我に返った。


「いや、ええと、だから」


 ぐるぐると、言葉が頭を駆け巡る。

 鼓動が速まり、耳の端が熱くなった。


 ああそうだ、去年、別れを切り出されたときもこうだった。

 咄嗟に、どう振る舞ったらいいかわからなくて。

 手を伸ばしたいのに、踏み込みすぎては一層嫌われるのではないかと躊躇って、言い訳を並べて身を縮こめて、結局すべてをうやむやにしてしまったんだ。


「カ、カレー!」


 だが今、店中に充満するカレーの匂いに背中を押されるようにして、俺は叫んでいた。


「カレー用意して、待ってる。だから、事前に連絡をくれると嬉しい。っつか……こっちからも、連絡させてくれると、嬉しい!」


 夏美は目を瞬かせると、ぷっと噴き出した。


「それはだめ」

「ええっ!?」

「私から連絡させてください」


 なぜか居住まいを正すと、彼女はまっすぐに視線を合わせた。


「あの日のこと――私のほうから、やり直させてください」


 目尻のちょっと切れ上がった大きな瞳は、緊張と、決意とを含んでこちらを見ている。

 俺は、わけがわからないほど胸をいっぱいにしてしまい、片手で口元を覆った。


「そ、それは、その」

(ひゅーひゅー)


 亜紀さん、今このタイミングで、にやにや笑いはやめてください。

 俺は顔を隠すため、深く頭を下げざるをえなかった。


「よ、よろしくお願いいたします」

(なんで二人とも敬語なの?)


 笑いを含んだツッコミが、静かな秋の夜に響く。


 その後、俺たちが会計についての押し問答をし、夏美がしっかりとした足取りで店を出ていくまでを、亜紀さんは上機嫌に見守っていた。


 再び、俺たち以外に無人となった店内を見回すと、満足げな溜め息を漏らす。


(ありがとう、しーくん)


 亜紀さんは、ぽんぽんと俺の肩を叩いた。

 といっても、傍目からは、自分の肩を労っているようにしか見えないのだが。


(いや、未来の弟、かな? 結婚を報告するときには、私のお墓にはカレーを供えてね)

「どう考えてもお寺に怒られますよ。というか、き、気が早いですよ」

(さてさて。それはどうでしょう)


 亜紀さんはなぜか、流しの奥に視線をやると、悪戯っぽく微笑んだ。


 それから、夏美の意外に繊細な性格や、実は俺の名前を一度だけ夏美の口から聞いていたということ、両親は面倒な人だがコツさえ掴めば操縦しやすい、といった大変重要な情報を俺に授け――やがて、溶けるようにして消えた。


 流しの奥に放置していたスマホに、早速夏美からのメッセージが入っていたと気付くのは、その数分後のことだった。





 ***





「ありがとうございましたー!」


 亜紀さんを見送ってから三日ほど経った、昼の「てしをや」。

 昼の部の最後の客を見送った俺は、鮮やかな手付きで皿を下げ、素早くテーブルを拭き、足取りも軽く昼メニューを回収していた。


 流しで大量の洗い物と格闘していた志穂が、俺を見て怪訝そうに眉を寄せる。


「なんかお兄ちゃん、やけに機嫌よくない?」

「べつにー? あ、それより、俺たちのまかない、カレーでいいよな?」

「いいけど……。突然、これまでにないメニューをお品書きに加えてくるの、やめてよね。材料の取り回しが狂っちゃうんだから」

「はっはっは、すまんすまん。まあ、うまいワインを買ってきてやるから許せ、妹よ」


 相変わらずの小言も、爽やかな秋風のように受け流せる。

 理由のひとつは、元同僚の久保田から、「おまえの店、マジで美味かったから、友達全員に紹介しといたぜ!」と連絡が来たことにあった。


 メッセージには、「貢献したから、次に行くときは割引してください。彼女の前で見栄張りすぎて、今月の請求やべー」と、悲しげな訴えも添えられていた。


 どうやらあの日、「頑張れよ」との発言に哀れみを感じてしまったのは、俺の被害妄想でしかなかったらしい。

 俺は、自分の頬を殴ってやりたい衝動に駆られつつ、慌てて久保田宛のワインを買い直すことを決めたのだった。


 いやあ、秋のわびしさって、神様の言うとおり、とんでもない威力だなと言い訳しつつ。


 そう、神様の言うとおり。

 今回もまた神様は、魂の未練を解消してやりながら、俺の願いを見通し、それをこっそり叶えてみせたのであった。

 ワインは、神様のぶんまで買わねばなるまい。


 そして、俺が上機嫌な理由のもうひとつは――。


「こんにちはー」


 今、ガラリと扉を開け、店にやって来た人物にあった。


 顎下で軽やかに揃えたショートボブに、ほっそりとしたジーンズ姿が清々しい。

 おずおずと扉をくぐるのは、そう、夏美である。


「今、お店に入って大丈夫?」

「おう、大丈夫。カレーあるから、食ってけよ」


 大丈夫もなにも、客足の途切れるこの時間帯を指定したのは俺だ。

 約束通り、ショート姿を見せに来てくれた夏美に、俺は極力さりげなさを装って告げた。


「すげえ、似合うじゃん」


 夏美のことを知らなかった志穂が、「なになに?」と興味深くこちらを見ている。


 俺は、夏美をカウンター席に案内しつつ、彼女をどう紹介するか、ごく一瞬迷った。

 けれど、それと同じくらい短い時間で、力強く結論付けた。


 夏美は店まで来てくれたんだ。

 この関係を、もう後戻りなんてさせない。


「志穂。こちら、夏美。俺の……彼女」


 きっぱり告げると、志穂が「はあ!?」と洗っていたボウルを取り落とす。


「嘘でしょ!? 急に寒くなったから頭が風邪引いたの!? 妄想? 幻覚?」

「失礼にもほどがあんだろ! 実在人物ですー。ほら、さっさとカレー食おうぜ」


 想像通りの反応を寄越す妹には、くわっと歯を剥き、照れをごまかすためにそそくさと鍋へと向かう。

 鍋の中では、茶色い大地に降り立った輝ける星が、ちょうどほくほくと煮えているはずだった。

哲史、夏美とよりを戻せてよかったね!


1月12日発売の「神様の定食屋」3巻では、この「肉じゃがか、カレーか」のほか四皿のお話が掲載されています。よければご堪能いただけますように^^

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神様の定食屋4巻 23年11月15日発売!
神様の定食屋4
― 新着の感想 ―
[一言] 4巻発売おめでとうございます 家で読むのが楽しみです
[良い点] 最近なろうから離れ気味で今日続刊が出てるのと新しい話が更新されているのを知りました。 なろうの中でトップ3に入るほどこの作品が好きなのに今まで知らなかったのは何たる不覚……‼︎本屋があいた…
[一言] 3巻購入しました。 またまた鼻が真っ赤か(T_T) 外出先で読めないのが 難点と言えば難点。
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