サバイバルデスゲーム絶対王者の独白
「第7回下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ大賞」参加作品です。
テーマは「サバイバル」。
ちょっぴりダーク?で、ハピエンではない(かと言ってバドエンとは言い切れない)話なので、苦手な方はご注意ください。
「あなたにこれを贈ります」
全財産と自身の人生とを賭けた、究極のサバイバルデスゲームに優勝した俺は、仮面を付けたディーラー役から賞金10億円と副賞を授与された。
副賞は、参加者のひとり。ゲームで敗け、奴隷落ちした奴だ。
自分では外せない奴隷の首輪をつけられ、絶望の闇色に瞳が染まった女を連れ帰る。
「さっさと部屋に入れ。俺を楽しませられなかったらお前はどうなるかわかってるよな?」
リモコンを見せびらかし女の焦燥心を煽る。奴隷の首輪には毒を注入する針が仕込まれており、リモコン操作ひとつで命が奪えるのだ。
「……っ」
女は青い顔で小さく息を呑む。部屋に入ると、服のボタンに手をかけた。
「……はぁ、つまんねえな。素直にそういうことをするような奴だからお前は負けたんだぜ?」
「!?」
「どんな時にでもチャンスは転がっているものさ。それがたとえ砂粒ひとつだとしても、目を凝らして探しださなければ絶対に勝てない」
女の真っ黒な目に、うっすらと光のような物が灯る。
「……今の、この状況に、チャンスが?」
「は? 俺に直接聞くか? まあいい。俺とゲームをしようぜ」
「ゲームって……さっきみたいな?」
「勘違いするなよ、俺は運営側の人間じゃない。だからあんな凝ったものはできないが……そうだな。これにするか」
俺は引き出しからいつものトランプを取り出す。
「お前が勝てば首輪を外して自由にしてやる」
「負ければ?」
「つまらないことを訊くな。やらなくてもいいんだぜ」
女は一瞬躊躇ってから小さく頷く。
「やります」
「よし。じゃあ勝負は五回。ルールは……」
俺の説明を聞く女の目に、はっきりと希望の光が戻ってくる。それを見た俺はじわじわとこみ上げる笑いを悟られぬよう、そっと心の中で抑えつけた。
そう来なくちゃな。さあ俺を楽しませてくれ。よく目を凝らしてチャンスを見つけ出し、その手に掴んで見せろ。
今度の奴隷はこのトランプがイカサマだと気づいてそれを逆手に取る作戦を考えつけるだろうか。神のみぞ知る、だな。
俺はカードをめくる前にこう言った。
「さあ、神に祈ろう」
こちら、実は昨年12月にTwitter(現X)で伊織ライ様が開催されていた「頭結縛り企画」に参加した際に書いたものを加筆修正したものです。
企画内容は皆で同じ冒頭、同じ結末の台詞でそれぞれ話を書いて持ち寄る的な感じでした。
季節柄、お題はクリスマスっぽい感じで、「あなたにこれを贈ります」から始まって「神に祈ろう」で終わる話となっていたのですが、天邪鬼な私は何故かデスゲームネタを持ち込みました(;´∀`)
その後、改めて投稿する機会を逃していたのですが、今回のテーマにぴったりだったので出してみました。
お読み頂き、ありがとうございました!
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