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士気上げのサクラ ~俺TUEEEもどきの俺様が、この異世界で本当に俺TUEEEできる日を目指して~  作者: 川井田ナツナ


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1/1

1:プロローグ

「ほんと……耳が腐るぜ」


 俺の一言で会場はそれまでの熱気を失い。

 集まった冒険者たちが一斉に、俺の方へと視線を向けた。


「お前ッ!! やる気が無いなら帰ってもいいんだぞ!」


 壇上で戯言をほざいていた奴は、俺を指差してそう言った。

 会場に集まった雑魚どもも、壇上の奴に同調する様に罵声をあげる。


 何が……「仲間と力を合わせて」「個々が持てる力を発揮すれば」だ。


 俺はふっと鼻で笑い。


「馬鹿かお前ら! もしかしてお前らって……自分の事、『特別』だと勘違いしてないか?」


 そう言うと、ドカドカと近づいて来た短気な大男は俺の胸ぐらを掴んで、高く持ち上げた。


「勘違いしてるのはどっちだッ!? ハハハハハハ」


 勝ち誇った顔で自慢げに笑い出す男と、その様子を見て小馬鹿にする冒険者たち。


 まあ、理解出来ない馬鹿には現実を見せるのが一番だろう。

 なんせ、それなら犬猫でも主人(あるじ)が誰なのか理解するからだ。


「『特別(スペシャル)』は俺一人だ」


 見下して発した、俺のその一言で。

 会場に集まった冒険者たちのボルテージは最高潮を迎えるのだった……。


 *



「……ぐぬぬ。おかしい、おかしいぞ……? 俺の知っている異世界は、どんなザコスキルでも俺TUEEEできるはずだったのに何故だ?!」


 冒険者の去った会場の真ん中。

 袋叩きされた俺はふと、こっちの世界に来た日を思い出していた。


「サトル、お疲れ~~。おかげでみんなの士気が上がったよー」


 声を掛けて来たのは、壇上にいた身内(パーティ)の一人。

 クニオの演説は綺麗事が教科書通り語られ、その言葉を信じたら馬鹿を見る。

 爽やかな見た目と、澄んだ瞳の彼は――俗に言う『詐欺師』だ。


「クニオ……そんなことよりもランはどこ行った? あのバカ思いっ切り殴りやがって、寸止めの予定だろ?」

「あぁ……ランならあの姿のまま。冒険者たちと飲みに行っちまったよ……」


 短気な大男に変身していたのはラン。クニオの妹だ。

「ったく、あいつ。飲みすぎたら変身解けるのもう忘れたのかよ?!」


 異世界に転移して来て五年。

 俺、天龍院悟(てんりゅういんさとる)23歳は幼馴染みのクニオと、ランと共に『士気上げのサクラ』として旅をしている。

 依頼主は主にギルドや隣国と(いくさ)を控えた国など。


 俺のスキル【俺TUEEEもどき】は挑発相手を強化するというゴミスキル。

 他にもこのスキルは、なろう系主人公のような俺TUEEE発言が自然に出てくるという……特典付き。


 全く……生きていく上では地雷にしかならない。

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