プロローグ
「はぁ、今月もカツカツだよ」
上京したはいいものの、やりたい事が見つからずフリーターになってしまった。
お金と将来の事が心配でしかない。が、私には週5で9時間会社に拘束される正社員という道は合わなかった。
新卒で入った会社も2年で辞めて、フリーターになりたいと打ち明けた時の両親の顔が頭から離れない。
みんなすごいよな、私は、、、
っと!こんな事考えても駄目だ。リフレッシュにアニメ見よっと。
現実逃避をする。ちゃんとした職に就いて、自立して、将来は結婚して家庭を築いて、いつまで生きられるか分かんないけど、老後はゆっくり過ごす。多分これが普通なんだろう。
私は既にその軌道から大きく外れてしまっているように感じる。
何もしなくてもお腹だけは減るもんな
今日は久しぶりに外食でもしようかな
「今月はーっと、2000円は自由に使えるかな」
その時思いついたらすぐ行動に移すタイプだ。だから今月は外食に使ってしまおう。本当は貯金しなきゃだけど。
こんな高いスマホ買わなきゃ良かった。毎月払うのネックだもんなー。
いや、そう考えるならそもそも1人暮しなんてするべきじゃなかったな。実家に、、
でも、家に帰っても、私の居場所なんてある訳ないか
ジャージを着て、適当にリップ塗って出かける準備を済ます。
久しぶりに気分が晴れていた。いい1日になりそうだ。
東京はいつも人が多いな。地元の電車は座り放題なのに。
つり革に掴まり、電車に揺られる。
隣の人から、これは加齢臭?独特な匂いがする。
今日の気分が少し落ちた。
はぁー、あっつい 思わずため息が出てしまう。
気温も高いし税金も高いし、高いって言葉にいい意味ないんじゃない? とか下らない事考えてたら着いた。
「ハンバーガーLセット2つで」
久しぶりの外食はとても美味しかった。
途中でアニメを見たくなったからもう1個のハンバーガーはバッグに突っ込む。
ホームも人が多く熱気が凄い。それに少し頭も痛い。次からはこんな暑い日に外出するのはやめようと心に誓う。
パッ
「えっ?」
ヴィィィィィィ!!!!
電車の警笛が聞こえる。
「い、痛」
膝をレールにぶつけてしまって痛みに感覚が支配される。
あ、あ、あ、早く動かないと、
「だ、だれかたすけ、、」
私の小さな声はグチャりという音にかき消された。