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苦いレモンの香り──この恋には、嘘がある  作者: 晴海凜/Sunny
6.対話と告白/大学時代の真実(朝陽視点)
34/51

33 俺と、前に会ったことがあるよね

朝陽視点です。

朝陽は、記憶の断片が少しずつ蘇り、夕雨との過去が鮮明に浮かび上がるのを感じていた。そして、もはやその問いを無視しておくことはできなくなった。


「白石さん、今日の仕事終わったあと、ちょっと付き合って欲しいことがあるんですけど。」


仕事中、そう朝陽に言われ、夕雨は快く受け入れた。

仕事終わりに2人で近くのカフェに入り、朝陽は、スマートフォンを机に出し、話した。


「俺と、前に会ったことがあるよね。しかも、かなり仲が良かった。」


あのときの黄色いスマホカバー。

懐かしいアイテムと、朝陽の口調から、朝陽に何があったかを察した夕雨は静かに微笑んだ。


「…大学のころ、仲が良くて、会えたときは話したり、たまに遊んだりしてたよ。再会できて嬉しかった。でも、むやみに刺激したくなくて、自然に思い出すのを待ってた。……それで、どうしたい?」


「俺は、過去を思い出したい。協力してほしい。」



その後、朝陽は少しずつ記憶のピースを埋めていった。夕雨に頼んで、大学時代の友人に連絡を取った。そして、思い出の場所にも何度か足を運んだ。


それぞれの場所で、朝陽は少しずつ過去を取り戻していったが、次第に、そのたびに胸の奥が痛むような感覚を覚えた。



ある晩、朝陽はサブスクの動画を観終わり、リモコンのTV入力切替ボタンを押した。

地上波に変わると、音楽番組が放送されていた。

画面に表示された曲名は「変わらないもの(2006)」。

静かなピアノの旋律が流れ出し、やがて歌声が響いていく。


耳に届く柔らかなメロディと透明な歌声は、何か懐かしく、どこか切ない。

朝陽は無意識にそのまま画面に目を向け、じっと聴き入っていると、心の中で何かが疼くような、微かな痛みのような感覚が広がっていく。

言葉にはできない何かが、朝陽を締め付けていた。


その曲は、どこか夕雨のことを思い出させた。

かつて一緒に過ごした日々、そしてふと、その日々が()()()()()()()()()()()()()ような感覚がよみがえる。

思い出すたび、なぜか胸が痛む。その理由はわからない。ただ、確かにそこに悲しい何かがあった――そんな確信だけが残った。


曲が終わると、朝陽の目は潤んでいた。理由はまだわからない。

ただ、心の奥底に眠っていた何かが、ふと溢れ出した、それだけだった。



翌日、朝陽は勇気を振り絞り、夕雨に尋ねた。


「夕雨、俺たち、何かあった?悲しい出来事とか。なんか最近、夕雨のことを思い出すと、悲しい気持ちになることが増えてて。」


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