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苦いレモンの香り──この恋には、嘘がある  作者: 晴海凜/Sunny
4.ざわめき:夕雨から見た過去
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23 「はじめまして」を選びました

言い終わった夕雨に、誰も責めることなく静かにうなずき、温かな沈黙が広がった。


すると、不意に東が口を開いた。

「……なんか、納得したわ。朝陽くん、白石さんに吸い寄せられるようにグイグイ行き過ぎだったもんね。」


「写真見たとき、ちょっと嬉しかったんだよ、私たち。夕雨ちゃんたち、うまくいってるのかと思って」と日高も続ける。


「だって、たまに完全に"二人の世界"にイっちゃってますもんね」


坂元の言葉に、誰かがふっと笑い、夕雨も肩を揺らすように微笑んだ。


「でもまあ……なんか、噂の二人のことちゃんと知れてよかったよ」


山口も、軽口の中に、優しさがにじんでいる。

夕雨はそれを受け取るように、そっと頭を下げた。


「ありがとうございます。……皆さんに話せて、少し楽になりました。ご迷惑はかけないので、一旦忘れてください」


すかさず東が「なに言ってんの。これからは、みんなで支えるよ」というと、


「カッコつけてるけど、東、マジで午前中、魂抜けてたよね〜」と日高が茶化す。


「お〜い! 子ども預けてまで見に行ったんだぞ、俺は!」とわざと東が大きな声を出す。


テーブルが再び笑いに包まれ、空気がふわりとほどけていく。


過去の痛みを抱えながらも、それを誰かと共有できたことで、夕雨の胸の奥にあった冷たい部分が、ほんの少しだけ、あたたかく溶けていった。



その後、夕雨は朝陽との関係を少しずつ見つめ直していった。

過去の痛みを胸に抱えながらも、今の朝陽と向き合い、共に歩んでいく決意を新たにしていた。


同僚たちは、静かに二人を見守り、時折温かな笑顔を交わす。


夕雨は、そんな日々の中で、朝陽との「今」を選び続けている自分に、少しずつ自信を持てるようになっていった。

彼女の心には、以前感じていた不安が少しずつ薄れ、肩の力を抜いて歩めるような、穏やかな気持ちが広がっていた。

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