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苦いレモンの香り──この恋には、嘘がある  作者: 晴海凜/Sunny
4.ざわめき:夕雨から見た過去
23/51

22 あの髪を撫でたいくらい、懐かしいのに

隣の日高が静かに、背中に手を添える。


「原因は、ストレスじゃないかって言われてました。学科の勉強がすごく大変だったみたいで、けっこう無理してたみたいで……。私も、大変なのはなんとなくわかってたんですけど、そこまでとは、気づけなくて。倒れるまでも、倒れてからも、何もできませんでした。」


涙をこらえる夕雨。テーブルの誰もが息をひそめて、その言葉を聞いている。

上司の山口も、予想を上回る告白に、眉をひそめていた。


「知らないふりをするのって、思ってたよりずっとしんどかったです。毎日会って、話して、笑って──でも、全部『初対面』みたいに接しなきゃいけなくて……本当は、あの髪を撫でたいくらい、懐かしいのに」


誰かがそっと鼻をすする音が響き、静かな空気が広がる。

それでも、夕雨はまっすぐ前を見つめ、続けた。


「……最初はすごく悲しかったけど、少しずつ今の彼と話すようになって、わかってきたんです。昔の朝陽とは違うけど……今の彼も、ちゃんと、彼なんだって」


テーブルに沈黙が落ちる。それは重苦しくなく、むしろ温かく、包み込むような静けさだった。


「だから、無理に思い出させるつもりはないんです。彼が自然に思い出してくれたら……いや、思い出せなくても、今はそれでいいかなって、思ってます」


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