表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
苦いレモンの香り──この恋には、嘘がある  作者: 晴海凜/Sunny
4.ざわめき:夕雨から見た過去
21/51

20 ひとりでは抱えきれない

休み明け。

朝陽は通院のため、その日は職場を休んでいた。

昼休み、東はそっとスマホを取り出し、夕雨のもとへやってきた。


「……白石さん、ちょっと、見てもらっていい?」


どこか妙にかたく、落ち着かない東の声。

夕雨が不思議そうにスマホを覗き込むと──そこには、遊園地のジェットコースターの記念写真が映っていた。

笑顔の夕雨と、その隣で金髪の青年──朝陽が、並んで笑っている。


「……っ」

思わず息を呑む夕雨。


「これ……隣にいるの、朝陽くん、だよね?」


東の問いかけに、周囲の同僚たちも自然と集まってくる。


スマホの画面を覗き込んだみんなが、驚きとざわめきを隠せなかった。

「え、めっちゃいい笑顔!」

「金髪だけど……朝陽くん!?」

「うそ、いつの間にそんな進展してたんすか!?」


わっと盛り上がる一同。

冗談半分、からかうような空気が広がる。

だが、そんな中、東だけは気まずそうな顔で、少しみんなを制した。


「いや、違うんだ……」


東はスマホをスワイプし、写真の端に小さく写った日付を拡大した。

「ほら、ここ……。」


「……え?」

「2016年……?」


ぱた、と静まる空気。

その場にいた誰もが、事態を理解し始める。


「これ……大学生のころ?」

「それって、…」


最初は軽い冷やかしのつもりだった。

だが、写真に刻まれた年月と、二人の自然な笑顔に、誰もが言葉を失っていく。

東は気まずそうに頭を掻きながら言った。


「ごめん……からかうつもりはないよ。最初は気のせいかと思ったけど、これ、見れば見るほど……一人では抱えきれなくて。」


日高が、そっと口を挟む。

「……うん。当たり前だよ。」


東は小さく頷き、夕雨を見た。

「……これは、一人じゃ抱えきれないよな。……きっと、白石さんも」


動揺した夕雨は、視線を逸らし、横の日高を見る。

日高は、何も言わずに静かにうなずいた。"大丈夫"と言いたげに。

その空気を感じ取って、夕雨はそっと目を閉じ、東を見て、小さく頷いた。


すると東が、ぱん、と手を叩いて言った。


「よし! 今日の夜、飲みに行こう!」


その夜、いつもの居酒屋で、朝陽だけがいない飲み会が始まった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ