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苦いレモンの香り──この恋には、嘘がある  作者: 晴海凜/Sunny
3.飲み会にて:朝陽が明かした過去
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17 それでも誰かがそばにいてくれた

「最初は、ほんと悔しくて。八つ当たりもいっぱいしたし、何にでもイライラしてました。でも……誰も俺を責めないし、むしろ優しくされるんですよ、それすらも悔しくて。でも黙って、そばにいてくれて。それに……」


少し間を置いてから、唇を噛み、目を伏せたまま、ぽつりと漏らす。


「たぶん……母親だったと思うんですけど。暴言も吐いて。でも、それでも支えてくれました。」


そして、ようやく顔を上げ、夕雨たちの方を見て、穏やかに続けた。


「そしたら、だんだんアホらしくなってきて。変なプライドとか、邪魔だなって。助けを求めるのって、悪いことじゃないんだなって。むしろ、助けてもらったら感謝しなきゃって、思えるようになりました。」


テーブルのグラスが、かすかに揺れる。


「……それで。たぶん、あのときから変わったんだと思います。」


少し照れたように笑って、冗談めかして言う。


「今の俺は──まあ、ちょっとはマシになったかなって。クソ野郎、卒業しました。」


そう言ってグラスを軽く持ち上げ、小さく乾杯のジェスチャーをする。


周囲からは「よっ、卒業おめでとう!」と拍手や笑い声が起こった。


「マジで卒業できてんの〜?」

「補習ありそうだな」

「絶対まだ単位足りてないだろ」


みんながにぎやかにからかう中、朝陽も肩をすくめて笑った。

そんな中、夕雨はそっとグラスを置き、微笑みながら言った。


「……そっか、大人になったんだね。」


その一言に、朝陽はびっくりしたように目を見開いた。


「えっ!めっちゃまとめた!?」


わざと大げさなリアクションに、みんなが笑い、夕雨も思わず吹き出しそうになるが、口角を上げるだけで我慢する。


「うんうん、そういうこともあるよ」


夕雨はふいっと視線をそらし、両手でホットウーロンを持ちながら、ズズズーッと音を立てて飲んだ。


「うわ~白石さん、めっちゃめんどくさいって思ってる!?」


朝陽が苦笑しながら言うと、東がすかさず「まあちょっと長かったもんね」と横から茶化す。

日高も「朝陽くん、頑張れー!」と冗談まじりに応援し、みんなの笑い声がまた一段と広がった。


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