表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
苦いレモンの香り──この恋には、嘘がある  作者: 晴海凜/Sunny
3.飲み会にて:朝陽が明かした過去
15/51

14 少し話したいことがあって

「……自分、新卒だけど、26歳なんです。大学3年のときに怪我で入院して……記憶も何年か曖昧になってしまって。」


言葉はたどたどしかったが、朝陽の想いははっきりと伝わってきた。

坂元が静かにうなずき、周りも誰ひとり口を挟まなかった。


「知ってたんですよね?」


朝陽は、夕雨の方に目を向けた。


「うん。みんなも、ね。」と夕雨が周りに視線を動かしながら、優しく答える。


同僚たちもそれぞれうなずき、柔らかな空気が場を包む。


「その……」朝陽はさらに言い淀んだ。


すかさず日高が、「ほらその、別に、ね。みんな普通に、ね、一緒に働く人たちだし。」と言った。


それに背中を押されるように、朝陽が続けた。


「普通に接してくれて、ありがたかったです。俺が困ってるときも、気を遣ってくれてるの、わかってました。……その、お礼が言いたくて。」


「そんな、大げさなことじゃないよ。」と山口は笑った。


「うんうん。俺も最初から朝陽くんは頼もしいなって思ってた。」と東が言い、

「…逃げ恥知らないけど。」と続けた。


「だからそれ俺、知らないんすよ!」と朝陽は困ったように笑った。


すかさず坂元が、「でしたね〜前に恋ダンスの話したら、朝陽さん、めっっちゃポカンとしてて…」と、冗談めかして笑う。

周囲がどっと笑い、日高が「頼っていいんだよ、朝陽くん。『逃げ恥知らないです』って」と優しく言葉を添える。

「俺も!朝陽さん、かっこいいです!逃げ恥知らないけど!」と坂元がにこやかに言って、さらに場を明るくした。


朝陽は「もう〜……」と呆れたように笑い、グラスを軽く掲げる。


「みんな、大好きだ!」酔った勢いのままの素直な言葉に、テーブルがふわっと温かい笑いに包まれた。


「よし、じゃあ改めて乾杯しよう!」と東が声をかけ、グラスが軽やかに打ち鳴らされた。


夕雨はグラスを手に、口元に手を当てて笑いながらふと思った。


(この場所なら、きっと大丈夫。)


賑やかな光景を眺めながら、少しだけ、心が軽くなるのを感じていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ