That’s “It”
人々は“それ”に何を求めてきたか
人々は“それ”に“正しい在り方”を求めている
自分にとって都合がよく、夢としての美しさ、を
現実を、“あなたのように”汚いところもあるという事実を
見ないように見ないように
彼もただ一人の人間だとは思わない
そしたら“人間”の定義が歪むから
“普通”の“マジョリティ”のステレオタイプに、
“自分たち”の中に違いがあることを認めたくない
そしたら共同体が破壊されてしまうから
だから彼を異質と見なし”外“に追いやる
誰かが始めたことを僕らは続けている
誰かが“かくあらねばならぬ”と定めたことを
僕らは生まれる前から無数の鎖に縛られている
社会と名づけられた何かに意識的に無意識的に
男の子はロボットを好きになるように
女の子は人形を好きになるように
それが絶対の正しさであると僕らは定められている
でもそもそもそれって”誰“が決めたの
誰かは誰かだ どこかの誰か
それは誰もが夢見ている理想的第三者
人々は“それ”に何を求めてきたか
人々は“ゲイ”に何を求めてきたか
“女”に如何なる振る舞いを望んできたか
“障害者”にどんな理想像を見てきたか
“外国人”に
“日本人”に
“男”に
“人間”に
人々は“それ”に何を夢見てきたか
時にコミカルに、荘厳に、切なくて、
真面目で、無垢で、面倒見がよくて、
そんな在り方を望まれている
身勝手に
何が問題なのか
誰が問題を抱えているのか
なぜ彼にとってそれは問題なのか
それは彼を取り込んでいる世界に問題があるからだ
望まれた在り方とは異なる在り方を望む者
人はそれを異質と呼ぶ