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守護狐の千年物語  作者: オリオン
第2章、都の騒動
33/41

都の捜索

帝が直接姿を見せての依頼。

流石にこれを断る事は出来なかった。

このまま放置して、何かあった場合

確実に犠牲が出てしまうだろう。


「はぁ、あそこまで言われたらやるしか無いわよね。

 豊様もかなり怒ってたし。

 豊様に何かあったら本当に困るしね。

 玄王と総一郎のアホ2人じゃちょっと不安よね」


少しだけ嫌そうな表情を見せながらだが

流石に行動を始めた清美。

今回は何故か桐絵まで一緒に来た。


「桐絵、なんで来たの?」

「私も自分の村が気になりますし」

「まぁそうね、じゃ、軽く都を回ったら

 今度はあんたの村にでも行きましょうか。

 あんた1人じゃ、絶対に死ぬしね」

「ありがとうございます、清美様」


桐絵の村が何処にあるか、あまり詳しくは無いが

彼女の村が都の近くにある事は理解している。

河童が不自然に発生した場合、大体は何処かの村が

河童の長出現と共に滅ぶのだから

近くにある村も危険だと分かる。


「そもそも、錫音の奴は都には来て無いしね」

「そうですね、清美様が居るから大丈夫だと

 そう判断して都を後にしたのか

 錫音様の予想では

 周辺の村に居るかも知れないと判断したのか」

「ま、それで負傷してちゃ世話無いわね」

「甘露は危険な妖狐だと聞きますし」

「はぁ? 妖狐族とか私なら余裕だけど-?」

「た、戦った事とかあるんですか?」

「いや、無いけど。どうせ大した事無いわよ」

「そ、そうですか」


何故戦ったことが無いのにそんな風に考えるのか。

流石に桐絵も清美のその自信が不思議でならなかった。

桐絵達、他の陰陽師達からしてみれば

妖狐族など、接敵した地点で死を覚悟する相手。

伝聞だけでも勝てるわけ無いと思える。


そもそも、そんな妖狐族で味方である錫音が

圧倒的な力を持っているのは皆知っているのだ。

400年程前、都に危険な悪鬼、鵺が現われた際

陰陽師達では止める事は愚か

傷すら与えられなかったというのに

錫音はその悪鬼を一太刀で叩き落とし

力ある男性達が集まろうとも扱えない巨大な弓を

さも当たり前の様に扱い、一撃で射貫き倒した。

そんな伝聞があるのだから。


「でも、どうしてそんなに自信が凄いんですか?

 錫音様の伝承は沢山聞きますし。

 それが事実なのは殆ど確信出来ます」

「あんなの適当よ、適当。どうせ大袈裟に書いてるだけよ。

 私達のご先祖様の話だって大袈裟に語り継いでるんだし

 基本的に伝承なんて信じられないっての」


清美は安野柄清流の真相を知っている。

その為、伝承なんて無駄に盛る物だと分かっていた。

それもあり、彼女は伝承を殆ど信じていない。

当然、錫音の伝承も無駄に持ってるのだと考えていた。


更に自分の評価は世間一般で安野柄清流に匹敵すると

そう評価されているほどであった。

それがあの盛りまくった伝承を信じた人間達が

その伝承と比べて自分を匹敵すると判断してるのだから

自分は安野柄清流以上の天才なのだと言う確信があった。

周囲に持ち上げられ続けた結果が今の彼女とも言える。


「その、大袈裟ってどう言う」

「いや、あまり気にしないで良いわ。

 伝承はその程度って事よ。

 そして私は天才中の天才って事よ」


この真実の歴史は決して語ってはならない。

それが、歴史を知る力ある陰陽師達の中で

常に言われ続けている事だった。

この事実を知るのは力ある陰陽師達と帝

そして、長い時を生きる妖怪だけだった。


「さて、この話は良いとして、索敵よね」


そう呟き、清美は12の式神達を召喚した。


「はーい、お呼びですかー?」

「面倒だから呼ばないでよ」

「てか、全員呼ばないでよ、嫌な思い出しかないし

 大体、あり得ない相手と戦わされるし」

「そうそう、ご主人は短絡的過ぎる」

「そうですわねぇ、無謀ですわよねぇ」


呼び出されると同時に式神達は各々愚痴をこぼした。

特に同時に召喚させられる場合は

主があり得ない相手と戦う場合が多い。

特に先神族相手と戦わされそうになる為

かなり不満があるのは間違いないようだった。


「口答えすんな! あんたらは私の式神よ!?

 何よ、私が呼ぶ度に不服そうな態度を取って!

 あんたら流石に堕落しすぎよ!」

「はーい、私達は堕落しまくってる

 ご主人の霊力で生まれた式神なので

 私達が堕落しまくってるのは自然だと思いまーす」

「その耳削ぎ落とすわよクソ猫」

「きゃー、こわーい」


相も変わらず、式神達は清美に対してかなり反発する。

いや、主をからかってるだけなのかも知れない。


「で、今回呼んだ理由は? また宝龍様と戦えとか

 そんな馬鹿げた命令では無いでしょうね?」

「んなんじゃ無いわ、あんたらには索敵を指示する。

 霊力がない人間が都に居ないか探してきなさい」

「霊力がない人間とか居る訳無いじゃないですか。

 仮に居たとしたら、それ、人間じゃ無く妖怪ですよ」

「そうよ、妖怪。

 河童の長が居るかも知れないらしいから索敵しなさい」

「河童の長? 何でまた。て言うか、仮に居たとして

 清美様、河童の長に勝てるんですか?」

「馬鹿にしてるわね、私を誰だと思ってるの!?」

「自堕落的で、短絡的で、自分勝手で、身の程知らずで

 恩知らずのお馬鹿な主だと思ってますが?」

「殺すわよ!?」

「あははー! 私達を仮に殺したとしても-?

 ご主人の力が落ちるだけですよー?

 良いですかぁ? 私達は今はご主人の一部。

 この声は、あなたの声でもありますよ?」

「私がそんな風に思ってるとでも?」

「はい、自覚が無いだけで」

「んな訳無いでしょうが! てか、さっさと探せ!」

「はーい」


かなり大きな声で指示を出すと同時に式神達は

一斉に姿を消し、指示通りの索敵を始めた。


「何よ、結構あっさり従うわね、珍しく

 だったら最初から従えば良いのに」

「凄いですね、清美様の式神達。

 あそこまで個性があるのは本当に凄いです」

「私の命令に背く奴らばかりよ、あんなの。

 さ、私達も探すわよ」

「あ、はい」


清美は精神を集中させながら、都の周囲を歩いた。

だが、都内に霊力を探知出来ない人間は存在は無かった。

式神達の索敵でも、そう告げられてしまった。


「……適当な報告じゃ無いわよね」

「私達は適当な報告はしませんよー

 今回みたいな重要な時はね」

「えぇ、索敵はしましたが都内には確認出来ず。

 たまに居ましたけど、それは周囲の索敵をしてる

 ただのあやかしでした。

 当然、玄王様にもこの事はお伝えしました」

「そいつが本当にあやかしだって分かるの?」

「勿論ですよ、そもそもですね?

 こう言う場面で宝龍様達が

 あやかしと河童の長を混同しかねないような

 そんな馬鹿な行動を取ると思いますか?」

「まぁ、そうね……」

「答えを言うと、

 あやかし達は明らかに妖力を隠してませんでした。

 自分達は妖怪だと、堂々と宣言してる訳ですね」

「まぁそうよね、潜伏してる奴が居るならそうするか」

「えぇ、そう言う妖力が隠れてない妖怪は

 鈴亭様が確認して、

 あやかしかどうかも全て判別してるそうです」


これにより、周囲の妖力に気付いて妖力を開放しても

その妖力に気付いた鈴亭が確認し、あやかしで無いと

鈴亭が判断した場合は宝龍が直接赴く作戦である。

式神達は玄王を通し、この作戦を知り清美に伝えた。


「……じゃあ、私は都を出て、周囲の村を探すわ。

 キナコは玄王にその事を伝えたら帰ってきなさい」

「はーい」


その指示を出し、清美は都から出て周囲の村の索敵を始めた。

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