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守護狐の千年物語  作者: オリオン
第2章、都の騒動
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甘露の力

甘露の手当を完了させた後に

今度は自分の手当をしようとする。


「手当はお任せくださいなー」

「出来るの?」

「勿論ですとも、栗牧にお任せですよ」


そう言って、栗牧が錫音から治療道具を受け取り

錫音の手当を始めた。


「しかし、甘露お姉様凄いですね。

 錫音お姉様にここまで怪我をさせるとは」

「私と甘露は相性が悪いからね」

「そうなんです? 栗牧はよく分からないのです」

「そうだね、あまり目立つ事はしてないみたいだし」


栗牧に手当をして貰いながら錫音は考える。

とりあえず、栗牧にも教えておいた方が良いかと。


「じゃあ、簡単に説明しようかな。

 栗牧は意外と皆の能力知らないのかもだし」

「いえ、ある程度は知ってるんですけどね?

 甘露お姉様の能力も知ってるつもりです。

 でも、お札を付けないと効果がないはずなのに

 どうして錫音お姉様にはその工程無しで

 すぐに傷を与えていたのでしょうか?」

「そこは知ってるんだね」


甘露の能力は愛憎の呪いという能力である。

本来は大好きな相手に対してのみ効果が発動し

その相手と自分の感覚等をリンクさせて

自分を攻撃して、対象に攻撃する能力。

自分と相手を破滅させる能力とも言えるだろう。

だが、とある理由で

宝龍達は彼女の能力を破滅の呪いと称してる。


「知っての通り、甘露の能力は愛憎の呪い。

 甘露が言うには、本来は大好きな相手にのみ

 効果を発動させられるらしい。

 つまりは、私のみにその呪いを与えるって事だ。

 自分と私の感覚を共有して傷を与えるんだって。

 他にも私を何処に居ても探知したり

 射程内なら、私の背後に移動できるとか」

「完全に錫音お姉様特攻の能力ですね……」

「そうでもないよ? さっきも見たとおり

 私と甘露じゃ耐久力が違いすぎるからね。

 確実に私が死ぬより先に甘露が死んじゃう。

 身長も体格も違うから当然だけど」


当然ながら、甘露の背は非常に低く

体格的には5歳程の体格であり

更に他の姉妹と比べると身体能力が非常に低い。

瞬発力はかなりの物だが、体力や筋力は非常に低く

単純な身体能力だけなら、栗牧にも劣るほど。


だが、錫音の身長は中々に高く

体格は16歳の女性ほどの体格であり

他の姉妹と比べれば隔絶した身体能力を持ち

体力や筋力も姉妹達の中では非常に高い。


当然、傷の治りや体力は甘露と比べると

圧倒的な差があるのだから

同じ様に怪我をしなければ錫音に傷を与えられない

甘露では錫音に勝つ事は出来ない。


「でも、甘露お姉様は本来、お札を貼りますよね?

 相手にお札を貼って、手持ちの人形にお札を貼って

 その人形を破壊すれば、相手も同じ様に砕けます」

「うん。それが本来は応用なんだよね。

 その能力の応用。本来は自分の体で

 大好きな相手に攻撃出来る能力って言ってたよ」


これが、甘露最大の能力と言える。

彼女は本来、懐にこの呪いを込めた呪符を持っており

その呪符を相手に貼り付け、自分の人形に別の呪符を張り

その人形を攻撃することで、対象に攻撃することが出来る。


かなりの体躯を持つ相手と相対したとしても

その相手に呪符を貼り付け、同じく呪符を貼り付けた

人形を破壊することで、ほぼ確実に相手を殺せる。

あまりにも強力な固有能力を持っている。

この異常な能力に既視感を覚えた宝龍達は

甘露の能力を愛憎の呪いでは無く、破滅の呪いと言う。


「まぁ、本人は私以外にその方法はしないとか。

 自分が傷付いて、同じ場所を私が怪我をする。

 それが好きで、更に私が自分の怪我よりも

 甘露を心配するのが大好きとか言ってたけど。

 本当に歪みすぎてるとしか言えないよね……

 私もかなり困っちゃう。大丈夫とは言え

 痛い物は痛いんだからね」


錫音が手当てして貰った傷口を少しだけ撫でた。

そして、自分の手が自分の血で染まってるのを見る。

流石に短期間で治ることは無いと言える。


「まぁ、私は霊力を奪わないから

 怪我の治り、凄く早いって程じゃ無いけどね」

「栗牧もその怪我はしばらく動けませんよ……」

「まぁ……心臓、確実に負傷したしね。ケホ」


少しだけ吐血してしまう。

かなりの負傷だというのが分かる。

死ぬ事は無いが、このままだとあまり動け無い。

下手に動いて、心臓の傷が大きく開いてしまえば

死にはしないだろうが、より動け無くなってしまう。


「し、心臓の負傷は人間なら即死ですねぇ

 栗牧なら動けるようになるまで

 1ヶ月は確実に掛かりますね」

「私もかな、完治にそれ位は掛かるかも」

「本来なら案内したいところですが

 その怪我だと……いえ、むしろ帰るべきでは?」

「え? この怪我で? 絶対に嫌だよ。

 この状態で掴まると非常に不味いんだから。

 だから栗牧、あなたは甘露を連れ帰って。

 私は帰るからさ」

「え!? 栗牧はまだ錫音お姉様と

 一緒に居たいのですか!?

 そうだ! それなら、甘露お姉様も一緒に……

 いえ、恐いですね、それは恐い」

「でしょ? だから、私は帰るよ……

 少し安静にしないと」

「……うー、いえ、一緒に居たいです!

 だからそのー! 恐くても一緒に!」

「……でも、流石に甘露は無理だよ、甘露は。

 栗牧でも何とかなのに、甘露は絶対に駄目って言われる。

 強すぎるからね、甘露は。能力が」


甘露は他の姉妹達と比べれば身体能力は低いのだが

彼女の真価はその圧倒的な能力である。

札を貼り付けることさえ出来れば

どんな相手だろうと殺す事が出来る危険な能力だ。

札を貼り付けることさえ出来れば

最強の悪鬼である朱婷童子すら倒せかねない能力。

それ程の力を持つ相手を受入れる訳にはいかないだろう。


「じゃ、じゃあ、待っててくださいよあの屋敷でぇ!

 帰ってきます!

 栗牧が帰って来るまで待っててください!」

「……わ、分かったよ」

「やったー!」

「でも、後から恐いかもよ? 甘露が怒ると」

「こ、恐いですが、錫音お姉様と共に居たいです。

 前は札を付けられ、全身をくすぐられましたが

 我慢しますとも!」

「あんな雰囲気なのに、意外と温情だね……」

「甘露お姉様も流石に栗牧を殺したりはしませんよー

 じゃ、行ってきまーす! 待っててくださいね!?」

「う、うん、分かった」


流石にそこまで言われて黙って帰る訳にもいかない。

そう考えた錫音は、屋敷に帰還し、栗牧が来るまで待つ。

その間、錫音は屋敷の仲間達に心配されて

色々と手当をして貰った。

そして、栗牧帰還後、2人はあやかしの国へ戻る。

本来は河童を何とかしたかったが

この負傷は流石に仕方ない。少し悔しく感じながら

錫音はあやかしの国で療養する事を選んだ。

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