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守護狐の千年物語  作者: オリオン
第2章、都の騒動
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違和感のために

あやかしの国で軽い対話を終えた後

錫音達は改めて行動を開始した。

目的地は都。あまり距離は無いのだから

今回はゆっくりと歩いて向うことにした。


「直接移動はしないんですか?」

「河童が出現してるわけだからね。

 何処に何が居るか分からないから

 周囲の村も探索する事にしようかなと」


河童の長が出現すれば、1つの村が滅びる。

そう考えれば、何処かの村に長が居る可能性がある。

そう考えた錫音は、周囲の探索を行なう事にした。

都の周辺にいくつかの村がある以上

何処かの村に隠れている可能性は大いにある。


「まぁ、そうですねぇ」

「うん」


周囲の探索をしながら、村の状況を確認する。


「こっちに行ってみませんか?」

「なんで?」

「だって、村あるでしょ?」

「まぁ、あるけどさ」

「ほらほら、行きましょうよー」

「うーん、分かったよ」


栗牧の気まぐれに付き合いながら

錫音がある程度の移動をする。

都に少しずつ近付いてる気もするけど

遠のいてるような気もしていた。


「栗牧、何処に連れて行こうとしてるわけ?」

「え? あ、栗牧達の家ですよ?

 折角近いんですし、案内しようかなーと」

「今は都の方に行きたいんだけど?」

「でも、都には陰陽師達が居るんでしょう?

 周囲の村も陰陽師達が探るかもですし?」

「そんな余裕あるのかなぁ、陰陽師達に。

 潜伏型の悪鬼って都に結構居るから

 そっちの対処でかなり大変らしいのに」

「潜伏型の悪鬼って、そんなに都に居るんですか?」

「うん。力が弱いから結界を逆にすり抜けられるんだ。

 人間に憑いてる場合も多いしね」


都は結界により守護されては居るのだが

潜伏型の様な力の弱い悪鬼は比較的侵入が容易であった。

強力な結界であるが故に弱点とも言える。

潜伏型の悪鬼は大した力を持たないとは言え

人間には一定の悪影響を及ぼしてしまうため

出来れば対処したいような相手でもある。


そんな潜伏型が結構いる都の陰陽師達が

都の外にまで目を広げるのは大変だろう。

特に最近の陰陽師は連携が取れていない。

現状の長が少し高飛車すぎるのが理由だと

宝龍が良く愚痴ってるのを錫音も聞いていた。


「はぁ……じゃあ、河童の長も似た感じなんでしょうかねぇ?」

「それは無いと思うけどなぁ。

 だって、河童の長には結構な妖力があるはず。

 いやでも、鈴亭の索敵能力を持ってしても見抜けない訳で……

 うーん、妖力が異様な程に少ない可能性はあるかな

 やっぱり異常な程に妖力を抑えるのが得意としか言えない。

 でも流石に、都に潜伏は無いと思うんだけどね。

 だって、都の陰陽師が妖力を探知できないとは思えない」


あまり考えられないことではあるが

鈴亭の索敵に引っ掛からないと言う事は潜伏が得意だと言う事。

そんな事が出来るのは、よほど妖力を抑える事が出来る証拠。

下手をすれば、都の陰陽師の索敵でも気付けないかも知れない。


「でも変ですよねぇ、妖力を抑えるって事は

 潜伏が大好きって事なんでしょうが

 もしそうなら? 周囲の寄ってくる河童は邪魔でしょうに。

 組織の長って言うなら? 来るなとか命じてそうですが」

「河童は気まぐれだからね」


色々と考えて見るも、明確な理由はやはりでない。

となると、地道に村を探索するほか無い。

流石に至近距離に捉える事が出来れば

いくら妖力を抑えるのが得意だったとしても探知できる。

何故なら、霊力を探知できないからである。


錫音は妖狐族であり、本来、霊力は食事である。

その為、並の陰陽師よりも霊力には敏感なのだ。

陰陽師の大半は霊力を鍛えてない人間の微弱な霊力は

決して探知することは出来ないのだが

錫音は違い、例え微弱でも人間の霊力を探知が出来る。

そんな錫音が霊力を探知できないのだとすれば

その相手は、そもそも霊力を持ってない可能性が高い。


もし、何かしらの理由で妖力を消せたとしても

霊力を探知できなければ、それは悪鬼だと理解が出来る。

その為、接近さえ出来れば潜伏していたとしても見抜ける。


「でも、近付ければ確実に探知できるとは思うんだよね。

 私は勿論、栗牧だって察知が出来る」

「おや? それは何故ですか?」

「だって、その相手が悪鬼なら霊力がないからね。

 鈴亭には気付けないかも知れないけど

 私達なら探知は出来るんだ」

「あー、なる程。それは確かにそうですね。

 でも、鈴亭が何故探知できないと思うのです?」

「鈴亭達は清流が生み出した、純粋な霊力による式神。

 つまりは霊力その物であるが為に

 人間から霊力を奪う必要がないんだ。

 だから、妖力には気付けても

 鍛えてない様な人間が持っている

 微弱な霊力には反応出来ないんだよ。


 逆に私達の様に本来霊力を奪う必要がある妖怪は

 霊力が必要だから、微弱な霊力にも反応出来る。

 だから、霊力が全く無い相手が存在すれば分かるんだ。

 人間で霊力がないのはあり得ないから

 必然的に霊力がない相手は妖怪だと分かるって事」


人間には必ず霊力という物が存在している。

霊力がない人間などはこの世に1人も居ない。

だが、悪鬼に襲われていない人間が持つ霊力は

あまりにも微弱であるが故に、探知が困難であった。

それを食料として狙っている妖怪以外には

探知が困難な程に少ない霊力しかない。


それ故に、霊力を奪う必要がない式神である崎神族には

その微弱な霊力を探知する手段が無い。


「ふーむ、となると?

 錫音お姉様がその妖力を隠すのが上手いであろう

 河童の長を見付けないと気付けないと言う訳です?」

「うん、そうだね。後は凄腕の陰陽師とかかな?」

「おや? 凄腕なら分かるんですか?」

「凄腕ならね。でも、そんな陰陽師は少ないから」


自身に眠る霊力をひたすらに感じる事が出来る陰陽師なら

微弱な霊力にも反応出来る可能性は大いにある。

特に安野柄家の人間であればより確実に探知が可能だろう。

安野柄家が代々、陰陽師の長をして居る理由でもある。

彼女彼らは高い索敵能力を持っており

陰陽師の才能を見抜く技術に秀でていると言える。


「だから、可能なら私の方で探知して対処したいんだよ」

「えー、でもー、来てくださいよー、見てくださいよー

 栗牧達が作ったお家ですよ? 組織ですよ?

 九つの珠尾が活動してる屋敷ですよ?」

「でも、あぐ!」


そんな会話をしていると、錫音の右腕から血が噴き出す。


「えぇ!?」


錫音の強さを目の当たりにした栗牧は

当然、そんな場面を見て動揺を見せた。

あの姉が、攻撃を受けるはずも無い。

自分も何も感じ無かった、気付けなかった。

何があったかも分からない。


「……これ、いだ!」


今度は錫音の左腕から血が噴き出す。

何かに強く掴まれた様に肉が抉れた。


「あは! あはは! 久し振り! 錫音お姉様!」

「この声……あ、甘露?」


錫音が視線を向けた先には

自分と同じ場所を負傷した妹。

八女、甘露の姿があった。

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