表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
守護狐の千年物語  作者: オリオン
第2章、都の騒動
24/41

陰陽師の武器

幸子が陰陽師になると志したことで

清美は彼女と一緒に行動する事にした。


「あ、清美様……その女の子は?」

「陰陽師志望よ売られたそうでね」

「そうですか……でも、売られたというのに

 凄く上質な着物を」

「私が買ったのよ」

「そうなんですか!?」

「えへ、えへへ! 綺麗でしょ?」

「うん。綺麗だね」


桐絵が幸子の姿を見て優しく微笑んだ。


「あ、そうだ。私の名前は桐絵。

 あなたのお名前は?」

「幸子だよ」

「幸子ちゃんかぁ、良い名前だね」


桐絵はすぐに幸子と仲良くなった様子だった。

どうも、子供の相手が得意な様子だった。


「あんた、子供の扱い得意なの?」

「はい、村に小さな女の子が居るんですよ。

 成長が遅いみたいで、まだ小さいんですけどね。

 ふふ、3年間はお世話してあげてたんです。

 血は繋がってないんですけど、妹みたいな子です」

「どう言う事? 何であんたがお世話してるの?

 親とか居るんじゃないの?」

「それが、その子、記憶がないみたいで。

 凄くボロボロだったので村人総出でお世話してたんですよ」

「ふーん」


桐絵とそう言う話をした記憶が無い為

少しだけ驚きの表情を浮かべた。

実際、面倒見が良いとは思っていたが。


「今度、その子が好きな

 黄色の花を模った着物を贈ってみます!」

「黄色の花って、また曖昧な。

 て言うか、なんで贈ろうと思ったわけ?」

「その……い、妹みたいに大事にしてる子だから

 少しはお姉ちゃんらしい事をしたいなって。

 幸子ちゃんが喜んでるのを見たら

 服を贈ったら喜んで貰えるかもと思って」

「まぁ、良いんじゃ無い?」


実際、幸子も服を贈ったら喜んで貰えた為

きっと子供はそう言うのを貰ったら喜ぶのだろう。

服に興味が無い彼女には特に理由は分からないが。

そもそも、誰かに何かを贈った経験が無い。


「でも、それは後ね。後、今日はまだ駄目よ」

「はい、分かってます。付いていきますね」

「えぇ、付いてきなさい」


とりあえず、清美は2人を連れて自分の家へ戻る。

そして、早速自分の両親に対面した。


「お父様、お母様、居るでしょ?」

「お前が俺達の部屋に来るのは珍しいな。

 ん、何だ、その小さな子は」

「悪鬼に襲われてたから助けたのよ。

 で、売られて家が無いらしいわ。

 んで、陰陽師になりたいらしいから

 今日から私の部屋でこの子寝かすから

 一応言っとこうと思って」


今までかなり横暴な態度を取っていた娘が

不意にそんな事を言い出したのを聞いて

両親はかなり困惑の表情を浮かべていた。

桐絵を連れてくる事は良くあるから良いのだが

自分から誰かを育てたいと言いに来たのは

今回が初めてであった。


「……お前が? どう言う風の吹き回しだ?」

「理由なんてないわよ、気まぐれ」

「……服まで買ってやって。気に入ったのか?」

「違うわよ。面倒くさいけど死なれてもあれだから」

「そう……ねぇ、あなた。

 もしかしたら良い切っ掛けになるかも」

「そうだな」


もしかしたら、彼女を通して

清美が成長出来るかも知れない。

両親も清美の成長をかなり気に掛けて居るため

僅かでも娘が成長出来るかも知れないと思えば

その可能性を無下にすることは絶対にあり得なかった。


「よし、分かった。良いぞ」

「まぁ、あんたらが反対しても強行してたけど。

 了承が貰えたなら、別に良いわ。

 それじゃ、文句言わないでよ」

「はぁ、一言多い。素直にお礼を言えないのか?」

「なんでお礼なんて言わないといけないのよ。

 別にあんたらが許可出さなくても関係無いのに」


相変わらずの横暴な態度に少し腹を立てたが

このまま論争を続けても喧嘩になるだけだ。

今回はあまり強く言わないでおこうと2人は判断した。


「じゃ、家回るわ」

「好きにしろ」


その会話を最後に、清美は2人を連れて屋敷を回った。

とりあえず、自分の部屋に2人を連れてくる。


「やっぱり道具しか無いですね」

「普通でしょ?」


清美の部屋には殆どの家具が無かった。

最低限の寝床と大量の書物があるだけ。

着物などは何処にも無いし、仕事着位しか無い。

そして、色々な針や符が入ってる引き出し位だ。

本当に戦う事しか興味が無いのかと疑うほどだ。


「清美お姉ちゃん。これは何?」

「それは霊符よ。霊力を込めて合図をしたら

 好きな時に爆発を引き起こす事が出来るわ。

 霊力の爆発だから、悪鬼には効果抜群で

 人間には大した影響はないわ。

 因みに私は基本的に符としか言わないわ。

 だって、符ってこれしか無いし」

「この針は?」

「それは霊針っていって

 突き刺した場所に霊力を叩き込めるの。

 合図をしたらこれも爆発する様になってるわ。

 でも、符よりは規模が狭い。


 とは言え、突き刺さった後に霊力を放出するのだから

 悪鬼には効果抜群。人間には上手く刺す事で

 霊力を一部分け与えることが出来るの。

 霊具神姫の魂宿りを応用して作ったの。

 でも、人間に霊力を分け与えるときに

 この針を突き刺さないと駄目だから

 あまり出来ないんだけどね」


陰陽師の中で唯一清美のみが扱える武器はこの針だった。

霊針れいしんと命名したが、基本的には針としか言わない。

どうせ針と言えば、この霊針しか無いのだから

わざわざ霊針と言う必要は無いと考えたからだ。

元は名前などは考えるつもりは無かったのだが

亜希子の趣味で名前は欲しいとなり

2人で考えた名ではあった。


「ま、私以外には仕えないんだけどね、霊針」

「うぅ、霊針を使おうとしても全然駄目で」

「術式は簡単な筈なんだけどね」

「じゃあ、これは?」

「それは式紙。その式紙を使えば式神を用意出来るわ」

「え? 式紙を使ったら式紙?

 式紙は式紙以外にあるの?」

「……漢字分かるなら分かるかもだけど」


少し不安に思いながら、漢字を書いて幸子に見せた。


「こっちが式紙。この紙の事よ。

 こっちの式神は式紙とは違って」

「神様なの!?」

「神様とは違うわね。まぁ、語感が良いから

 式紙と式神をあわせたんだと思うわ」


流石にそこまで興味が無いので適当に清美は答えた。

重要な事でも無いの為。


「へぇ、分かりにくいね」

「感覚で良いわよ、こんなの」


かなり雑に会話を切り。清美はとある紙を用意した。

式紙の紙と少し似ているが、別の紙だ。


「まぁ、ここら辺は良いわ。でも、これは覚えてて」

「うん。何? これ」

「吸紙と呼んでるわ。霊力を吸収する紙。

 あんたには今日から、この吸紙に霊力を吸わせて

 無理矢理霊力を強化していく。

 かなり辛いから、覚悟しなさいよ」

「う、うん……えっと、どうするの?」

「紙に意識を集中して。そうしたら

 一気に霊力を吸われて凄くしんどくなる。

 これは必要な訓練よ。必ずするわ」

「う、うん……えい……あ、え!?」


幸子が少し吸紙を見ると、吸紙が淡く光る。


「あ、れ? ふ、ふらふらして……」

「そう。これで霊力を吸われたわ。

 あんたは霊力を消費して

 少しでも霊力を増やすようにしないと駄目なの。

 これから毎日やる事になるから、覚悟しなさい」

「う、うん……陰陽師になるには」

「えぇ、絶対にやらないと駄目よ」

「う、うん……が、頑張る!」


少し辛そうな幸子を見て、清美は少し不安を抱くが

きっとすぐに諦めるだろうと思い

これ以上は何も言わない事にした。


「……清美様」

「あ?」

「私の事も幸子ちゃんと一緒にきたえてください!」

「何でよ」

「お願いします! 辛くてもします! だから!」

「絶対に抜かれて惨めな思いをするわよ」

「構いません! ですので、どうか!」


桐絵はすぐに頭を深々と下げて、清美にお願いをした。

少し困惑した表情を見せながらも

どうせいつも鍛えてるしと言う考えもあり

あっさりとその提案を受入れた。

こうして、2人の訓練が始まった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ