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【FILE.28】黒瀬乃亜の手記

西暦2050年 9月27日


 研究センターの並行世界接続ゲート開発プロジェクトのリーダーを担う神威円(かむい まどか)からの依頼で、所属研究員の日ノ寺司(ひのてら つかさ)の動向を探る事になった。ゲート開発に際して世界構造の研究の第一人者である彼を招集したは良いが、見るからに怪しい動向が目立つとの事だった。

 動向調査の中で、彼が並行世界接続ゲートを悪用した重大テロ計画を思わせるような発言を多々していた事が分かった。本人は「これはある種の忠告」、「接続ゲート稼働にあたり懸念される危険性を述べただけ」としているが、明らかに不審な行動が見られる。引き続き調査を進める。


10月1日


 日ノ寺司の自室の捜索許可が下りた。部屋には研究資料や論文などが多数あり、そのどれもが現在実用化されている技術を大きく上回る内容であった。その資料の一部に、"修正エネルギー"に関する記述を見つけた。修正エネルギーの概念は彼が初めて見出したものというのは界隈でもかなり有名な話だ。資料に目を通していた私は衝撃的な記述内容に絶句した。

「修正エネルギーがある程度の量あれば、歴史を意のままに書き換える事も容易い」

 司は"忠告"等と都合のいい言い訳を盾に、接続ゲートを悪用して歴史を意のままに書き換えようとしているのでは、という考察が過った。まだ実行には移していないとはいえ、少なからずこのような危険思想を持つ人間が研究チームに居てはチーム全体の士気に関わる事になりかねない。早急に手を打つ必要がある。


10月6日


 日ノ寺司はプロジェクトチームを外され、研究センターを実質追放という事になった。司の計画を崩す、それは円からの依頼という事もあったが、円の実の兄であり私の同期だった神威郷の仇を討つ、という目的もあった。神威(ごう)は依頼無しで独自ルートで司の動向を探っていた。そして、あと一歩で彼を追い込めるという段階で、口止めに殺されたのだ。私はあの日の無念を忘れてはいない。

 司は追放できたとはいえ、彼が安易に諦めるようには思えない。何等かの方法で我々に報復を、或いは本当に全ての世界を支配しようと目論むかもしれない。そんな事は絶対にさせない。私の、いや、我々時空管理局の手で必ず阻止する。

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