表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Ride on Multiverse ~時空管理局並行世界特務調査課~  作者: 夕景未來
第3部『バベルの再建者』
44/55

【FILE.26】正史の歌姫、ここに顕現

 『神域凸』配信当日を遂に迎えてしまった。私―――春馬芽衣(はるま めい)は友人の群生(むれおい)さくら、そして彼女の先輩である泊塔子(とまり とうこ)と共に、配信が行われる現場であるG51世界線に来ていた。私の心は緊張と羞恥心で一杯だった。私は今―――


―――コスプレをした状態でこの場に立っているのである。


(もう後には引けないのは分かっているけれど、やっぱり無理だああああ!!!)

 この『神域凸』配信の主役である世界的人気を誇る配信者メイメイは並行世界線上の私だ。同じ存在と言っても過言ではない私達なのに、同業者として人気の差は歴然。それだけでも気に入らない相手であるに加え、今世界中を騒がせている並行世界混線接続の主犯でもある。私はさくらと塔子と共に、メイメイの配信に乱入、彼女の計画を妨害する事にした。

 私はバーチャル上のアバターを介して配信をしている業態を取っている為、生身で表舞台に立つのには慣れていない。尚且つ今、自分が使っているアバターキャラのコスプレをしている為、周囲の視線がとても気になる。そのせいか先程から心臓が激しく脈打っているのだ。しかし、そんな事を言ってはいられない。今日という日の為に色々と準備してきたのだから。

「さくら…私、ちゃんと出来るかな?」

 隣にいるさくらに弱音を吐く。すると彼女は笑顔を浮かべてこう言った。

「大丈夫だよ!何かあったら私達がフォローするし!」

「そうよ。芽衣ちゃんは貴女がやりたいようにやればいい。この配信を好きに掻き乱して主役の座を奪っちゃいましょう!  それに、貴女は一人じゃない…私達がついてるわ、自信持って良いのよ?だって貴女の味方は…最強の魔法少女アイドル、"ちぇり♡とま"なんだから!」

 そう言って塔子がウインクを見せる。さくらと塔子もまた、配信時に着ている可愛らしい魔法少女の格好をしていた。二人共、私が不安にならないよう敢えて明るく振る舞ってくれたようだ。本当に頼れる友人を持ったものだなと思う。

「ありがとう……よしっ、頑張るぞ!!」

 二人の励ましを受けて私は気合が入る。配信開始時間を前に、現地で待機しているメイメイの信者達が沸き立つ。乱入のタイミングはメイメイ本人がステージに立って、一曲目を歌う直前。私は胸に手を当て、ステージを見据える。


―――此処で思いの丈を、全てぶつけてやる!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ