表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/16

累計PV3000突破記念番外【パン作りへの道のり】

祝!累計PV3000突破!!


皆様、ありがとうございます!


本日の番外はリューリくんのパンを作るという情熱というより執念のお話です。

それは、ある晴れた日の午後にライヘン家に落ちた雷から始まった。



「リューリ!!また、勝手に調理室に入ったわね!!」


「ひぃぃっ!!ご、ごめんなさーい!!」


「待ちなさいっ!!何度言ったらわかるの!!貴方の遊び場じゃないのよ!!」


普段は優しく病人や怪我人を労るその美しい顔を怒りに目を釣り上げ、叱っているのはこの家の奥さん、イリス・ライヘン。


そして、叱られているのは、ライヘン家の嫡男、リューリ・ライヘン。


騎士爵の貴族とはいえ元は冒険者上がりの彼女。普通の貴族婦人のように美しさと気品を追求して貴族とは何たるかという事よりも、どちらかといえば平民の感覚が長かった為、こうして、子供が悪さをすれば叱る。


そんな彼女は何も回復魔法だけが得意な訳では無い。つまり……



「遊んでないって!僕はまじめっぶぎゃっ!!」



母の様子に逃げようとしたリューリ。だが、母の魔法の前にはそれは悪手だった。水魔法でリューリの頭上に水玉を作り落としたのだ。



「あら、何処に行こうとしてたの?」


「冷たっ!ぁっ、いや、と、父さんに呼ばれててっ」


「ふふっ、リカルドなら今は執務中よ?……それより、母さんとお話しましょ?」


「か、母さん?お、落ち着いて?ね?」


「私もね?何度も怒るの嫌なのよ?でもねぇ、何度言っても勝手に入ってマスカを困らせるのはだぁれ?」


「ひぃっ!ち、ちゃんと手伝ってるよっ?!」



びしょ濡れのまま、怒るイリスを落ち着かせようとするが、ライヘン家の怒らせてはいけないNo.2には通用しない。



「手伝えばいいってものじゃないでしょ!」


ーーゴチンッ!


「いったぁーー!!」


「痛くしたから当たり前!調理器具で怪我したらどうするの!」



ゲンコツを落とされその場に蹲るリューリに更に怒るイリス。怒りはまだ収まっていない様子に涙目になりながらもリューリは反論をした。



「怪我をしないように包丁も火の元もマスカさんにやって貰ってるから!大丈夫だって!」


「大丈夫じゃないでしょ!だいたい、なんでそんなに調理室にはいるの?マスカの料理も美味しいじゃない」


「僕が作りたいのはパン!柔らかふわふわパンなの!」


「パン〜?パンなんてマスカがいつもが作ってるじゃない」


「そうじゃないんだよ!今のパンは時間が経つと固くなって、せっかくのパンが勿体ないでしょ?そのパンが最後まで美味しく食べられたら嬉しいじゃん!それに……」


「一体、どうしたんだ?2人とも」


「「リカルド!父さん!」」



執事のバロッサを連れて2人の居る廊下より奥から来たのは家長のリカルド。声を掛けられた2人はそちらを振り向き、驚いたように声を上げた。


その様子に驚きながらも苦笑いをすると、バロッサにタオルを取りに行かせた。



「なるほど……。リューリはその柔らかふわふわパンを作りたいのか」



2人の話を聞くと戻ってきたバロッサからタオルを受け取りリューリの頭を拭きながら、2人の話を聞き纏めた。


「リューリ。母さんが怒るのもわかるよな?なら、父さんから調理室を使う時の約束だ」


「約束?それを守れば使ってもいい?」


「ちゃんと守れたらな?約束の内容はマスカが包丁、火の元を使う事。それから、使う前に父さん達に調理室に行く事を必ず言う事。この2つだ」


「リカルドっ?!」


「イリス、《魔素の森》に隣接している限り、森へ行って戦闘をしてくれば、いずれ怪我をする。それが、調理室になるだけさ。それに、リューリは俺達の子供だぞ?ダメと言われて辞めるような性格じゃないさ」



リカルドはリューリと目線を合わせるようにしゃがみながらそう言うと、側で驚いているイリスに肩を竦めて苦笑いをした。


それは、約束を守れば調理室を使う事の許可だった。これには、リューリも驚いた。なんせ、今までは、こっそり入っていたからだ。



「いいの?」


「約束、守れるか?」


「守る!絶対、守るよ!」


そうして、リューリは満面の笑みを浮かべ嬉しそうにリカルドに礼を言うのだった。



「それで?柔らかふわふわパンとやらはどう作るつもりなんだ?」


「《天然酵母》を使うよ!」


「「てんねんこうぼ?」」


「そう!果物が発酵する時に出てくる酵母っていうのが必要だからね。ちなみに酵母っていうのは……もがっ!」


「わかった、わかった。約束を守れるなら好きにしなさい」



夫婦は天然酵母と言われ聞いた事が無いのか不思議そうに首を傾げた。


リューリは、その様子を見て嬉しそうに話をしようとしたが、リカルドの手によって遮られ不満そうにリカルドを見た。


「その様子はイリスにそっくりだな。好きな物や新しい物について話し出すと中々止まらない。懐かしいよ」


「あら、私はそんな事してないわ」


「いやいや、何度か冒険者時代にあったって」



そんな一悶着があったが、ようやくリューリの調理室の入室許可が出ると、その日のうちから《天然酵母》を作り始めたのだった。




皆様、いかがでしたか?


どの家庭でも強いのは母ですね(笑)


本編共々、これからもよろしくお願いします!


感想、ご意見、はたまたリクエスト等、受付ておりますので、よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ