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依頼した武器


 翌日Dランクになった私だったが、聞いていた噂と違っていたことがある。それは、特別(イベント)クエストというのを受けないと次のランクになる事はできないと聞いていたのだが、イリアさんに聞いた話によると、本来特別クエストを受ける人はランクを上げる近道という事らしい。

 

  ランクを上げる方法は、依頼した人のお願い事を何個もこなす事やたくさんのクエストを受けることで上がるというのと、もう一つは特別クエストで今までとは違うレベルの高難易度クエストをクリアする事でランクをあげるという二つが用意されているということだ。


 つまり今回私がやったのは、一定の数のクエストをこなした事でDランク冒険者になる事が出来た。

そして今日イリアさんに呼ばれ、私達三人はカウンター前に集まっていた。


「それで一体、用事は何なのかしら?」


 カルーシャはイリアに聞いた。


「実はここメイナード王国から南南東辺りにウルトスの港があるんですがそこから船に乗って、南東にあるオラスト地方に行ってもらった後、オラスト村に行って欲しいんです」

「イリア様、勿論行くだけではないんですよね?」

「はい、ですがそこから詳しくは私も分からないんですが、オラスト村に住む村長さんが色々説明して頂けると思いますので、えぇっと、行って頂けますかね?」

「どうするの?ライカ」


 カルーシャは私の方に向いて言った。


 急にここメイナード地方から離れて、オラスト地方っていう所に急に行けと言われても、詳しいクエスト内容が分からないのが少し怪しい所でもあるけど、メイナード地方だと逆に私がハラハラするような敵が見当たらないし、旅に出るのも悪く無いかもしれないな。

 ていうかそもそも、メイナード王国以外にギルドってあるのかな?


「イリアさん、ちなみにギルドってここ以外にもあるんですか?」

「はい、ギルドは世界各地の王都にありますので、ライカ様の冒険者カードを世界各地のギルド員に見せて頂ければ大丈夫です」


 なるほど、ギルドは王都には無いとすれば、これから向かうオラスト村に行き、クエストをこなした後はまたメイナード王国に戻った後、旅に出る事にしようかな……。


「なるほど分かりました。ならそのクエスト引き受けます」

「ほ、本当ですか!」

「ライカ本気でやるの?詳しい内容が分からないのに」

「うん」


 私はカルーシャの方を向いて頷いた。


「それとそのクエストをクリアした後、旅に出ようと思います」

「旅ですか?」

「なるほどね、急にギルドの話を始めたからどうしたのかと思ったけど、そういう事だったのね」

「私達は神の導きに従うだけですので、どこまでもお供いたします」


 元々カルーシャとアイシャはお花の女神であるタレイアの導きで私のもとにやって来た姉妹でもある為、旅をする事をすぐに認めてもらった。


「ありがとうみんな」

「それじゃあ、ウルトスの港にレッツゴーね!」

「あっ、その前に寄りたい場所があるんだ」

「寄りたい場所ですか?」


 ウルトスの港に向かう前に武器屋に寄ることにした。

なぜなら、私が初めて冒険者としてこの王国に来た時にサランさんに竜の素材で作られた武器を支払って頂いたし、武器屋のドラトンさんに頼んでいた物でもあるから、そろそろ完成したんじゃないかっと思って見に来ていた。


「寄りたい場所ってここかしら?」

「武器屋のようですけど……」


 カルーシャとアイシャはポカンとした表情だった。


「まぁ、入ってみれば分かると思う」


 ガチャ!


 扉が開いた音で奥で武器のメンテナンスをしていたドラトンが反応して、入って来た者を見てみると何やら嬉しそうにライカの方に向かって来た。


「なんだライカじゃねえか、お前の活躍と噂は色々耳にしてるぞ」

「ははっ、それはどうも」


 ドラトンさんにも私が過去にやらかした事がバレてるのか。私が落ち込んで下を向いていると、カルーシャが私に話しかけた。


「それでこのドワーフに何の用なのかしら?」

「ちょっと、お姉様!」


 姉の口の悪さに、流石に慌てて言うアイシャ。


「その二人はお前のパーティ仲間か?」


 私は頷き、二人の紹介をした。


「そう、この赤い猫耳の子がカルーシャ、主に魔法使い(ウィザード)なんだよね」

「宜しくね」

「そしてその隣にいる大人しい性格の白い猫耳の子がアイシャ」

「はい、アイシャと言います。主に弓使い(アーチャー)としてライカ様やお姉様の援護をしています。よろしくお願いします」


 流石アイシャだ。姉のカルーシャとは違ってとても礼儀正しい子だな……


「わしはドワーフのドラトンじゃ、この武器屋の店主じゃ。それよりライカどうしてここに来たのじゃ?」

「前に頼んだ武器が完成したかどうか聞こうと思って」

「なんじゃ、そういうことじゃったか……もう既に完成してるぞ」

「ほ、本当!?」

「うむ、奥から持ってくるから待っておれ」


 ドラトンは武器屋の奥に行き、依頼した武器を取りに行ってくれていた。

 まだ頼んでから四日しか経過してないのに、こんな短時間で作り上げるなんて流石ドラトンさんだ。


「それにしても急に武器屋に来たから準備の為に何か買うと思っていたのだけど、まさか頼んでいたなんてね」

「はい、私も驚きです。ちなみに何のモンスターの素材で作られた武器なんですか?」


 何やらカルーシャとアイシャは何のモンスターの素材を使ったか凄い気になる様子だ。

私は胸を張ってモンスターの素材名と集めた経緯説明すると……


「「ど、(ドラゴン)!?」」


 カルーシャとアイシャはとても驚いた顔をしていた。


「竜といえば、あっ、あの竜なのよね」

「しかもメイナード王国付近にあるマイアナ火山の主と言われているあの竜を一人で倒しちゃったんですか?」

「そうなるね、ははは……」


 あの時は本当にやむを得ない状況で倒した竜がまさか、皆が驚く程の竜だったなんて一ミリも思わなかったな。


 とことこ!

 

 その頃奥に行ってたドラトンが、依頼した武器を持ってこちらにやって来たが、武器がまだどんな感じかはまだ見えなかった。黒い布で隠されて見えない状況だった。


「もしかしてこれが依頼していた武器ですか?……黒い布でまだ分からないですけど」

「どんな武器か早く見てみたいわ」

「私もです」


 ドラトンは、ワクワクしている私達を見て笑っていた。


「ホッホッホッ、気持ちは分かるがそんな慌てなくて大丈夫じゃ」


 そう言うと、ドラトンはゆっくりと黒い布を取っていくと……下からグリップの部分から上の刃の部分が露わになった。


 とても大きな(つるぎ)で、持ってみるととても軽く戦いの時にはとてもありがたいだろう。


「刃の部分が凄い磨かれていてまるで鏡みたいね」

「本当です」


 カルーシャとアイシャはワクワクしながら、武器を見ていた。


「ライカ、この武器の名前は(ドラゴン)(つるぎ)で問題ないか?」

「はい、大丈夫です!」


 名前は意外とそのままの名前だけど、竜の剣を持つことが出来るなんてとても幸せな気分だ。


「なら良かった。それじゃあ確かライカは鑑定スキルを見ることが出来たな」

「はい、見れますが……」

「ならその竜の剣の性能を見てみるといいじゃろう」


 私はドラトンに言われたように竜の剣の性能を見ると……


 ━━━━━━━━━━━━━━━

 竜の剣

 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 攻撃力:280

 ━━━━━━━━━━━━━━━


 攻撃力280ってマジか……今装備してるこのバスタードソードでさえも28なのに、凄い攻撃力だ。

 私が驚いている表情を見ていたカルーシャは、私に話しかけた。


「それでどうだったのよ」

「まさかの攻撃力が、280なんだよね」


 私のこの一言で、カルーシャとアイシャはとてつもなく驚いて大声で言った。


「「に、280!?」」


「わしも驚いたよ。こんな凄い武器をDランクのお主が装備すると考えると凄い事じゃ。」

「ありがとうございます。ドラトンさん」

「いやいや、こんな凄い物を作る事が出来たわしの方こそありがたいことじゃ、ありがとうなライカ」


 ドラトンは感謝の気持ちで頭を下げてくれた。


「それじゃあこの武器を持って、今度こそウルトスの港に向かうわよ!」

「「お〜!!」」


 私とアイシャは、手を思いっきり上げて返事をした。


「お主らの活躍これからも期待してるぞ」


 ・竜の剣を獲得致しました


 そう言えば出発する前に、一つ聞きたいことがあるんだった。


「そう言えばどうして私が鑑定スキルを持っているって分かったんですか?」

「それは簡単な話じゃよ。お主がサランと何やら武器を探している時に、鑑定スキルの事を話していたのをわしは聞いてたからじゃ」

「な、なるほど」


 あの時から既にバレていたなんて思わなかった。今度から出来る限り言わないで置くとしようか……


「何やってるのよライカ!早くウルトスの港に向かうわよ」

「ライカさん!早く!」


 確かにそうだね。ここで考えていても仕方ないし、まずはウルトスの港に向かうとしますか……


 私とカルーシャとアイシャは、メイナード王国の南南東に位置する港、ウルトスの港に向かう事にしたのだった。

次回は遂に海を渡ります。

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