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我らは英雄だ‼  作者: ケシゴム
四章
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っていう話

「ふぅ~……また帰って来たな。なんか久しぶりな気がするな……」

「何言ってるんですかリーパー。半月ぶりくらいですから当然です……」

「そうだったな……」


 日本からの帰国後、襲撃やクレアたちの件もあり、俺たちはアルカナに五日ほど滞在した。アルカナには特に、バイオレットさんを含むラクリマ直属の超人ばかりの守護部隊がいて安全だったからだ。


 ラクリマが聖刻の力を使って集めた警護部隊は、バイオレットさん以外、毎日感謝の正拳突き一万回して音速を超えたみたいな人や、アメリカと個人的に不可侵条約して地上最強と呼ばれたみたいな人ばかりで、ラクリマ曰く、一対一の戦いにおいては全人類で三十位以内に入る強者ばかりらしい。


 そんなバトル漫画のドリームチームのような部隊がいるアルカナで、俺たちはクレアたちの休養と互いの成果、今後についての話し合いを行った。そんな中で、最終的にはやはり俺たちは全員が加護印を得て、聖刻を獲得して魔王討伐に向かうと決めた。

 そしてそのためには、やはり設備が整ったキャメロットでアニー先生の授業を受けながら知識を深め、同時に体を鍛え、戦術や技術を身に付ける事が最も効率が良いと判断した。

 そうすれば少なくとも、例え加護印を全員が発現させられなくても、最終的にはアルカナにある、加護印を持つ聖職者が揃う寺院で修行するだけの力を得られると考えての事だった。


 これには……あ、ちなみに、突然話は戻るが、バイオレットさんは全人類の中では百五十万位くらいの強さらしいのだが、ラクリマのあの幽体離脱のような姿を見えるから一番重宝されているらしい。

 聞けば、ラクリマの力は全部聖刻の力らしく、あの幽体離脱のような技なんだか術なんだかは知らないが、あの姿を認識できるのは今のところ俺とバイオレットさんくらいで、あれがあるからラクリマは毎夜バイオレットさんの部屋を訪れてアニメを見たりYouTubeを見たりして、ビックリマンシールやらなんだかんだ密輸してもらっているらしい。だからあの二人は異常に仲が良く、姉妹のような関係になれたのかもしれない。


 まぁそんな感じで、いきなり話を戻したから何考えてたか忘れちゃったけど、なんか色々あってまたキャメロットに帰って来たって感じ。


「そんなことよりもリーパー、お昼から直ぐトレーニングですよ。早くご飯を食べましょう……」

「そうだな……」

「……そうです」


 キリアはまだフランスで治療中。アドラとパオラはさすが黄泉返りだけあってもうギプスは取れたがまだ治療中。そしてクレアもだいぶ痣は消えたが治療中。それでもフランスに行ったチームは男との戦闘で自分たちの非力さを痛感しやる気が漲っているのか、いきなり帰宅したその日にトレーニングをすると言い出した。

 日本に行ってただ豪遊して帰って来た俺たちは、いくら加護印を得ていたからとはいえクレアたちの話を聞くと反省するしかなく、賛成するしかなかった。


「じゃあ早く部屋に戻りましょう……お母さんが待ってます……」

「あぁ……」


 当然俺とリリアは、帰国してすぐトレーニングなどしたくはなかった。だってそうだ。日本で買ったお土産はいっぱいあるし、リリアたちだって久しぶりにおばさんといっぱい話をしたいだろう。あれだよ? 別にクレアたちの話を聞いて、俺たちにはまだまだ力が足りないって話聞いてなかったわけじゃないよ? それにクレアたちは大変な目に合ってるのに、日本で遊んでいたのだってちゃんと反省してるよ? だけど今日は違くない? 移動日は移動したらそれで終わりじゃない?


 午後からのトレーニングは、過負荷トレーニングとかいう体に異常な負荷をかけて鍛えるとかいうヤバイトレーニングだ。なんか、もう俺たちには時間が無いようで、もう間に合わないから“無理矢理行くしかない!”っていう感じで、クレアたちがそういうのは分かるけど、何故かフィリアもジョニーもヒーもそういうの好きみたいでめちゃめちゃやる気で、そういうのは苦手な俺とかリリアは、クレアたちの話を聞いて十分そういう事は分かっているけど、それでも嫌だった。


 それこそ……あ、ちなみに、フィオラさんはもう入院は必要ないくらい回復したけど、キリアがまだいるからそのまま警護に回るらしく、まだフランスに残っている。


 それで……あ、なんだったか忘れたから、先ずは午後からのトレーニングに備えて先ずはリリアたちの部屋で昼食を取ることにした。


 ――今回のクレアたちが負傷した件は、俺たちにとっては悪い事ばかりじゃなかった。アルカナで突如襲ってきた四人のスパイと、クレアたちが襲われた男との関係については未だに分からないままだが、俺たち次期英雄候補者を狙う存在。男が持っていた謎の紋章。俺たち日本チーム全員が加護印を得ていたという事実。俺たち全員の非力さ。そしてキリアが加護印を発現させたという報告などなど。意外と得る物も大きかった。


 そんな中でも、俺たちとクレアとの絆が深まった事や、アドラとパオラの秘密、エリックの決心、フィリアとジョニーのやる気など、俺たち三年一組の絆を深めるような収穫は特に大きく、俺たちはまた一つチームとして大きな成長をみせた。


 先ずクレアとだが、心身共に大きな傷を受けたクレアは、ずっと元気が無かった。だが俺たちが励まし続けると次第に笑顔を取り戻し、本音を話すようになった。本音と言っても何か重大な秘密やぶっちゃけると言うわけではなく、自分はこうだったとか、こうならなければならなかったとかいう、心の蟠りみたいなものだ。

 それでもなんかお互い本音で語り合ったような気がして、距離が縮まったような気がした。何より、落ち込んでいたせいかクレアはとてもおしとやかで、いつもみたいに怒らないし、貴様とかも言わないしで、なんかちょっと可愛いな~と思うほどで、今じゃやっと普通の女友達という感じになり、なんかちょっとアリっちゃアリのような関係になれた。


 次にアドラとパオラだが。先ず二人は、魔具と呼ばれる魔法により作った武器を出せる。

 アドラはあの時見たFFの主人公が持つような大剣。パオラは白くってめっちゃ綺麗な細剣を出せ、普段は意識して出せないが、めっちゃ本気になるとバイクのエンジンみたいな物が付いて、それがエンジン音みたいな音を出して動くと三つの玉がブンブン回って重くなり、トカゲみたいに棘が出て、チェーソーみたいにギュンギュン歯が回る訳が分からん凶悪な大剣が出せるらしい。

 パオラの剣に関しては、命がけの戦闘中に見たクレアと、自分でも良く分かってないパオラから聞いたから訳が分からないが、とにかく二人はそんな感じの剣をいつでも出せるらしい。


 これはかなり難しい技術らしいのだが、二人はいつからそれが使えたのかさえ分からないようで、結局らちが明かず『さすが黄泉返り!』で終わらせたからそれは多分一生謎のままだろう。

 

 そしてここからが重要で、実はパオラはオッドアイという、右目は赤、左目は青という特殊な瞳の色をしており、性質の違う二つの魔力を同時に使えるという凄い力を持っていたようで、普段はカラーコンタクトを入れて両目を紫色にしていたから誰も気づかなかったが、これはかなり凄い事らしく、なんか魔力に付いては俺じゃあ分け分からんが、リリア曰く、『悪魔の実の能力とチャクラが同時に使える』というとにかく凄いんだがそれほど違いがあるのかよく分からないけど、一億年に一度の美少女くらい凄い力らしい。

 まぁ実際、ただでさえ可愛いパオラなのに、あれだけ美しい色違いの瞳を見せられれば、それはもうアリと思ったクレアなんて目じゃなくて、もうパオラ以外狙う相手はいないだろうくらい可愛くて、いつかはパオラと二人っきりになって、師匠として色々教えなければならないと思うほど、逸材的力だった。

 ただ実際それがどれほど凄い事なのかは俺じゃ未だに分からず、とにかくパオラは俺の中ではスクーピーと二大アイドルとなった。ちなみにパオラ俺の事好きだって! 『うん。師匠好きだよ?』って言ってたから! Fuuu!


 で、あれだ。エリックは男との戦いで全く戦闘に参加できず、スクーピーを守るのに必死だったらしいのだが、それすらも叶わないと思うほど恐怖を覚えたらしく、このままじゃ駄目だと思ったらしく、これからせめてスクーピーを守れるくらい強くなりたいとか言っていた。

 ただパオラの後だから適当になっているが、その決心はかなり本気のようで、なんだかエリックが男らしく見えた。もしこのまま本当にその決心が揺るがなければ、エリックはもしかしたら俺たちの中では一番強くなるような可能性を感じさせた。


 そして最後はフィリアとジョニーだが、ジョニーは元々努力とか好きだから皆やる気になったからテンションが上がっていたようで、フィリアは頭がおかしいから、これから自分が好きな人の叩き方を重点的にできて、尚且つ上手くいけば誰かの腹を叩けるから無駄にやる気が漲っていた。って話。


 そんな感じで、かなりクレアたちは危険な目に合ったがラクリマの予言通り試練は乗り越えられたようで、俺たちはまた一つ英雄に近づいた――っていう話。


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