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我らは英雄だ‼  作者: ケシゴム
六章
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選択

 突然始まったエヴァとファウナのお爺ちゃんお婆ちゃん説。何が何だか良く分からないが、フィリアがそう言い始めた事により、世界は混沌としてきた。


「どうゆう事だよフィリア?」

「だから、エヴァとファウナは、リーパーのお爺ちゃんとクレアのお婆ちゃんなんです」

「んん?」


 なんだか良く分からない説明のせいで、皆が首を傾げた。


「おそらくエヴァ……リーパーのお爺ちゃんの力、アズ神様の生命を司る力で二人は若返っているんです」


 アズ神様の力はフィリアの言う通り生と死、両方の力を操る生命を司る力。だけど若返るとかは出来んだか出来ないんだか良く分かっていないこともあり、やはり全員がピンとこなかった。何より俺に関しては、前回のエヴァの変身を見ているだけに、余計にフィリアの説には納得できなかった。


「それあれだろ? エヴァの変身できる能力のことだろ?」

「変身?」

「あぁ。前にエヴァが俺のじいちゃんに変身したのを見た事があんだよ」

「……そうなんですか?」


 どうやらフィリアも半信半疑のようで、俺の言葉にエヴァを見て返答を求めた。それを受けてエヴァが答える。


「う~ん……リーパー、なんでその時変身だと思ったんだ?」

「だってじいちゃん、歯、ねぇもん」

「…………」


 じいちゃんと言えば、歯。俺にとっては歯が無い=じいちゃんだった。


 この俺の説得力に、一時は騙されそうになった皆だが、やはりその説は嘘だという空気が流れた。


 完全に俺の勝利だった。じいちゃんとの深い絆の前にエヴァは論破され、成す術が無かった。すると今度はファウナがエヴァを擁護する。


「クレア。この刀に見覚えはありませんか?」


 そう言うとファウナは、魔具であの真っ白な刀を出現させた。


「それはお婆様の刀! にっ! そっくりだ!」


 一瞬騙されそうになったクレアだが、ファウナが作り出した刀ということを即座に理解し、なんか思わせぶりに見せてただの驚きを見せた。


「そうか……ファウナはお婆様をそこまで尊敬していたのか。私は嬉しいぞ!」


 クレアにとってお婆ちゃんは、とても尊敬する存在らしい。最近元気が無かったが、久しぶりに明るい表情を見せた。


「違いますよクレア。これはファウナ・ブレハートより授かった、正真正銘の本物です」

「本物と言われても……」

「これは、他者には持つことさえ困難を極めることは知っていますね?」

「それは知っている……だけど……それは今ファウナが作ったのだろう?」

「…………」


 前英雄たちは、想像を司るフィーリア神様の聖刻者であるリリアたちのお婆ちゃん、ファウナ・ブレハートからそれぞれ伝説の武器的な物を貰ったらしい。じいちゃんが何を貰ったのかは知らないが、その固有の武器はその人本人にしか扱えないらしく、なんかゲームっぽい。

 しかし今ファウナが持つ刀は自分で作り出したから、信ぴょう性はゼロだった。


「なるほど。これは無理ですエヴァ」


 何が無理なのか、あれだけ騒いでいたのにあっさり諦めるファウナには、圧巻だった。そしてファウナが諦めたせいでエヴァも無理だと思ったのか、ここでとんでもない事を言う。


「よし! 分かった! じゃあお前ら全員かかって来い!」


 何でだよ⁉


「もうお前らには何を言っても無理だから、俺たちはお前らよりも全然強いからそれで良いだろ!」


 全然良くなかった。相当自信があったのかは知らないが、あっさり俺に論破されたのが相当悔しかったようで、エヴァとファウナはまさかの力技で我を押し通すつもりらしい。

 そうなるとだ~れも楯突こうなんて思うわけもなく、もうそれで良かった。


「よし。じゃあそういう事だ。お前らさっさとどっちと行くか決めろ」

『…………』

「じゃあ……私とスクーピーは、フィリアさんたちと一緒に行きます……」


 災難に巻き込まれたくないエリック。空かさずフィリアを選ぶ。


「じゃ、じゃあ俺は、フィリアたちと行く」


 もうめんどいから、俺もフィリアを選択。


「で、では……私もフィリアたちと行く……」


 クレアは多分、自分の考えというより流れに乗ったような感じで答える。


「わ、私は…………やっぱりフィリアさんたちと行きます……」


 ウィラ。一瞬ツクモたちの方へ行こうとしたが、マリアとフウラと目が合うと、本当は行きたいけど向こうがそれは違う的な空気を出したのを読み、泣く泣くこちらを選択。


 これで俺たち弱者組の振り分けは終わった。そうなると非常に残念だが、バランス的にエヴァとファウナはツクモたちの方へ行くことになり、非常に残念だが彼らとはここでお別れとなる。


「良し! じゃあこれで決まったな! ツクモの方にはこっちで一人付けるから、マリアとフウラは気を付けて行けよ」


 何でだよ⁉ なんでこいつらしれっと俺たちにくっ付いて来る気なんだよ⁉


 あれだけ俺たちは強者だバランスだ言っていたエヴァなのに、寂しがり屋か何だか知らないがまさかのフィリア組を選択した。


「おい⁉ ちょっと待てよ⁉ なんでこっち来んだよ⁉ バランス的にどう見てもエヴァたちはあっちだろ⁉」

「何言ってんだ? バランス的にどう見てもこっちだろ?」

「なんでだよ⁉」


 エヴァはどうやら算数ができないようで、この数の不平等さを目にしてもこれが正解だという。


「あっち三人しかいないんだぞ⁉」

「な~に言ってんだよリーパー? 一人付けるって言ったろ? 四人だよ?」


 鬼の首を取ったようにドヤ顔するエヴァだが、全然そういう事じゃなかった。


「それでも全然釣り合わないだろ? それにあっち側女子ばっかじゃねぇか⁉」

「何言ってんだよ? 賢者と聖人がいんだぞ? こっちの三倍くらい戦力あんだろ?」


 あっ⁉ 本当だ⁉


 若き天才魔導士フウラ。剣道の達人ツクモ。俺の妹マリア。そしてなんかエヴァが用意した誰か一人。

 アドラとパオラとキリアが抜けた今、こっちはフィリアとウィラくらいしか戦力が無く、寧ろ足手まといが多いだけに、三倍どころか圧倒的にこちら側がハズレだった。


 手がいっぱい足がいっぱい人数がいても、何ともしがたい圧倒的戦力差に、これは俺たちから頭を下げて頼むべきという衝撃が走った。


「それによ、前にも聞いたろ? フィーリア神様とアテナ神様の聖刻ってのは稀なんだよ。そもそも聖刻を貰える奴の数が違う」


 先ずフィーリア神様とアテナ神様は、神。そして次にその二柱の力は世界を滅ぼすほど強大。故に聖人の数は非常に少なく、そもそもの資格を持つ者自体が少ない。そのためこの二柱の聖人を如何に早くチームに加えるかが大切となる。とアニー先生は言っていた。

 ちなみにアズ神様の聖刻は、力こそは強大だが、聖刻の中で一番簡単に祠に行けて貰えるうえに、結構加護印を持つ者の数も多く、さらに言えば所詮生命しか操ることが出来ないため、物質や法則を操る二柱に比べれば、エヴァ曰くそれほど強力じゃないらしい。


「クレアとリリアとヒー。フィリア側にこの三人が付くなら、他には悪いがこっちを優先しなきゃならない」


 賢者であるフウラを差し置いても三人を優先するというエヴァ。それほど二柱の聖刻者は重要であるという意見には、事実である以上返す言葉が無かった。


「まぁそういう事だ。俺たちの目的は魔王を倒す事だ。人情や精神論は必要ない。必要なのは如何にその確率を高められるかだ」


 とても論理的な考え。それはあまりにも淡白過ぎてつまらない考えだったが、これが現実。絆や友情みたいなアニメやドラマのような考え方は通用しない。

 

 別にエヴァは説教しているわけじゃないが、言っている事は俺たちの甘さを的確に窘めていて、酷く胸に刺さった。


「分かるだろう? 俺の言っている意味が? 分かったんならさっさと次の祠に向かうぞ」

 

 多分これが大人なら、『遊びじゃない!』と言われて怒られているだろう。エヴァの考えは正しい。

 正しいからこそ、先ほどあれだけ揉めていた俺たちは反論も出来ず、マリアたちを残して先を急ぐしかなかった。


 最近ふと思ったのですが、ペットをあだ名で呼ぶのは良くあることなのでしょうか。○○ちゃんとかではなく、完全なあだ名です。

 家には、暗黒超聖魔獣モップという猫がいるのですが、長いのでモップと呼んでいました。しかし最近ではティンになっています。由来はモンプチ―モップチンからモップチンとなり、さらにそこからモップティンとなり、ティンになりました。

 原型が無くなる程のあだ名は、良くあることなのでしょうか?

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