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The Rampage 2021 - Sweet blood death dawn  作者: 冬野 立冬
『表』────思惑
15/72

8話 社交辞令


「やあ、ハルネさん。この度は市長当選、誠におめでとうございます」


「あぁ、佐藤さん。この度は大変お世話になりました……」


 パーティーが開かれて五分が経過。

 今の所会場には特に問題も起きず、街のお偉いさん方が酒を片手に話を進めている様子であった。

 ハルネは新市長という事もあってか、先程から挨拶だけで手一杯になっており、中々自由が効いていなかった。


 ────市長も難儀なこった。


 そんなハルネを見てウィルはタダ飯を食いながらそんな感想を抱いた。

 ただひたすらに飯を食い続けるウィルの存在は周りからかなり浮いており、なんて下品な奴なのだという目線を向けられていた。

 しかしウィルはそんな目線は気にせずに胃に食べ物を運ぶ。

 ここでありったけの飯を食べておかないとウィルは今後まともな飯にありつける保証が無いので、周りの目など気にしている暇はなかった。


 そんなウィルとは対照的な存在が会場に数人。

 浦河(うらかわ) 乖穢(かいえ)が一時的に所属している追分(おいわけ)元市長のグループ『NOT』のメンバーは、会場の片隅でじっと指示を待っていた。

 最も、乖穢だけは別行動を取っていたのだが────


「パーティーなのにそんな時化(しけ)た顔しちゃダメでしょ〜?ほら、このお肉美味しいよ?食べる?」


「……」


「もお、無口だなぁ。全員隠キャ極めすぎじゃない?」


「……少し黙れ」


「お〜怖い!私はそんな子に育てた覚えはありません!」


 乖穢の人を小馬鹿にするような、馴れ馴れしい態度に『NOT』の地上メンバーは若干嫌気が差していた。

 街の中で相当な実力者と聞くが、わざわざ追分がこの人間を雇った理由が掴めなかった。

 明らかに場を乱し、混乱を招く存在なのは一目でわかる。

 しかし追分は随分とこの乖穢という男を買っているようだった。


 それが気に食わず『NOT』のメンバーの数人は乖穢の態度も相まって、どさくさに紛れて殺してやろうかと思う者も現れていた。

 『NOT』の中にはまだ乖穢の実力を知る者は少ない為、そうなるのも仕方ない事だろう。

 『NOT』メンバーの半分以上が追分に対してそこまでの忠誠心は示していない為、乖穢を殺す事にそこまで躊躇(ちゅうちょ)が無いのだ。

 そんな乖穢を『NOT』地上班のリーダー、追分の特にお気に入りである有田(ありた)が先程からずっと諌めていた。

 有田は『NOT』の中でも特に追分に忠誠心を示している側の人間であり、乖穢を制御しなければ追分に危険が及ぶと考えていたのだった。

 しかし────


「そろそろお酒も欲しくなっちゃうな〜?」


 些か、乖穢の言動には痺れを切らしかけていた。


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