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第九話 黒猫少年

第九話

黒猫少年



〔んでね〜その時帽子屋がぁ〜〕

「へーやっぱマフィアってすごいね〜」

〔すごいんだよ〜銃とかね、ピストルからバズーカや戦車まであるんだよ!〕

「もはや銃じゃないけどそんなものまであるんだね〜なんかすでに戦争体制っていうか」

[・・・そこ。物騒な話すんな]


帽子屋がまったりと話し込んでいる場を不機嫌そうな顔で睨んだ。

ぶすっとしても〜かわいくないんだから・・・・まったくやんなっちゃうわね!


[・・・そこはあえてツッこまんぞ]


うん。ありがとう。でもその優しさがツライよ。


〔って言うかさ、アリス帰んなくて大丈夫なの?〕

「?なんで?」

〔だってもう夜だよ?ホラ〕


三月が指を指して言った。

指された空には、綺麗なシャープを描く月がぽつんと浮かんでいた。

周りはもう真っ暗で、テーブルに置かれたロウソクの火だけが、その場を明るくしていた。

・・・ヤマネもすっかりご就寝だ。

それにしても帰らないとマズイかなぁ・・・・女王様に首はねられちゃうよ。


「じゃあ、そろそろおいとましようかな」

[一人で大丈夫か?なんならついてったるで?]

「へーきへーき!もう子供じゃないんだし、ちゃんと帰れるよ」


ヤマネに気をつけながら、ゆっくりとイスから立ち上がる。もうすっかりヤマネ恐怖症だ。


〔アリス気をつけてね〜〕

「三月たちは帰らないの?」

〔僕らはまだお茶会を続けるよ〜いつでもここにいるから、いつでも来てね?〕

「うん、また来るね!」

[またな、アリス]

「うん、さよーならっ!」


ザクッ ザクッ・・・・



・・・後悔後悔後悔後悔後悔。

その言葉だけが小さな私の頭の中をすっかりと占めていた。

どーしてあの時断ったかなァ私のバカは!!

あーもうヤダ!!生きてるのがこんなに悲しいなんてかつて思ったこともないよわたしゃあ!!

もうあれだな。現実逃避というか。でもそう、世間の風は冷たく厳しい。

でも一言結論を言おう。

迷子です。


「誰か助けろォォォォオオオ!!!」


ああそうさ!!迷子さ!悪い!?

どーせ子供さ!クソガキさ!!頭が悪いさ!!

え?知ってる?知らんくていいわッ!!

チクショー。私を取り囲む木々が笑ってるようにざわめいてるよ。

ちょっと黙れよな!!葉っぱ丸刈るぞゴラッ!!!

口に出すと寂しいので心の中で叫び、とりあえずそんな木の根元に寄り掛かった。

誰か来ないかなぁ・・・SOS!!メーデーメーデー!!!

メーデーは船の救助信号?知ってるよバカ。とりあえず言ってんの!今私の脳内は緊急事態なんだから!

参ったなぁ〜ホンット困ったコマッタサン。

ドラえもんとか来ないかな?上からヒューッとさ。

どこでもドア〜で一発じゃん。・・・ってかどこでもドアで元の世界帰れるじゃん!!

来いッ!!マジで来いドラえもん!!!上からヒューッと・・・・


ガサッガササ・・・

「ん?」


上の葉っぱがかすかに動き、木が揺れる。

こんなこと前にも・・・・デジャヴ?


ガサ・・・

ドガッ!!

「がはッ!!?」


背中に走る激痛。あマジデジャヴ。

上からなんかが私の背中を足蹴に・・・・

!?まさか・・・・っ!!


「ドラえもんッ!!?」

【・・・・?】


私を足蹴にしたであろうドラえもん(?)が、少し向かいのところに立っているのが見えた。

でも真っ暗でその姿がよく見えない。


【・・・お前】


ドラえもん(?)の声が

静まった森に響く。低く轟くような声。コイツマジでドラちゃんか?

ドラえもん(?)がこちらに近づいてくる足音がした。

どこでもドアくれるかな〜今どら焼きないんだよね〜。


【ここはチェシャの縄張りだ。なぜここにいる】

「・・・・!?」


黒い髪に黒い服に黒いマフラー。

真っ黒な姿のそいつは、片方の目が包帯で巻かれていた。

そして頭には・・・・猫耳。

どっどどど・・・ドラえもんンンンンン!!!?

なんで耳が戻ったの!?ネズミにやられたんじゃないの!?涙で水色になったんじゃないの!!?

どうしたドラえもん!!一体お前に何があった!!!


【・・・聞いているのか人間】

「聞いてる聞いてる!!だからどこでもドアくれッ!!!」

ゴッ!!

「はぶッ」

【聞け】


ドラえもんの一発が頭にヒットする。なっ・・・なかなか手加減してくれてないみたいだな・・・・!!

頭マジで痛ェし。あ。マジ泣きそ。

よくよく見ると、ドラえもんは大きく鋭い爪がついた手袋らしきものを肩らへんからつけていた。

なっがい手袋だなぁ〜ってか痛かったのはソイツのせいか。


「お前はドラえもんじゃないなッ!!?」

【何を言っている。チェシャはチェシャだ】

「ちっ、ちえし・・・??」


噛みそッ!!なんて名前だよ!!噛みまくって舌取れたらどーすんだよ!!!


「・・・で。そのチェシャさんは何の用?」

【チェシャ猫でいい。というか話を聞いていなかったのか・・・ここから出て行けと言ったんだ】

「出ます出ますもちろん出ますとも!!だから出させてッ!!!」


チェシャ猫が哀れむような目をこちらに向けた。

エ。何。


【・・・迷子か】

「言わないでェェェエエエ!!!それ言ったら終わりな感じだからァァァァアアアア!!!」

【ならいい・・・知っていて入ったなら殺していた。来い。チェシャが案内してやる】

「え、マジで!?うわーい!サンキュー!!」


なーんか物騒な言葉が聞こえたけどここはもうスルーっとかないとキリがないもんね♪

とりあえずは殺されないということで♪

スタスタと森を進むチェシャ猫の後を追い、気分ルンルンでスキップする。

やっと帰れるもん♪いや〜猫さんには感謝だよ!


【お前はどこに帰りたいんだ?】

「ん?ああ、女王様のお城なんだけど・・・わかる?」

【わかる】


あ、そーですか。なんっだコイツ!!無愛想にも程があるだろ!!!

もっと友好的にかかってこいよ!!

今まで会ってきた奴らん中で最低にテンション低いぞ!!?

ディーでも結構話すのに。まあ話すというよりけなしてるんだけども。

それでも口数は無駄に多いぞ!!




「へ・・・へ・・・・へっくしょいッ!!」

「もーディーったらカゼ?薬飲む?」

「違うっ!!これは誰かが俺のウワサを・・・・って!!ダムが俺の心配を・・・!?」

「当たり前じゃないか。うつされるのはゴメンだからね」

「ひでぇッ!!ってかいつのまにマスクつけてんだ!!!!」

「今さっき」

「ひど・・・ふ・・・ふぁっくしッ!!!」




まったく・・・・ってかホント猫っぽいよね〜。

耳からしっぽまで・・・鈴つけてるし。

マジでここの住人は合成獣が多発してんな・・・・誰か錬成しまくってんのか?悪いヤツめ。


【・・・おい】

「はいッ!?」

【着いたぞ】


チェシャ猫が、けもの道の先にライトアップされた巨大な城を指さして言った。

おおう・・・!!夢にも見たマイハウス!!違うけどね!


「ありがと!!じゃあ行くね!」


けもの道に行こうとすると、後ろからぺしっと衝撃が走った。


「・・・・っ!?」

【お前、名前は?】

「?アリスだけど・・・」

【もう迷うなよ・・・アリス】

「はいよッ」


チェシャ猫に背を向け、走って城へ向かった。

早く帰らないといろいろマズイ。特に私のクビ。


タタタタ・・・・

【・・・・・】

クス・・・

【変な人間・・・】


そんなチェシャ猫の言葉も笑いも、夜空に溶けて消えていった。

























無愛想なチェシャ猫さんでした!

ミーハーなお方は気に入ってくれるかな?ってかミーハーってどういう意味??(すいません。バカなんです・・・)


女王


赤い血が大好きな美女。

人を殺すのに躊躇いがない。

今のお気に入りは黒薔薇とアリス。

かわいいものが好き。

子供らしい一面を持ち、仕事はシロウサギにすべて任せている。


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