第四話 行き過ぎた愛情
第四話
行き過ぎた愛情
「・・・ねーダム」
「なに?アリス」
私が椅子に乗っかり窓の外を見つめたままダムを呼ぶと、ダムはモップをかけるのを止めた。
「ちょっとお願いがあるんですけども・・・・」
「?何かな?」
「ってかお前。この前の話の最後読んだ?俺まだここで滞在すんの許してないんだけど。っていうかちょっとは手t」
「あのでっかいお城に行きたいんですが」
「え?城に?」
「テメーらスルーしてんじゃねー!!」
ディーがモップを振り回してギャンギャンと叫ぶ。
うるさいなぁ・・・ブラコンのくせに。
「ブラコンじゃねーッ!!!」
「!?ちょっとブラコン!勝手に私のパラレルワールドに踏み込まないでよね!!
土足禁止って札見えないの!?このブラコンがッ!!」
「何がパラレルワールドだ!!札なんてかかってなかったぞバーカ!!
ってかさっきからブラコンブラコン言うなよ!!結構傷つくぞテメー!!」
「あっははー!!案外心が弱いんですねー!もっと言ってやるわよ!!ブラコンブラコンブラコンブラコンブラコン!!!」
「ぐはッ!!・・・ちょっテメー!何も5回も言わなくていいだろ!!
俺を精神科医に行かせるつもりかッ!!このブスが!!!」
「ヤだ〜超ウケるんですけどー。え?ヤだコレ何?マジでダムっちの兄貴っスか??キャハハハハハハ♪ちょーウケるっ♪」
「え、ちょっ何コイツ!何いきなりそこら辺のギャルになってんの!?ってかダムっちって誰だよキm」
ドゴッ!!
「がッ」
低い音と一瞬の断末魔。
そしてドサリと力なく倒れるダムっちの兄貴。あ、ゴメ。お前ディーだったっけ?
「おま・・・絶対殺す・・・・!!」
ゴッ
「ぶッ」
ハイ二度目の哀れな断末魔ー。
あれ?ところでコレ誰が起こした現象?
ディーの頭に乗った足を伝って、視線をその腹黒き人物へ移す。
・・・まあ結構想像はできてたけど・・・・。
「・・・・ダムさん」
そこにはにこやかに死神並みのオーラを漂わせる、かわいい顔のダムがいた。
・・・実の兄を踏みつけるその足は幻だろうか。
「・・・ディー?人の話は最後まで聞こうか。僕は今、アリスと話してるんだよ?」
「・・・・・」
ダムが動かない屍をグリグリと踏みつけながら、恐ろしくシャイニングディーに語りかけた。
・・・恐怖。
「・・・それで?アリスは城に行きたいんだよね?」
「う、うん・・・」
ダムがどっかりと屍と化した兄の上に座って言った。
なんか他人事と思えなくなってきた・・・・哀れ。
「いいよ」
ダムがにっこりと笑いかけた。
「え・・・本当!?」
「うん、全然。あ、でも僕らは仕事があるから一人で行くことになるけど・・・大丈夫?」
「お安い御用!んじゃ、行ってきまーす!!」
ダダダダダダ・・・
「あ、アリス!女王様に気をつけて・・・って、もう行っちゃったか・・・・」
ダムが鈴を鳴らしながらゆっくりと閉まるドアを見つめる。
ギィイイ・・・
「・・・アリス、死ななきゃいいけど」
バタンッ
がやがや・・・
「おっ城のいっりぐちどぉっこかな〜?ふんふふ〜ん♪」
ピョンピョンとスキップをしながら、大きな城へ向かう。
城なんて、入るの初めてだよ!見るのもだけど〜てへっ☆
私はまだ知らなかった
この世界が どれだけ醜く どれだけ狂っているか
扉は そう
音をたてて こじ開けられるのも
次話からあのお方が登場です!!
それから思いもしなかった再会も・・・・
次回お楽しみに〜♪♪