とある男の異世界転移
主人公
「トラックに跳ねられて亡くなって、神様の手によって異世界へと転移させられてしまった!そして、今はどこかの森の中にいるという次第なんだが……。おっ、あっちの方に町が観えるぞ!入り口には人も立っているみたいだ!お~い、そこの人~!」
異世界の住人
「ようこそ、こちらの世界へ!アナタは丁度、『一万人目の転移者』になります!」
主人公
「おっ、ちゃんと言葉が通じてる!翻訳スキルみたいな物が働いてるのかな?今なんかこの人、『アナタは一万人目の転移者』って言ってた気がするけど、どういう意味なんだ?」
異世界の住人
「この町の近くでは、別の世界からやって来られる方がよく現れるんですよ。アナタはその中でも、『一万人目にこちらの世界に来られた方』になります!」
主人公
「へぇ~、俺以外にもこの世界に転移して来る人が沢山いるのか。しかも一万人目って。いくらなんでも多過ぎるだろ」
異世界の住人
「アナタはどちらの世界から来られたんですか?」
主人公
「言ってもわからないと思いますが、『日本』という所から来ました」
異世界の住人
「あぁ~、『日本』ですか。そちらから来られる方はかなり多いですよ!異世界に行くのがブームになっているみたいですね!」
主人公
「確かに日本で『異世界物』は人気あるけど、それとこれとはなんか違う気が」
異世界の住人
「皆さん、不慮の事故でお亡くなりなられた方々ばかりですよ。きっと日本は地獄のような所なんでしょうねぇ」
主人公
「確かに事故の件数も多いしストレス社会だけど、自分が住んでいた所をそんな風に言われるのは嫌だなぁ」
異世界の住人
「それではアナタは『一万人目の転移者』という事で、私どもの方からプレゼントをお送りさせていただきます!こちらの『エルフの奴隷100人』が、そのプレゼントとなります!」
主人公
「奴隷の人数、多っ!1人でも倫理的に抵抗あるのに、いきなり100人って!」
異世界の住人
「おや?エルフは好みではない?」
主人公
「いや、エルフが嫌とかではないんですけど」
異世界の住人
「ちなみに私は職業『女騎士』なので、『オーク100匹』とかの方が嬉しいですけどね」
主人公
「えっ!?アナタ、ただのモブのおじさんにしか見えないですよ!」
異世界の住人
「最近、ジョブチェンジして念願の『女騎士』になったんですよ。そのせいで女房と子供には逃げられましたが……」
主人公
「『騎士』ならわかるけど、『女騎士』って」
異世界の住人
「そういえばアナタの特技はなんですか?どうせ神様からチートなスキルを与えられて、こちらに来てるんでしょ?ちゃんと派手なリアクションをするんで教えてくださいよ(ニヤけながら)」
主人公
「なんかトゲのある言い方だなぁ。確かに俺は神様から異世界に転移させるお詫びとして、『能力値が初期レベルからすごく高くなるスキル』を与えられてはいるんだけど」
異世界の住人
「こちらの世界では『ステータスオープン』と言うと、現在の自分のステータスを確認できる仕様になっています。ちょっと試してみれば?」
主人公
「流石は異世界……。それでは、ステータスオープン!」
主人公のステータスが空中にバンッ!
主人公 レベル1
体力 931
魔力 931
力 931
身の守り 931
素早さ 931
賢さ 5
運の良さ 1
特技 なんか臭い
主人公
「『賢さ』と『運の良さ』はあんまり高くないのか……。それはしょうがないにしても全部の能力値が、『931』なってるのはどうしてだろう?この世界の能力の上限値が『931』なんだろうか?それに特技の欄の『なんか臭い』って」
異世界の住人
「この世界の能力の上限値は『999』ですよ。そういえばさっきから『なんか臭いなぁ』って思ってたんですけど、そういう事だったんですね(鼻を摘まみながら)」
主人公
「えっ、そうなの!?そういえば神様もあの世で俺と会話しているとき、ずっとすっぱそうな顔をしていたな……」
異世界の住人
「アナタがこちらの、『エルフの奴隷100人』を受けとらないと仰られるのなら、他のプレゼントも御用意してありますが、どうしますか?」
主人公
「なら、そちらの方にしてもらえますか?」
異世界の住人
「ではこちらの、『なんかちょっと匂う伝説の武器防具セット』をお送りさせていただきます!アナタにピッタリですよ!」
主人公
「神様から『臭くなくなるスキル』を貰っとけばよかった!」