プロアニア ザック地方
ザック地方
ザック地方はプロアニアでは平野の多い地域であり、森林にも恵まれている。そのため、多様な生物が存在し、魔物種もスエーツ地方の生物群やカペル地方の生物群との融合が見られる。
森にはブナなどの温帯の樹木が多く群生し、豊かな森林生態系の助けとなっている。
ザック地方における魔物の食物連鎖は以下のようである。
・草の葉→ ヤト・スキオウロス・キャタピラ・シロップホーネット→アナムジナ・ザックミンクル・サルース → ベルクート・カリストー
主な種
シロップホーネット……体長約3cmの中型の虫である。ホーネットと比べて温厚であり、花の蜜から栄養を得る点も異なっている。体形もずんぐりとしており、美味な蜂蜜を作ることでも知られている。
単純な熱魔法を用いて暖を取り、巣の内部は常に暖かいため、越冬をする蜂としても有名である。
穏やかといえど毒をもつため、迂闊に近づくことは危険である。
ザックミンクル……体長30-50cmのイタチ型肉食獣。セーブミンクルが水中生活に長けているのに対し、ザックミンクルは樹上生活を行う。そのため、水かきは退化しているが、鋭いつめが進化し、細長くしなやかな体格をしている。食性は小動物や樹上に住む昆虫を捕食する。
巣は樹洞に作ることが多く、樹洞に巣を作ることのあるスキオウロスなどをよく攻撃する。
セーブミンクルと異なり、魔法によって捕食者を撃退する。ベルクートを攻撃するために水鉄砲を打ち、自身の周囲の重力を操作して錯乱させ、その隙に逃亡する。
サルース……全長50cm-120cmの肉食生物。その姿は蛇と類似しており、細長く、肢が存在しない。
優れた感覚器官を持ち、聴覚に優れる。鱗は斑模様のある茶褐色をしている。また、舌を盛んに出し入れすることによって、何らかの気配を察知するようである。私見であるが、人間の舌同様に優れた温度感知ができるのではないかと考えられ、それを利用しているのではないかと思われる。牙には穴があり、毒腺があるものと思われる。
サルースは小動物や虫を丸呑みする。虫についてはそのまま丸呑みするが、素早い動きをする小動物についてはその体で首を締め上げ、捕食する。消化中には膨らんだ腹のサルースを見ることができる。消化に時間がかかる食事法は一見非効率であるが、サルースはそれによって長期間食料を保存することができるという。
卵生であり、群れは作らない。研究によっては交配の様子を確認することはできなかったが、発情期には尾を盛んに地面に打ち付けることで音を鳴らすとされ、その行動が求愛行動である可能性は非常に高い。
主たる生息地は地上であるが、その形状から樹上への移動もたやすく行うことができる。
治癒魔法の他、放電する魔法を使用するが、身動きをとめる程度の力しか持たず、狩りの際に獲物を締め上げるまでの時間稼ぎとして使われる。
ヒトとのかかわりは古く、信仰の対象や力の象徴として知られ、肉も美味である。古来より、彼らの体液が万能薬として知られるが、おそらくは迷信であろう。
カリストー……体長200cm-300cmの大型の獣である。全体的に丸みを帯びた体格をしており、熊に近い外観を持つ。体毛はその殆どが黒く、首元にのみ白く三日月形の体毛を持つ。雑食性であり、木の実や木の葉から、魚、動物などあらゆるものを食する。
指先には鋭く湾曲した鉤爪を持ち、木登りや狩猟に利用する。森林の深くに生息し、滅多に人里まで降りることはないが、越冬のための冬眠ができない場合には、人里に食料を求めて現れることがある。大抵が巨大なため、大きな人的・物的被害がある。
越冬のため、穴や大樹の樹洞に篭って冬眠をする習性がある。冬眠中は極端に体温が低く、心拍数が少なくなるものの、冬眠を終えると空腹のためにしばしば凶暴になり、無秩序に周囲の動物を攻撃する危険な習性を持つ。
カリストー最大の特徴は獲物へ対する極端なまでの執着心であり、一度手に入れた獲物にはしつこく付きまとうため、山で食料や荷物を奪われた場合には、無理に取り返すことは危険である。
基本的には一夫一妻制を取り、大きな雄ほど異性にもてる。子供を長く養育し、体長が100cm程になると自立のために狩りを覚えさせ始める。
子育ては母が行うが、これは父が子供に嫉妬して子を攻撃する習性があるためであり、雌の方が、体格が大きい。
魔法は個体によって多彩であるが、多くの個体が治癒魔法を用いる。雄は魔法を使用する際に雄たけびを上げる習性があり、この雄たけびの高さによって、仲間の治療のために利用するものか、攻撃のために使用するものかがわかる。
カリストーと遭遇した際は、できる限り姿勢を維持したまま、ゆっくりと後退するとよい。また、彼らは音に敏感なため、鈴などを持ち歩くとより安全である。