エストーラ ノイブルク地方
エストーラ
エストーラは、国土の多くを森に囲まれ、主に東方地域の草原地帯、西方地域の多くを山岳地帯がと区分することが出来る。山岳地帯には独自の草木が存在し、鹿や栗鼠を初期被食者とする生態系が存在する一方で、草原地帯はウサギ類などの小型草食動物が初期被食者である生態系が存在する。
魔物に関しても同様に、各地帯に合わせた生態を持った生物が多く生息する。ヒトとのかかわりでは、味の良い、食用肉に優れた生物が多く、貴族の狩場とするための保護区が多く存在するという特徴がある。
ヒトと同様に魔術不能種が多いという特徴もあり、元来より、エストーラ周辺の魔物は魔法に頼らない、独自の生活を行ってきた。
ノイブルク地方
エストーラの首都を中心とする、草原の多い地域を、ノイブルク地方という。この地域は、特に魔物とその他の生物の区切りが一見するとつきづらく、強力な魔法を使う生物は少ない。この特徴については、冷涼だが肥沃な地域であり、豊富な植物にも恵まれているため、魔法を利用せずとも比較的容易にその生命活動を維持できたことが原因ではないか、と考えられる。
植物では、イネに類似した低草本が多く、山岳地帯と比べると森林は少ない。また、森林も高木が少なく、日当たりの良いものが多い。
エストーラ、ノイブルク地方の草原地帯における魔物の食物連鎖は以下のようである。
・草の葉→ キッチョウアオムシ・ヤト→ アナムジナ→ フォクトネック
主な魔物
キッチョウアオムシ……鮮やかな緑色が目に映える、体長1-5cm程度の魔物である。幼生時には特定の草の上で葉を食い、成体となると蝶となり、白く美しい羽を羽ばたかせ、花を転々として蜜を飲む。
低草本の中で鮮やかな緑色は良い擬態機能があり、それ以外には天敵であるアナムジナやカマイタチなどの生物から身を守る機能は余り身に着けていない。しかし、最も生息数の多い種であり、草原を駆け抜ければ一匹はその身につくという諺もある。
魔法はあまり使わない。器官自体は存在するが、繁殖期に成体の羽が発光する目撃情報があり、幼生の頃の魔法をこの時に利用しているのではないかと考えられる。
成体はその美しさから、吉兆の証として、ノイブルク地方では人気のある生物である。
ヤト……体長30-50cmの兎型生物であり、その生態も殆ど兎と同様である。振動に敏感に反応し、少し音を響かせると逃げてしまうため、意外にもその目撃情報は少ない。
それ故魔法の使用に関する情報も殆ど記録に残っていないものの、私の調査によれば、彼らはかなり頻繁に、風の吹く様に合わせて自身の周囲に風を吹かせる魔法を使用しているようである。
この行動の意味は判然としないが、同じ植物食性のキッチョウアオムシの誤食を避ける目的があると考えられる。また、フォクトネックなどの主要な捕食者は、キッチョウアオムシも捕食するため、彼らを振り落とすことで目立たせ、捕食者からの関心を逃す目的があるのではないかとも考えられる。
アナムジナ……体長40cm程度の小型肉食獣である。ずんぐりとした体形は愛嬌があり、道中ヒトが餌を与えることがあり、大人しく、環境への適応能力も高いため、旅の友としても人気がある。そのため、彼らはヒトをあまり警戒しない傾向があり、その性質を利用して毛皮製品のための狩猟も盛んにおこなわれる。
名前の通り、地面の穴に生息する。この穴では魔物ではない狸と共生しており、互いにその生態、見た目も類似点が多い。穴の内部は入り組んだ構造をしているらしく、複数の出口がある。
主食は地下のミミズなどであるが、落下したキッチョウアオムシ、希少な例ではヤトなどを捕食することも多い。狸とは分業をしているという見解もあり、私もヤトや自身の魔法によって落下したキッチョウアオムシを巣に持ち帰る姿も確認した。
魔法は殆ど用いないが、ヤトと同様の風魔法を利用することが稀にある。周囲にヤトがいない場合に、キッチョウアオムシを落とすため、かなり退化してはいるものの、魔法器官が残ったのであろう。
フォクトネック……体長50cm-80cmの、キツネによく似た生物。ヤトやアナムジナを捕食する最終捕食者であり、同地域では比較的大型な種であるといえる。体毛は収穫期の麦穂のような美しい色をしており、毛皮としての人気も高い。
非常に賢い魔物であり、一匹の雄に数匹の雌と子を引き連れた、ハーレム型のグループを形成する。狩りもグループごとに様々なようである。主要な例を挙げると、一般的な草間からの奇襲の他に、火の魔法を用いて虫を集め、捕食しに来たアナムジナを捕食するものや、逃げるヤトなどに水魔法を用いて目くらましをし、集団で襲うものもある。これらの多様な狩猟法は、被食者の特性に合わせた最適化の結果であり、繁殖期以外にグループ間での争いが起こることが少ないようにしているのではないかと考えられる。相互で独自の言語によるコミュニケーションが可能なのではないかと考えられる。




