ムスコール大公国 タイガ
タイガ
ムスコール大公国北方にある、モミやトウヒ、マツなどの針葉樹林に覆われた地域である。南下するにつれて、白い樹皮を持つ白樺なども生息し、貂やイタチなどの生物が住み、皮製品がよく取れる。
タイガにおける魔物の食物連鎖は以下のようである。
・コケ類・マツ・モミ・カバノキ・水草など→ユキト・エルク・スキオウロス →エンゲヅル・ハギウチ・ティンクチャー →ウルヴァリン・ジャバウォック
主な魔物
エルク……体長200cm‐300cmの、最大級の草食生物である。鹿の様な特徴を持ち、広い角と厚い毛で覆われた体躯は、寒冷地域に完全に適応した独特の生物である。
エルクは主に水辺を周遊し、水草や低草を食べる。大人しいが巨大な体から捕食者に狙われることは滅多になく、襲われても巨大な角で突き上げて追い払う、暴れまわって引き剥がすなどの方法で逃亡を図る。その巨体に似合わない足の速さも手伝い、彼らは温厚で仲間思いの性格である。
夏季には個別に行動するが、冬季には小集団で行動をし、繁殖をする。巨大な平らで広い角は雄同士の争いに使うことが多く、雌は角を持っていない。
氷柱を地面から突き上げる魔法を用いる。カリストーなどの大型捕食者への対抗策として有効な魔法であり、魔法の前には大きく前足を持ち上げる姿を見られる。後方からの捕食者に対しては強力な蹴りを入れるためか、滅多にこの魔法を使用しない。
ウルヴァリン……体長100cm程度の貂に似た魔物。全体的に体毛は暗い色をしており、鋭い爪と太い牙を持つ。
樹上でも生活し、尿などでマーキングをする。縄張り意識が強く、同種内での抗争も激しい。
縄張りが非常に広く、かなりの遠距離まで移動する一方で、巣は樹洞や岩の隙間、洞窟の中などの狭い場所に草を敷いて作り、厳しい寒さをしのいでいる。表面積の大きい足で雪上を器用に移動することが出来る。巨大な生物になりやすい寒冷地帯では珍しく小柄な体格をしているのは、この平らな足のお陰で雪に足を取られる心配があまりないためと言われている。
狩りは樹上からの奇襲をメインとする。小動物の場合には着地と同時に踏み潰して圧殺し、大型動物の場合は獲物の背に着地して首筋に噛みつき、失血死させる。暴れる動物の上でも執念深く牙を食い込ませるため、また樹上での生活に適応するために鋭い爪が出来たと言われており、この爪を獲物に食い込ませながら身を重力に任せ、獲物の抵抗そのものを使ってじわじわとその肉を引き裂いていく。
とはいえ、通常は大型動物に危害を加えることは少なく、よほどの飢えがない限りは小さな生物を食べるのみである。大型動物を一度に食べきる事は出来ないため、食べ残しは樹上や雪の中で保存する。
魔法は滅多に使わず、間違って樹上から地上に落下した際に魔法で衝撃を吸収する程度のものである。あまり特別な生態をしていないためか、当初は貂と同種と考えられていたようである。
・ティンクチャー……体長20cm-30cmの、イタチ型の肉食獣。体は全体的に丸く、体長のわりに後ろ脚が長い。短足のイタチにしては珍しいものの、目に見えて長いというわけではなく、見ただけではこの特徴を確認できない。
後ろ脚の長さは跳躍のためと考えられ、高く飛ぶことで獲物を捕らえ、起伏の多い森林を自在に移動する為に利用する。
換毛を行い、夏には茶色の体毛を冬には雪に合わせて白色に変える。
大変可愛らしい風貌とは裏腹に、凶暴な動物であり、自分より大型の動物も捕食する。動きは俊敏であり、起伏の多い場所を器用に動き回る。気性の荒さにそぐわないその愛らしい姿から、「森の妖精」の異名を持つ。
群れは作らず、繁殖期にのみ子供を作るためにペアを作る。
岩陰や洞窟、レミングの巣の乗っ取りなどによって巣を確保する。
魔法は、体毛を逆立てて体を大きく見せるために用いるほか、大型動物への攻撃の際に、噛みついた部分から一気に血を噴出させるために温度を調整する魔法を用いる。そのため、しばしば返り血で赤いティンクチャーが見られる。
名前の由来は紋章の色であり、紋章の代表格としてその名を与えられている。また、毛皮はアーミンの原料であり、重宝されている。