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本編です。
春、六歳になった私は小学生に成りました。あっという間に成長しました。
「舞~何組だった?アタシと雄大は一組だったよー」
そう由美は言った。私たちはいつの間にかお互いを呼び捨てで呼ぶようになった。
「私も一組だったよー」
「やったー!同じクラスだー!」
そう言って彼女は抱き着いてきた。彼女達と同じクラスで本当に良かった。
「これからもよろしくね。舞」
そう雄大は言った。(仲良くなってから知ったのだが、彼も近くに住んでいた)
私たちは早速クラスへ向かった。その途中で何度もこちらを振り向く人々に出会った。
(何だろう?登校中も見られてたけど、私の顔に何かついてんのかな?)
「舞、相変わらずだね」
「何が?」
「いや、何でもない」
由美がニヤニヤしながら何か含みのある事を言ったが、意味が分からなかった。
そんな事を話していたら、いつの間にか「一年一組」というクラス札が見えた。
中に入ると、沢山の生徒がいた。初めての学校で、緊張してるのか顔が強張ってじっとしている子もいれば、逆に興奮して友達とふざけている子もいた。
私は、自分の名前が書かれている席を探した。
(みずたに まい、みずたに・・・あった!)
私の席は、窓から二列目の一番後ろにあった。新しい机なのかきらりと光っていた。
私は席に着くと、隣の子はもう既に座っていたので、どんな子なのだろうかと思い見た。
肌は黒く、一目で外人の血が入っていることがわかった。髪は短髪で、切れ長な目をしていて、結構なイケメンだった。机に貼ってある名前を見ると「やまぐち あだむ」と書かれていた。
私の視線を感じたのか、彼がこちらを向いた。私は、自己紹介をする事にした。
「私、水谷 舞っていうの。これからよろしくね」
「俺は山口 アダム。よろしくな!」
彼はそう言うと、ニカッと笑った。明るくて良い子そうだ。隣が彼で本当に良かった。
その後、荷物を置いた由美が私の席へ来たのでしゃべっていると、担任の先生がやってきた。入学式の時間になったようなので私たちは話を中断し、廊下に出た。
入学式が始まった。保護者席にはお父さんがいた。
校長先生は少しでっぷりとした中年のおばさんだった。とてもいい事を話しているのだろうけど、話が長い。前の子が船を漕ぎだした。
やっと終わり教室に帰ると、今度は自己紹介をする事になった。
「最初は先生からな。はじめまして。坂部 結弦です。これからみんなの担任になるからよろしく!」
坂部先生は二十代くらいの若い先生だった。
それからは窓側から順に自己紹介が進み、遂に私の番になった。
「はじめまして。水谷 舞です。これからよろしくお願いします」
パチパチと拍手が鳴った。良い印象を持ってもらえただろうか?やはり大勢の視線を受けながら喋るのは緊張する。
自己紹介が終わると、帰る時間になった。
由美ちゃんとは校門で別れ、(今日は両親が休みを取ったらしい)私はお父さんと手を繋ぎながら家路に向かって歩いた。
その途中で、スカートを履いた男の人とすれ違った。この世界では男性は基本的にズボンを履くのだが、スカートも履くのだ。
逆に女性はズボンを履かない。履いていたら変態だと思われるらしい。
今までの幼稚園は制服だったので、男の子はみんなズボンを履いていたが、今日の学校にはスカートを履いていた男の子もいた。アダムくんもその一人だった。
そういえば、お父さんはスカートを履かない。何故なのか気になって聞いてみた。
「ねえ、何でお父さんはスカートを履かないの?」
「え〜ズボンの方が落ち着くし、父さんはあまりスカートが好きじゃないんだ」
そうお父さんは言った。
確かに、私も前世では落ち着くと言う理由でズボンを履き続けていた。ズボンは本当に良い。それが今世では履けない事を少し残念に思った。
こうして小学校生活第1日目は無事終わった。
お読み頂きありがとうございました。