20
羽山先輩が卒業してから何回も春が来た。先輩への思いは過去の事となった。そして私はあの時の先輩と同じ、六年生になった。
「舞ー! また同じクラスになったね! 」
そう由美は言った。二年生の時はクラスが分かれてしまったが、三年生からはにずっと一緒のクラスで、今年も同じだとするともう先生方は意図的に私達を同じクラスにしているとしか思えない。
「僕も同じクラスだよー」
横から雄大が話しかけて来た。雄大とは残念ながら一緒のクラスに中々なれなかった。今年は幼馴染三人が一緒のクラスになれて本当に良かった。
「この六年二組の担任になった坂部 結弦だ。この学年は一年生の頃に担任をやった事があるから、この中には俺の事を知ってるやつもいると思う。知らないやつもいると思うが、これから仲良くしていこう。一年間よろしく! 」
担任の先生も一年生の時と同じ、坂部先生だった。奇跡のようだ。
私の席は、窓から二列目で一番後ろだった。隣には誰もいない。
(ここに彼がいたら、本当に一年生の頃と同じなのに)
そんな事を考えていると、坂部先生が言った。
「後、今日は転校生がいる。彼も一年生の頃この学校にいた事があるから知ってるやつもいると思う。入っていいぞ!」
ガラガラという音と共に彼が入ってきた。
「た、田中 アダムです。よろしくお願いします」
アダムくんが帰ってきた。苗字と性格を変えて。
お読み頂きありがとうございました。
これで低学年編は終わりです。これからは高学年編です!




