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12月24日、クリスマス兼私の誕生した日になりました。
今日は縦割り活動でもクリスマスパーティーをするし、家では誕生日パーティーをするのでとても楽しい日になると思った。
「今日の縦割り活動は、クリスマスパーティーです。みんなから貰ったお金でお菓子も買ったので、沢山食べてね」
以前より大分優しくなった羽山先輩の言葉に皆んな喜んでいた。
食べていると、船橋先輩が集まる様に言った。
「食べてるところ悪いんだけど、皆んな集まって。ゲームするから」
私達は素直に集まった。羽山先輩のブリザードによって皆んな学習したのだ。上の者には逆らってはいけないと。
「最初は絵しりとりをしようと思ってるんだけど、ルールを知らない子もいると思うから説明するね。最初の人、俺と羽山がお題の絵を描いて次の人に渡す。次の人がその絵を見て何か判断し、その絵を描く。それを続けていって最後の人がお題を言って当たってたらそのチームに景品が貰える。当たってなくても残念賞でちょっとしたものをあげるから大丈夫だよ」
船橋先輩は、そう言った。別に景品はそんなに欲しいとは思っていないけど、やるからには勝ちたい。
私のチームの最初は羽山先輩だった。次が私なのだが、先輩はどんな絵を描くのだろう?
「はい、舞ちゃん」
先輩は、描いた絵を渡して来た。
なんだろう、これ……真ん中に小さな丸があり、その両側に大きな丸が付いている。小さな丸の中には二つの点が入っていて、その下には鋭い何かが生えている。牙だろうか? そこまで考えて、これは象かもしれないと思った。
私の予想は当たっていた様で、最後の子が象と言ったら「当たりです」と良い笑顔で羽山先輩は言った。
「次は何でもバスケットをします。ルールは、椅子を円に並べて一人分だけ抜きます。真ん中に人が立って、「今日〜してる人」や「〜が好きな人」とお題を出して、それに当てはまる人は椅子から立ち別の椅子へ移動します。その時、座れなかった人は真ん中に立ってお題を言います。最初は私が真ん中でお題を言うから、それ以降は座れなかった人がやってね」
羽山先輩の説明が終わった後、皆んなで椅子を円にして始めた。
「今日ズボンを履いている人」
羽山先輩がそう言うと、ズボンを履いている男子が立ち上がった。先輩は素早くその中の子の椅子に座り、うじゃうじゃとした後、一人の男の子が真ん中に立った。
「あー、じゃあ好きな人がいる人」
彼はそう言ったが、誰も立ち上がらなかった。そりゃそうだろう恥ずかしすぎる。そんな中船橋先輩だけが立ち上がった。必然的に彼が真ん中に行く事になる。
「ヒュー! ヒュー! 」
「先輩! 誰が好きなんですか⁈ 」
皆んなが船橋先輩を冷やかす中、私は羽山先輩を見た。先輩は驚きに目を見開いていた。
「誰も立たないから進ませる為に立っただけだよ‼︎ じゃあお題言うから‼︎ 俺の事好きな人‼︎ 」
誰も立たなかった。
「何でだよ‼︎ チクショウ‼︎ 」
船橋先輩がそう言うと、皆んながドッと笑った。
その後も滞りなくクリスマスパーティーは進み、遂に昼休みが終わったのでお開きとなった。
教室に帰ろうとした時、「舞ちゃん」と羽山先輩に呼び止められた。
「何ですか? 」
「これあげる」
先輩は、雪をモチーフにした綺麗なキーホルダーをくれた。
「可愛い、貰っても良いんですか? 」
「うん。今日、誕生日でしょ。そのプレゼント」
覚えててくれたんだ。とても嬉しくて、宝物にしようと思った。
「羽山先輩、ありがとうございます」
先輩はニコリと笑った。
教室に戻ると、すぐに授業が始まった。ふと隣を見ると誰もいない席があった。朝からアダムくんは学校に来ていなくて、先生曰く家庭の事情で休んだらしい。風邪を引いたわけじゃないと知って安心したが、きっと私の家には来れないだろうなと思いがっかりした。
授業が終わり、由美と雄大がプレゼントを取りに一度家に帰るらしいので、一人で家路を歩いていると、目の前にアダムくんが現れた。
「ごめん。誕生日パーティー行けない」
やっぱりそうだったか。わざわざそれだけを言う為に忙しい中来てくれたのだろか。そうだとしたら申し訳ない。
「だから、プレゼント持ってきた」
アダムくんは私にプレゼントを差し出した。受け取って中身を見てみると「頑張れ!トビタくん〜クリスマスバージョン〜」のぬいぐるみが入っていた。
「わー!ありがとう!これ欲しかったんだ〜」
「そうか、良かった」
私がお礼をすると、彼はホッとした様に笑った。
「じゃあ、俺もう行くわ」
「うん!またね〜」
彼は後ろ姿のまま、手を振ってくれた。
「また明日、学校で会おうねー!」
何故か不安になりそう言った。彼は返事をしなかった。
その後、家に由美と雄大が来て、お父さんが作ったご馳走を食べ、トランプをしたりテレビゲームをしたり、二人からプレゼントを貰ったり本当に楽しかった。
今日は予想していた通り楽しい日になった。
次の日、アダムくんは学校に来なかった。朝のホームルームの時間に、彼は遠くへ引っ越してしまったのを知った。
お読み頂きありがとうございました。
アダムくんはまた登場します。




