僕が愛したもの
僕がギターを指で弾くと、君がそれに言葉をのせる。
少し痩せ気味のアイツが古いピアノの鍵盤
を叩くと、そこには一つの音楽が生まれた。
演奏する場を求めて、いくつものライブハウスを駆け回って、ノルマのチケット捌くのに自腹を切ったりもした。
楽しい時はそんな事すら苦にならない。誰かの前で僕らは音を出せてたらそれで幸せだったから。
だけど楽しい時間もそう長くは続かない。
ある時選択を迫られる。
就職・進学などの別れ道。君は進学、アイツは就職を選んで音楽を捨てた。
それぞれが歩き出す別れ道、僕はただ一人ギターを抱えてその場に立ち尽くす。
あれから随分と時がながれたけど、僕はまだ歌い続けている。
君やアイツの知らない街の、遠い大地の空の下で。
いつか届くその日まで、僕は歌い続けるんだ。