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タイトル一文字。 同音異字から連想する物語、あいうえお順に書いてみた。

「る」 ‐流・瑠・留‐

作者: 牧田沙有狸

ら行

「瑠璃子これ、可愛い」

クラスのおしゃれ女子に褒められた。

自分の名前からこだわって選んだ、瑠璃色の髪留め。

「ありがとう」

「やっぱり、青、流行ってるもんね」

「う、うん」

流行ってるから選んだんじゃないよ、と思いながらテキトウに流してたが

翌日、彼女が似たような青い髪留めをしてきた。

青だ。青いガラス玉。

瑠璃色ではない。

不愉快な気持ちと、可愛い子と同じセンスということが嬉しい気持ちが入り交じり

最終的には、こっちが真似してると思われているような気がしてきて

あたしは学校にその瑠璃色の髪留めをしていくことをやめた。

青いガラス玉をつけてる彼女が仲間のおしゃれ女子に褒められているのを見ると

「瑠璃子これ、可愛い。……私が付けた方が似合うと思うけど」

そういう心の声も聞こえてきそうな気がしたから。

この髪留め単体を褒めたわけで、似合ってる似合ってないは言ってない。

でも、あたしはクラスの地味女子。

今まであの子に褒められたことなんかなかったから邪推してしまう。

可愛い子は流行に乗って、なんでも自分のものにしてしまうように見える。

あたしの大事なものを奪われるような気がしてしまった。

洋名ラピスラズリの瑠璃。実は髪留めはパワーストンと呼ばれる天然石でできている。

幸運のお守りとしてつけ始めたが、とくにいいことも起こらない。


寒い季節が来た。

寒色の瑠璃色は、個性派コーデには出てくるが流行色として前には出てこない。

おしゃれ女子は青いガラス玉はもうつけていない。


注文したカフェラテとサンドイッチが来た。

あたしは髪が入らないように、瑠璃色の髪留めで髪をまとめた。

店員のお姉さんがカップをテーブルに置くと、髪留めを指さして聞いてきた。

「これ素敵ですね。もしかして9月生まれですか?」

「はい、なんでわかったんですか」

「ラピスラズリは9月の誕生石ですよね」

「そうなんだ」

「あ、別にそういこだわりとかなかったかな? 普通に綺麗ですもんね。

 すみません、わたしそういうの好きで。誕生石とか誕生花とか」」

「いえ。こだわってます。名前が瑠璃色の子で、瑠璃子だから」

「素敵ですね!! 9月生まれにかけて、名前も考えられたんじゃないですかね」

「そっか、画数多くてこの字面倒くさかったけど」

「瑠璃子って可愛い。いいな、そういうの。トレードマークみたいのあって羨ましい」

お姉さんは本当に羨ましがってくれてるんだろう、友達みたいな口調になってきた。

この可愛いは、あたしが生まれ持ったものに言ってくれているようで、嬉しかった。


名前は、流行りで誰かにとられることないもんね。

どんなに可愛くても、奪えない。

パワーストーンがそう思える力をくれたような気がして来た。





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