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4章

 地平線の彼方に浮かんだ月が、太陽に代わって少しずつ昇ってくる。水辺に並んだナツメヤシの木が影絵のように黒く、藍色の空にざわめいた。鳥か動物か、遠くで何かの鳴き声がする。肩口に降りる風は冷たい。砂漠の夜だ。

「星が出てきたわね」

 ぱちぱちと燃える焚火に手を翳して、タミアはふうと息を吐いた。震えるような寒さではないが、やはり太陽が沈むとぐんと冷える。

「もう少し暗くなったら、移動するか」

 焚火の向こう側に寝転んで空を見上げながら、ログズは言った。そうね、と答えて、タミアは少し離れたところに見えるタフリールへ視線を移す。

 中腹にあるレストランや商店のほとんどが店を閉める時間帯になったら、タミアたちはもう一度、タフリールへ侵入する計画だ。タフリールは全体を石の壁に囲まれているが、中に入った観光客からの眺めを確保するという目的で、ところどころ壁の低くなっているポイントがある。

 魔法で上がるか、よじ登るかは見てから考えるつもりだが、そこならどうにかこうにか入れないことはない。稀に夜盗が入り込むので警備が立っているが、〈月の盾〉のメンバーだ。彼らはおそらく、味方になってくれる。ことの経緯を知りたがっているだろう。

 燃え盛る炎の芯を見つめて、タミアは膝を丸めた。

 副団長は今、礼拝堂に隣接する聖兵団の施設に囚われていると思われる。ログズの見解によれば、聖兵団は神の審判――つまり善悪の判断――が誰の目から見ても明確につくまで、処刑や裁判といった行動は避けるだろうという。聖兵団は神に忠誠を誓った組織だ。神や信徒に害をなす者を許しはしないが、無用な血を流すこともまた、教えに反する。

 今回の主犯とされているログズや、行動を共にしていたタミアならばまだしも、民衆からの支持も厚い自警団の副団長が相手では、安易な罰は加えられない。彼はおそらく、数日間に渡って尋問を受ける。そこでログズとジンについて説明をするだろう。

 彼の説明を真実であると証明できるものは、ログズに化けていたあの、悪性のジンの灰だけだ。

 ハートールの無実を証明できるのも、同じ灰である。

 彼らを救えるのは、自分たちだけだ。ジンを見つけ出し、戦いに勝たなければ、無実の彼らにかけられた疑いを晴らすことはできない。ログズも大罪人のままだ。杖をなくすどころか、これから先、追われる身となって、自由に生きていく保障をなくしてしまう。

 ジンと、戦う。

 タミアは広げた手のひらを見つめて、じっと瞬きを繰り返した。できるのだろうか。杖を奪われたままのログズと魔法を学び始めたばかりの自分に、そんなことが成し遂げられるだろうか。

 分からない。でも、やらないと言うわけにはいかないのだ。

 あなたは助けてくれる? と、誰ともなしに心の声で問いかけた。答える気配は、感じられない。

 揺らめくオレンジ色に染まる手のひらをきつく握りこんで、タミアはポケットから手紙を取り出した。故郷の村を出るときからずっと、肌身離さず持っているせいで、知らないうちに端が折れてしまっている。

 胸に抱いて、祈るように目を閉じたタミアに、焚火の向こうから呆れたような笑い声が聞こえた。

「何よ?」

「別に? ただ、お前ほんっとアルヤル好きだよな、と思って」

「な……」

「それ、アルヤルの手紙だろ? 健気だなァ、なんでそんなにアイツの弟子になりたいんだよ」

 馬鹿にしたような言い草に、タミアはむっとして睨み返した。

「なんでって……、なんでもいいでしょ。あなたに関係ない」

「そりゃ、関係はないけどよ。あんまり幻想は抱くなよって、忠告してやってんだって」

「アルヤル先生は尊敬できる人よ」

「会ったこともないくせに? お前が想像してるよりずっと、しょうもないヤツかもしんねえぜ?」

「そんなことない!」

 炎が、身を乗り出したタミアに煽られて大きく揺れた。しんと静まった辺りに、は、と自分の呼気だけが漏れる。

 タミアは自分の発した声の大きさに驚いて、二度三度、視線をさまよわせた。それから押し黙ったログズを見て、もう一度、今度は冷静に口を開いた。

「理想で言ってるわけじゃない。確かに、あなたと違ってほとんど知らないけど……私、昔アルヤル先生に会ったことがあるの」

 そっと、指先で封筒に綴られたサインをなぞる。

 魔法使いアルヤル――タミアがその名を聞いたのは、今から十年前。遠く色褪せた記憶の中、今も鮮やかに光る、金色の一瞬だ。


 タミアの故郷は、ガダブ砂漠の西の端に拓かれた、小さなオアシスである。オアシスと言ってもタフリールやイクテヤールのような、旅人で栄える町ではなく、西国から新天地を求めて移り住んできた人々が居ついた、ごく内輪の村だった。

 村には鉱山があり、高価な宝石はそれほど出ないが、良質の銅や鉄がよく採れた。素朴な山だが、村の生活は十分に支えてくれた。男はほとんどが鉱夫になり、怪我や年齢によって山に入れなくなった者が職人になった。

 タミアの父も鉱夫だった。若くして祖父に倣って山へ入り、そこで知り合った仲間の妹と結婚をして、家庭を得てからいっそう真面目に仕事に勤しんだ。

 のどかな村だった。鉱山といっても金が出ないおかげで、一獲千金を狙った移住者もなく、無茶な採掘や権利争いとは縁遠かったのだ。農村のような趣すらあった。実に百年以上に渡って、村は穏やかな気風の中で、素朴でありながら豊かな暮らしを続けてきた。

 誰もが根拠もなく、自分たちはずっと幸せでいられるものだと信じていた。

 その慢心が、十年前、唐突な悲劇となって村を襲った。

 鉱山の中で、落盤事故が発生したのだ。

 どのポイントをどれくらい深く掘ったか。初歩的な確認を怠ったことによる、鉱夫たちのミスだった。三十年以上も昔に掘られた道を見落として、そのすぐ真下に、新たな坑道を広げていってしまったのである。薄くなった天井が、振動に耐えきれず罅割れて落ちた。十五人の鉱夫が命を落とし、同数が鉱山の奥深くに生き埋めとなった。

 タミアの父も、その場所に出向いた一人であった。

 事故の知らせを受けたとき、母親は我を失って泣き崩れ、健在だった祖父母も言葉を失くして顔を見合わせた。タミアは当時七歳になったばかりで、妹と弟を連れて遊びに行った帰りに、落盤の轟音を聞き、悪い予感がして家に戻ったところで知らせを耳に挟んでしまった。

 呆然とした。

 五歳の妹は、父に何か、悪いことが起こったのだという漠然とした不安だけを理解して泣き叫んだ。弟は二歳になるかならないかで、何も理解できないまま、家族の異様さにあてられて声を嗄らして泣いた。

 タミアは――泣かなかった。

 泣けなかったのだ。兄弟たちが泣くのを両腕で必死に抱きしめて、訳も分からず「大丈夫」と宥めるのに精いっぱいだった。母という大人があられもなく泣くところを、初めて見たことも大きかったのかもしれない。泣いて泣いて、母は昔話の怖い化け物のように、目を真っ赤にして天井を仰いで、嗄れた喉をかきむしった。

 タミアは祖父に、父を助けに行ってほしいと頼んだ。祖父は悲しい目をして、今はだめだ、と答えた。鉱山の中は一ヶ所が崩れたのを皮切りにして、落盤が続いていた。無闇に入れば、新たな犠牲が増える。救いの手は、誰も挙げられなかった。

 第二の知らせが届いたのは、その日の夕方のことだ。

 ドアの前がにわかに騒がしくなり、村人たちの声が聞こえた。泣き疲れて寝入ってしまった兄弟に毛布をかけて、タミアは祖母が開けるドアの足元に立ち、外の様子を窺った。男も女も、大人が大勢出てきて何事か言い交している。

 中の数人が祖母に気づいて、話の輪に入れてくれた。

 ――魔法使いが、鉱山に入った。

 魔法使い、という言葉を、タミアはこのとき生まれて初めて耳にした。祖母は恐ろしい言葉を聞いたように目を瞠ったが、唇から漏れた返事は「鉱山に」だった。

 いわく、アルヤルと名乗る旅の魔法使いがやってきて、村の異様な雰囲気を察して村長を問い質したという。彼は事情を聞くなり、自分なら助け出せると単身、鉱山へ飛び込んでいったらしい。

 でも魔法なんて、と祖母がかぶりを振った。そのとき村人たちの中から、あっという声がいくつも上がった。

 戻ってきたぞ。

 誰かが叫んで、空を指差す。祖母の手を振り払って、タミアはその方角に目を向けた。

 燃えるような夕空を背に、黒いローブを風に膨らませて、人間が宙をゆっくりと降りてくるところだった。彼は鉱山のほうからやってきて、背中に大きな荷物を背負っていた。

 それが、人だ、とはっきり認識できたとき。村人たちの間から、わあっと声にならない声が上がった。

 生者も死者も、彼は一切の分け隔てなく、鉱山を取り残された鉱夫の数だけ往復して、一人ずつ運んできた。戻ってきた鉱夫はあっというまに家族や友人に囲まれて見えなくなり、ある者は啜り泣きに、ある者は歓喜の声に包まれて、みな男たちによって村の診療所へと運ばれていった。

 集まっていた人間は、鉱夫が戻るたびに少なくなっていった。

 タミアはほとんど最後まで、そこに立っていた。父は相当奥で事故に遭ったらしく、なかなか連れ出されてこなかった。次か、今度こそかと目を凝らしては、父でない顔に胸を沈ませ、タミアはそれでも部屋には戻らず待ち続けていた。

 アルヤルの肩越しに、憔悴しきった父の顔が見えたのは、もうほとんどの人が家族を迎えて診療所へ行ったころ。空がすっかり暗くなって、鉱山の斜面に掘られた坑道の闇が、ここではないどこかへ繋がりそうに真っ暗に見える。そういう時間になってからだった。

 アルヤルに支えられて地面に降り立った父は、駆け寄ったタミアの声に反応を見せた。しかしすぐに、その体はがくりと倒れ込んでしまう。一瞬、事切れたように見えて、タミアの全身を氷の粒が走った。

 アルヤルは父を地面に寝かせると、生きてはいるが怪我を負っている、その体で他の鉱夫の手当てをしていたせいで出血が多く、処置と輸血が必要だという旨を祖母に伝えた。運べる男手は、と訊かれて祖父だけだと答えると、父の体に手のひらを当て、しばらくの後に離して言った。

 ――風のジンを、少しの間つけておくから。女でも二人いれば運べるはずだ。

 祖母はその言葉を聞くなり、弾かれたように家へ駆けていって、母と祖父を呼び出した。騒々しさに眠っていた妹と弟が起き出して、ぐったりと横たわった父の体を母たちが運んでいくのを目の当たりにし、真っ青な顔でタミアにしがみついた。

 タミアは二人をぎゅっと抱きしめて、大丈夫、と言った。

 言ったつもりだった。でも、動かしたつもりの唇は震えていて、あ、とも、う、ともつかない嗚咽がこぼれただけだった。

 怖かったのだ。強く、快活で、どんなときも頼もしかった父が、命によって動いている存在なのだという実感が、とめどなく湧いて抑えきれなかった。死を間近に感じたのは生まれて初めての経験で、命が消えるということの恐ろしさを、タミアはこのとき洞穴の底に突き落とされるように深く思い知らされた。生きている、という概念を垣間見た瞬間でもあった。

 その衝撃は声を上げて叫びたいほどに大きく、すぐには飲み下せるようなものではなかったが、タミアは兄弟を安心させたい一心で何とか「大丈夫」と絞り出した。今度はきちんと言葉になり、二人は顔を上げて「本当?」とタミアを見つめた。

 それはタミアがこれまで父を見ていた目によく似た、絶対の信頼をあらわにした眼差しだった。本当だよ、今助けてもらえるよ、助けてもらえたんだよと、背中を撫でて何度も答えてやる。二人はほっとしたように力を抜いて、タミアの脇に顔を埋めた。

 気づけば、タミア自身の嗚咽は止まっていた。

 また泣かなかった。漠然とそう思って乾いた目を擦っていると、目の前に黒い影が立ち止った。銀の糸で細かな文様を縫い取ったローブが、足元まで砂に汚れている。近くに立つと、鉄のにおいが鼻を衝いた。それが何なのか察してしまって、ぎくりと心臓が強張る。

 おずおずと顔を上げたタミアの前髪をかき上げるように、手袋を脱いだ手がさらりと、額を撫でていった。ほんの一瞬の出来事で、あ、と息を呑んだときにはもう離れていた。

 ――この人が。

 遠ざかっていく指の隙間から、タミアは自分を見下ろす視線を感じて瞬きをした。照るような月明かりが何かに反射し、フードの中の暗闇をぼうっと白ませる。

 ――魔法使い、アルヤル。

 金色の目がひとつ、タミアの視線と絡み、すぐにまたフードの陰に消えていった。


 黄金のような眩しさとは違う。

 真鍮のような硬さとも違う。

 燃え盛る炎のような透明度の高い、目映い金の眸が、脳裏に焼きついた。


「今になって考えればね、私が相当、心細い顔をしてたんだと思うの」

 ぱちぱちと燃える焚火に、枯れ枝を一本くべて、タミアは手のひらについた砂をはたいた。

「気丈に振る舞えてるつもりだったけど、アルヤル先生から見たら、痩せ我慢が丸出しだったんでしょうね。しっかりしなきゃ、私が頑張らなくちゃって思って、泣きたくて仕方ないのを無意識に堪えてたわ」

 さぞかし、分かりやすい顔をしていたのだろう。自分のことながら苦笑が漏れる。

 結局タミアは、アルヤルが再び背中を向けて鉱山へ発った途端、堰を切ったようにぼろぼろと泣いた。その涙に妹と弟が驚いて、二人がかりで姉を宥めるという、後にも先にもあのときだけの構図ができあがった。そうこうしているうちに祖母が戻ってきて、父が一命を取り留めたことを教え、もう大丈夫だからと温かいレモネードを作ってくれた。

 額を撫でたあの手は、見えない糸を切ってくれたように思う。その晩はレモネードを飲みながら、祖母に甘えていつまでも泣いた。兄弟が寝て、起きているのはタミアだけになっても、膝に頬を寄せてショールをかけてもらって、ずっとずっとそうしていた。

 わがままを押し通したのは、きっと、赤ん坊のとき以来だった。

 泣き腫らして疲れて眠り、次に目を覚ましたときには、心が一回り大きくなっていた。タミアはすべてのものに命があることを、本能で学んだ。父が失いかけ、取り留めたものの大切さを、言葉では届かない深さで理解して、大人たちと一緒に父の無事を喜んだ。

 後になって分かったことだが、アルヤルはあのとき、大多数の村人の反対を押し切って鉱山へ入っていったらしい。危険だからという反対ではない。魔法使いという存在を村に関わらせることへの、拒絶反応による反対だ。

 タミアの故郷は移民が拓いた村である。かつて西国に住んでいた先祖は、魔法使いというものに良いイメージを抱いてはいなかった。魔法使いとは、悪魔や悪霊に取り入って人ならざる力を得た者であり、その心もすでに人の善良さを失っている。傍に置くと魂を奪われたり、悪の道に誘惑されたり、はたまた悪魔への捧げものにされたりするというのが、昔話でも噂話でも専らの認識だった。

 その考えは、閉鎖的な村の中で代々当たり前のように受け継がれた。

 落盤事故のときにも、魔法は禁忌であり、魔法使いに頼るなど言語道断という声がほとんどだったようだ。アルヤルは自分に向けられる根も葉もない中傷を無視して、救助活動を行い、翌朝早くに村を発った。見送りも、礼を言えた者もろくにいなかった。

 彼が去って、怪我をしていた鉱夫たちが回復して、亡くなった鉱夫の葬儀が一通り行われた頃になって、村はようやく素直な言葉を口にできるようになった。

 救われた、と。

 でも、一度根づいた意識は、そう簡単に覆せるものではない。

「〝アルヤルは善い魔法使いだった〟」

「ん?」

「私たちの村では、みんなそう言うわ。魔法使いが本当は悪いものじゃないっていうんじゃなくて、アルヤル先生が特別だったんだ、って。結局、魔法が悪いものだって感覚は、まだ昔のまんま」

 そんなものなのかしらね、とタミアは笑った。

 観念を折り曲げることは、時として鉄を打つよりも固く、困難である。人々はアルヤルを英雄として認める一方で、自分たちが魔法使いに対して抱いてきた観念もまた、従来通り正しいものとして残した。十年が経った今も変わらない。

 だからこそ、タミアは故郷を出なければならなかった。

「もしも魔法が使えるなんて、あの村でばれたら、どんな目に遭うか分からないわ」

 殺されはしないと思いたいが、それも保障はできない。少なくとも、悪魔に触れた子として遠巻きにされ、浮いた存在になるのは確実だろう。

 能力を隠して生活したとしても、また咄嗟の出来事に対して、魔法を使ってしまう可能性は十分にある。父は落盤事故の当時の村長を頼って、役場に保管されている過去の資料からアルヤルの連絡先を探った。そして娘に魔法の能力が発現した旨をしたため、貴方の下で魔法使いとして生きていく術を学ばせてやってほしいと、手紙を出した。

 あの人ならきっと、大丈夫だと。

 お前も大丈夫だろう、と父は笑った。

「お父さん、気づいてたんだと思うわ。何度か二人で、事故のときの話をしたから」

「……」

「私、アルヤル先生にもう一度会いたかったのよ。もう顔も覚えてないけど、憧れの人なの」

 憧憬を温めるように瞼を伏せ、タミアは封筒をポケットに戻した。タフリールから送られてきたこの手紙は最初、差出人も便箋も白紙で、タミアが触れると文字が浮かび上がるように魔法が込められていた。

 魔法を忌み嫌う村で、魔法使いとやりとりをしていることが公にならないようにという、アルヤルの機転だった。琥珀色のインクは、光にかざすと溶けるように消えて見えなくなり、タミアがもう一度指で触れると浮かび上がってくる。意図しない第三者に読まれないようにという工夫が、慎重に施されていた。

 その甲斐もあって、旅立ちの用意は着々と進み、魔法の発現から一ヶ月後には近隣を通過するキャラバンと共にタフリールを目指すに至った。

 タミアはキャラバンに憧れて旅に出た。村ではそういうことになっている。商人になりたくて独立する子供というのは、ごく稀ではあるが、過去にも何人か存在した。

「フーン」

 単調な、相槌とも呼び難い相槌で、タミアは瞼を開けた。

「何よ、反応悪いわね」

「別に?」

「言っとくけど、あなたが訊いたから話したんですからね。私が勝手に語ったわけじゃないから」

「はいはい」

「ちょっと、なんでそう流すの? 何かコメントしてくれたっていいじゃない」

 若干、懐かしさに浸ってしまって、訊かれてもいないことまで話しすぎた感はあるが。その自覚があるからこそ、何かもっと、反応がないと恥ずかしくなってくる。

 居た堪れなくなって、タミアは足元の砂を一掴み、焚火の向こうにむかって投げた。てめえ、と言いかけたログズがぺっぺと噎せる。本気でぶつけるつもりはなかったので焦った。

「ご、ごめんなさい。あなたのことだから、きっと避けると思っちゃって」

「お前なァ……! 避けてほしいなら先にそう言え!」

「ちゃんと隙は作ったわよ。大丈夫? なんかぼーっとしてない? ……え、もしかして反応がなかったんじゃなくて、真面目に聞いてくれてた?」

「うるせー、ほら火弱ってんぞ。お前が砂入れたせいだからな、練習だよ点け直してみろ」

 ええっと慌てるタミアに、ログズはわざとらしく寒い寒いと連呼しながら起き上がった。枯れ枝はまだたくさん入っているのに、確かに火の勢いが落ちている。

 この程度の砂で弱るようなものではないと思うけれど。でもそれを言ったところで、今は分が悪い。言い返したい気持ちを堪えて、タミアは躊躇いながら焚火に手を翳した。こう、と無言で訊ねればログズが頷く。宿での練習を思い出して、想像の中で自分を苦境へ追い込む。

 寒い。

 凍えるように寒くて、吐息も凍りそうだ。

 この焚火を守ることだけが、今夜を生き抜く希望だ。

 真剣に念じていると、手のひらにふっと熱の巡る感覚があった。来た、と顔を上げる。

 期待に満ちたタミアの目の前で、指先に蝋燭ほどの明かりが点り、ポフンと消えた。

「ああっ、なんで……!」

「お前、へったくそだなー。イメージを作るのも下手クソだし、できた魔法を扱うのも下手クソだ」

「下手下手って言わないでよ! まだ初心者なんだから仕方ないでしょ」

「素質はあるけどアレだな、不器用ってヤツだな。こりゃ一人前になんのは時間かかるぜ」

 ザクッと、見えない刃が刺さった。

「人の自覚してる欠点を突っ込むの、やめない……?」

「自覚までしてンなら慰めたってしょーがねえだろ。ほらあれ、教えたろ。ばらばらの力を、こう、ひとつにまとめるイメージをしろって」

 結構痛かったという主張を込めて心臓を擦ったのだが、ログズはろくに取り合わず、こう、と胸の前で両手を向き合わせている。見えない力を、圧縮するようなイメージなのだろうか。タミアはもう一度、焚火に手を翳した。

「……だめだわ」

 先ほどと同じ、凍えるイメージに加えて、ジンの力をひとつに纏めて放出するという意識もしてみたが。結果は同じ、小さな煙が上がっただけに終わった。

 頭を抱えたくなる。昔から、何をやっても人並み以上に時間がかかるのだ。料理も読み書きも計算も、できるようになってしまえば優秀なほうなのだが、要領が悪く、こつを掴むまでに何度も挫折しそうになる。

 諦めたくなってからが本番だ。

 タミアはいつも言い聞かせてきた言葉で自分を奮い立たせて、もう一度、と手を翳した。

「ばらばらの力を、ひとつに」

「そうそう」

「……あっ。また消えちゃった」

「……」

「待って、今度こそ。……ああ、だめだわ。ごめん、もう本当に火が弱ってるわね」

 何度も失敗を繰り返しているうちに、焚火はいつのまにか、半分くらいの大きさになってしまっていた。これでは本当に凍えてしまう。

 焦燥感に追い立てられながら、タミアはより集中力を高めるために目を閉じた。翳した手のひらに、弱々しい温かさが感じられる。

 どうかお願い、と乞う気持ちでジンに語りかけたとき、さく、と砂を踏む気配が、すぐ近くで動いた。

「え、なに……っ」

「いいから振り返んな、集中してろ」

 ログズが真後ろに座り込んだのだ。存外に真面目な声色に、思わず従ってしまう。左の肩に手が置かれ、もうひとつの手が背中に触れた。

 心臓のちょうど裏側だ。タミアは無意識に、丸まっていた背中を伸ばした。

「魔法使いがみんなこうやってるってわけじゃねえが、俺がいつも使ってるイメージを教えてやる。いいか? 心が、心臓にあるとして」

 とん、と人差し指が背中を叩く。

「お前の声がここから、髪や手足を通じて外へ出ていく。ジンたちがそれを拾って、集まってくる」

 翳した手の指先に、鳥がとまるように指が触れた。

「髪の一本、指の一本、思い思いの場所にくる。ジンが力を置いていく場所は、一ヶ所じゃない」

「……うん」

「想像しろ、声が外に出たってことは、道があるってことだ。髪も指も足も、お前の体にあるものは全部、心臓に繋がる道を持ってる。今吸った息にも、睫毛にも、もしかしたらジンが力を与えたかもしれない。すべてが道を通って心臓に帰る」

 髪、睫毛、指、肌、呼吸。あらゆる部分が、心臓と外を繋ぐ道を持っているのを思い浮かべる。無数の光の糸が、体の中を巡っているように。

 タミアはふいに、自分の体が外の空気と調和しているような感覚をおぼえた。風が吹き込み、吹き抜けていくようだ。同時に、手のひらに覚えのある熱が点り始める。

 ログズの手が、今だと合図するように、背中を叩いた。

「心臓から指まで、ドーン! とな」

 それは例えるならば、体の中で一度生んだ魔法を、外に押し出すような。自分の中を、自分の力ではない大きな何かが駆け抜けていく。そんな感覚だった。

 はっと目を開いたときには、タミアの指先に火が灯り、焚火へ向かって一直線にほとばしっていた。薪を呑みこんで、太陽のように明るく燃え上がる。

 煌々と昇ったオレンジの火はタミアの頭を越え、消えかけていた焚火とひとつになって、やがて肩の高さほどに落ち着き、ぱちぱちと爆ぜた。

「たいへんよくできました」

「わ、なに……っ」

「いやいや、ホントにな。上出来、上出来」

 呆然としていたタミアの頭が、がしがしと撫でまわされる。三つ編みのゆるむ感触に振りほどこうとした手は、思いのほか嬉しそうな声に驚いて、宙をさまよっただけに終わった。

 焚火は何度見ても、明るく燃えている。一人だったら、できなかったことだ。じわりと実感が込み上げてきて、タミアはあの、と口を開いた。

「ログズ、……えっと」

「んー?」

 耳元に落ちる、上機嫌な声。名前を呼んでしまうとふと、忘れかけていた近さが明白になる。

「ありがとう、ね」

 妙に緊張して上擦りそうになる声を押し隠して、タミアは短く礼を言った。ん、と答える声の気だるさが、やけに耳朶へ絡んだ気がして焦る。

「ま、約束したしな。杖探すのに協力したら教えるって」

「そうだけど、思ったよりちゃんと教えてくれるんだなって」

「ありがたがるのか貶すのかどっちかにしろよ。……つうかさ、お前」

 なぜだか振り返れずに、タミアはごくりと固唾を呑んだ。どうして今、ジャスミンの香りを思い出したりするのだろう。もうその香りはしないはずだ。糸を手繰られた糸巻のように、心臓が動いた。

 ぐに、と。耳が引っ張られて、頭がログズの額にぶつかる。

「この程度で真っ赤になるくせに、よく今まで同じ部屋に寝てられたな」

 痛さと動揺にかき消されて、一瞬、何を言われたのかよく分からなかった。え、と振り返ってまじまじとその顔を眺め――意味が理解できた瞬間、タミアは両手を思い切り突っ張っていた。

 今度は予期していたように、ひらりと身を躱してログズは立ち上がる。ケラケラと背中を丸めて笑っている姿に、タミアは何度も砂を投げつけた。

「からかわないで! それは、お金を節約するためっていうか……!」

「大胆な節約術だよなァ」

「あなただって別に、私みたいな田舎娘相手にどうとも思わないでしょ? ていうかねえ、元を辿れば節約するはめになったのもあなたのせいだし!」

「はいはい、イテッ。お前、小石はやめろ小石は」

「うるさい! ちょっと、どこいくのよ」

「ションベンだよ。一緒に行くか?」

「あああ、行かない、馬鹿! あなたってほんとやだ!」

 熱くなったり青ざめたり、頬が忙しい。喚くタミアにひらひらと手を振って、ログズは砂の丘を歩いていった。後ろ姿がまだ笑っている。本当に、腹立たしいことこの上ない。

 あんまり見ているとまた余計なことを言われそうだ。タミアは焚火に向き直って、乱れた髪を直し、膝を抱えた。夜風の冷たさを、しばらく忘れていた気がする。指先を火に当てて交互に温めていると、我知らず長いため息が漏れた。

「……ほんと、何を今さら」

 馬鹿馬鹿しいにも程がある。相手を誰だと思っているのだ。何かやらかしはしないかと巻き添えにされるのを警戒するならまだしも、緊張なんてするような間柄とは程遠い。

 吊り橋効果とかいうやつか。タミアは現状を思い出して、ひとり納得し、膝頭に顔を埋めて笑った。大都市から追放されて、真っ暗がりに二人きり。世界中が敵になったような錯覚と、互いだけが味方だという、わけもない信頼感。

 タフリールに来てから、想像もしていなかったことばかり身に起こっている。そのすべての傍らに、ログズがいる。

 彼は、魔術師だ。平凡な十七年の人生を、たったの三日で極彩色に変える。

 だいぶ落ち着いた頬に手を当てて、薪を足そうかと立ち上がったとき、背中をぽんと叩く手があった。

「ああログズ。戻ってきたの――」

 強張りのとけた自分の声に、普段の調子を取り戻せた、と安心したのも束の間。

 振り向いたタミアは、頭の芯がひやりと凍りつくのを感じた。

「――おウ」

 に、と唇を吊り上げて笑う。表情も、猫背がちな姿勢も、何も変わらない。でも、見間違うはずもない。

 そこに立つログズは、赤紫のシャツを着て、ターバンの代わりに金とターコイズのメダルの連なった首飾りを、額に飾っていた。

 心臓が氷の手で掴まれているように、どっ、どっ、と脈打つ。何分間にも感じられる一瞬の沈黙の後、タミアは気丈に微笑んで、焚火を示した。

「座ったら? 寒かったでしょ」

 ジンが、ログズのふりをしていることに気づいたからだ。

 親しげな表情も、今帰ったという挨拶も、彼がログズとタミアの関係を知った上で近づいてきた証拠である。もしかしたらばらばらになるときを窺っていたのかもしれない。そうだとしたら、逃すわけにはいかないチャンスだ。

 ログズが帰ってくるまで。タミアはジンを引き留めるため、芝居に乗った。

「いヤ……」

「なに? どうかした?」

「移動しよウ、ここ、見つかりそうなんダ」

 喉を絞ったように、低く押し殺した声で、ジンは喋る。ログズの声に似せているが、語尾のたどたどしさが人間らしさを欠いていた。タミアは気づかないふりをしながら、ちらと遠くを見やる。

 暗闇に、帰ってくる人影はない。

 ざっと、砂をかく足音が響いた。

「あ……! 待ってよ」

 ジンがタミアの横を通り抜けて、どこかへ歩き出したのだ。一歩一歩、ゆっくりだが大股に遠ざかっていく。

 彼はタミアの声に、足を止めて振り返った。焚火の炎がぎりぎり照らし出せる最後の距離で、ログズよりもログズのように、いたずらっぽく微笑む。

「どうしタ? 行こうゼ」

「……っ」

 タミアはぐっと、ワンピースの陰で拳を握った。これ以上はもたせられない。騙されているふりをするには、従わなければ。

「焚火は?」

「そのままでいいだロ。居所をごまかすのにちょうどいイ」

「そうね」

 爪先で、砂地に一本、長い線を引いて。

 タミアは笑顔を浮かべ、ジンと共に歩き出した。


 真珠色の髪が夜風に吹かれるたび、月明かりがその上をうねり、鈍い光を跳ね返す。

 ――杖が見当たらない。

 緩急をもってどこまでも続く砂の上を黙々と歩きながら、タミアは前をゆく背中を見つめて、ずっとそれを考えていた。ログズの姿、ログズの服。でも、一緒に奪われて、さらに一度は自演によって嘲笑うように取り返されたはずの杖が、今も見当たらない。

 どこにあるのだろう。杖だけを消して持っていることができるとしたら分からないが、そうでなければ、どこか別の場所に置いてあるのか。ジンを倒すには、杖が必要だ。今のままのログズと自分では、分が悪すぎる。

「ねえ、これどこまで歩くの?」

「ン?」

「タフリールから離れてるわ。侵入のポイントは、あっちよね?」

 せめて何か、情報を引き出せないだろうか。

 タミアはジンができるだけ口数を少なくしているのを分かった上で、あえて揺さぶりに出た。さながらログズに訊ねるように、当然の顔をしてタフリールを指差す。大きな口のように暗闇を開けた礼拝堂が見える。あそこにいたときは、確かに杖を持っていたはずだ。

 ジンはちらとタミアを見やって、口を開いた。

「警備がいル」

「ふうん、そうなんだ」

「計画変更だナ」

 うまく流されたな、と思う。ひとまず分かったと答えて、タミアはそれとなく後ろを振り返った。

 もう、結構長い距離を歩いている。

 ログズはそろそろ戻っただろう。どこまで行ったか知らないが、この夜の中をそう遠くまで行っては、焚火を見失ってしまう。もう戻って、タミアの不在に気づいている可能性が高い。

 それを異変と見做してくれるか、はたまた「なんだ、あいつもションベンか」で済ませるかは分からない。前者に賭けるしかない。きっかけは、最大限残してきた。

「ああ、あれダ」

 祈る気持ちで唇を噛みしめていると、ジンが前方を指し示した。暗闇の中にぼうっと、白い柱のようなものが浮かび上がっている。

「遺跡……」

 朽ちて崩れ、落ちた天井が傾いて半分ほど砂に埋もれたそれは、古代の神殿を思わせる遺跡だった。タフリールの近郊にこんな場所があったなんて、と息を呑む。ここに隠れるふりでもするつもりだろうか。

 砂の丘を登りきって、もう一度その中に視線を向けたとき、タミアはあっと声を上げそうになって手のひらで口を押さえた。

 遺跡の奥の、祭壇跡だろうか、黒曜石でできた台の上に。見覚えのある杖が横たえられている。

「さてト。少し、話をしておかないカ」

「ええ……」

 クリソコーラの眸。琥珀の蛇が巻きついたような全体。間違いない。

 タミアは釘づけになって、うわの空で頷いた。ここを棲家にしているのだろうか、ジンは寛いだ様子で奥へ向かって足を進める。

 その背中が、一歩、また一歩と、後ろを向かずに歩いていくのを、一息、もう一息と見つめて。

 タミアは片手をそっと、空に翳した。

 来て。

 ここへ来て。

 私を見つけて。

 心臓から溢れた声が外へ響き、その声に応える力が、また心臓へ帰るように。体の中に、見えない力を駆け巡らせる。

 空に大輪の、音のない花火が上がった。

 瞬間、七色の光に染まるタミアの目の中で、ジンの背中がゆらりと振り返った。


 ションベン、とは使い勝手のいい言葉だ、とログズは思う。

 ナツメヤシの影が足元に揺れている。月が幾分か高くなったおかげで、少し離れたところへ来ても焚火が見えた。座り込んだ影までは見えないが、ここまで来ればタミアからも自分の姿は見えないだろう。天日で乾いた甘い実をひとつ口に放り込んで、幹を背に腰を下ろす。

 深く息を吸うと、それは長いため息に変わった。

「あー……」

 ずるずると、体の芯から力が抜けていく。立てた片膝に額をつけて、ログズはしばらく何も考えずにそうしていた。思い出話を聞くなんて、慣れないことはしてみるものじゃない。強いていうなら、その思いだけは延々と頭を巡っていた。

「……なんだアレ。性質わりィ」

 振り払うように、がしがしと髪をかく。ターバンが緩んで、鼻まで落ちてきた。

 ログズは舌打ちをして立ち上がると、服についた砂をはたいた。もう少し一人になりたいところだが、あまり長くいすぎて、探しにでも動かれたら困る。夜の砂漠ではぐれるなど、冗談にもならない。

 歩きながら、ターバンを巻き直して頭を切り替えた。

「おーい、戻ったぞ……ん?」

 そうして、いつもの調子で声をかけたとき。焚火の傍に、タミアの姿はなかった。

 なんだあいつもションベンか? と、ぱちぱちと燃える火の音を前にまばたきをする。拍子抜けしたような、どこか落ち着かないような、何とも言えない感覚だ。

 いや、別にそれくらい、勝手に行ってくれていいんだが。

 ログズは心の中で自分に言い聞かせながらも、何となく腑に落ちない気がして、一度下ろした腰を上げた。女というのは往々にして、恥ずかしいとか言いづらいとかいうよく分からない理由で、手洗いに立つのをこっそり済ませようとしたりする。どうせ戻るのは男のほうが早いのだから、結局はばれるのに。

 だから例え飾り気のない田舎の小娘といっても、タミアがそうしたっておかしくはないわけだが――でも、あのタミアだ。生真面目と要領の悪さを足してかけたようなあの少女が、一言の断りもなく、席を外すだろうか。

 まして、火をつけたままで。

 最も腑に落ちないのはそこだった。ログズは辺りを見回してから、焚火の周りをゆっくりと歩いた。それほど色々な姿を見てきたわけではないが、自分の知っているタミアならば、火の元を無人にはしない。そんな気がした。

 不可抗力の理由がない限り。

「んん……?」

 焚火のすぐ近くに、火から離れて歩き出しているブーツの足跡が残っていた。一歩、二歩と視線を動かしていくと、引っかいたような線が目に飛び込む。

 ログズは眉間に皺を寄せて、線の先にある方角を睨んだ。暗がりの中には何も見えない。確か、古い遺跡があったような気はするが。

「どこ行った?」

 探るように、線の上に足を下ろす。

 そのとき、遠くの空に、大輪の花火が咲いた。


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