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7話
輝は、自分で車イスに座れなくなった。
その時でさえ、
「兄貴に毎日抱っこしてもらえるなんて、結構嬉しいな」輝はそう言って笑った。
何で輝は笑っているの?
何で涙を見せないの?
僕は君の弱さが見たいんだよ…
「朝ご飯食べるよ」そう言って僕は輝の口にご飯を持っていった。
輝は手に力が全然入らないらしく、フォークを持とうともしなくなった。
「ほら口開けて?」僕がそう言っても、輝は口を開けようとしなかった。
「サラダからがいいの?」僕がそう聞くと、輝は首を横に振って、
「食べない」そう言った。
「何で?食べようよ」
「だっておいしくないもん」そう言ってベッドに潜り込んだ。
僕はどうにかして食べてもらおうと、必死で考えた。そして…
「僕が作るのだったら食べる?」
「えっ兄貴が?」
「そう。僕のはおいしいだろ?」僕がそう言うと、
「なら食べる」そう言ってくれた。
それからは、僕が輝の分を作った。
輝は美味しそうに完食してくれて、僕はかなり嬉しかった。




