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5話
あれから2ヶ月。
「じゃあまた来週な」そう言って僕は輝を見送った。
輝は壁の手すりにもたれ掛かりながら、ゆっくりゆっくり進んでいった。
足も動きにくくなったらしい。
売店の仕事はクビになった。
それでも輝は
「もっと頻繁に兄貴に会いに来るかも」そう言って笑った。
2週間たって、輝は歩けなくなった。
そして、輝は笑いながら
「かっこいい車イスがいいな」そう言った。
「ひか~もう入院しようか?」
「何で?」
「輝の家アパートだろ?1人だと何かと心配だから…」今までだって、アパートの階段で輝は何度もこけていた。
1人では、階段は上れない…
「僕の家でもいいけど…」
「兄貴はどっちがいいの?」
「入院してほしいな、僕が病院に居るときはいつでも会えるし…」
「分かった。行こう?」輝は早く早くって僕を急かした。
輝は辛くないの?
泣きたくないの?




