3話
一週間後、検査の結果が届いた。
病名は
『筋萎縮性側索硬化症(ALS)』
次第に筋肉が動かなくなっていく病気だった。
病気の進行を遅らせる薬はあっても、根本的に治す治療法はない。
いずれは…心臓も止まる。
何で輝なの?何で?何で?何で?…
この世界には、悪いことをし尽くした人もいる。
今まさに自殺しようとしている人もいる。
何で病気は輝を選んだの?
ねぇ神様?僕じゃいけなかったの?
プルルルル
僕は電話の音で、我にかえった。
「はい。八木です」
「兄貴?僕だけど、検査の結果どうだった?」
何も無かったって言えればな…
「兄貴?どうしたの?」
「あのさ、今から病院来れる?結果を伝えるからさ…」
「うん!今病院の売店にいるよ。お昼休みでいい?」
「うん。いいよ…」僕はそう言って電話を切った。
結果なんて伝えたくない。
出来れば嘘であってほしい。
時間よ止まって!!
僕がそう願ったのにも関わらず、時計の針はどんどん進んでいく。
そして…
「兄貴、おはよー」そう言いながら輝が面談室に入って来た。
「うん。おはよー」おはよーって時間じゃ無いけど、この際もうどうでもいい。
「でさ、結果どうだった?」
「……」
「ねぇ兄貴!」
「八木輝さんは、筋萎縮性側索硬化症という難病を発症していました」
「えっ…」僕は、輝に言うのが怖くて、業務的にしか言えなかった。
「ひか…」
「ねぇどんな病気?それ」
「筋肉がだんだん動かなくなる病気で…」
「そうなんだ…」案外あっさりしていた。
「それでさ、僕入院するの?」
「ううん。まだしなくていいよ。でも僕と…」住む?そう言おうとしたが、
「大丈夫。1人暮らしするから…」そう言われてしまった。
「分かった。でも、週に一回は僕の所来てね、診察に」
「うん…」そう言って、輝は面談室を出て行った。




