28話
僕が輝の病室で寝ていると、看護師の山本さんが入ってきた。
僕は足音で起きたけど、目を閉じて、山本さんの話を聞いた。
山本さんは、輝の担当の看護師の1人で、輝も結構気に入っているみたいだ。
「輝くん、また灯さん疲れてるじゃん」山本さんはそう言って輝を睨みつけた。
「だから言ってるでしょ?君は灯さんの負担でしかないの。灯さんは君のせいで苦しんでるんだよ?」
は?こいつ何言ってるんだ?
そんな訳ないだろ?
「輝くん、もう何も出来ないなら、せめて灯さんを困らせないようにしたら?でも君自体が迷惑なんだよね…」
「ハァハァ…ゲホゲホ」輝の息が過呼吸になってきた。
「お前ふざけんなよ!!」僕はそう言って山本さんを睨みつけた。
そして、すぐに輝の元に駆け寄った。
「灯…さん…?」そう言って山本さんは病室を飛び出した。
今は山本さんを追いかけている暇なんてない。
輝の苦しみを取り除いてあげないと…
「ひ~か、ゆっくり呼吸しような…ほら落ち着こう?」僕はそう言って輝の頭をなでたが、輝の息は落ち着かなかった。
僕はナースコールを押して、空を待つことにした。
「灯、輝くん?」
「そう。過呼吸になってきたみたいで…」
「輝くん、ゆっくりな…大丈夫だから落ち着いて」輝の目からは、涙が溢れていて、さらに苦しそうだった。
「灯、輝くんがきつそうだから注射したいんだけど…」注射か…
「輝、ごめんね…でもすぐ苦しくなくなるからな」僕はそう言って空に合図を送った。
「輝くんごめんね…1回で終わらせるから」空はそう言いながら輝の腕を布団の中から出した。
輝の腕はかなり細くて、多分血管も細いだろう…
1回で終わらせるのは至難の業だった。
空は真剣な眼差しで輝の腕に針を刺した。
1回で成功した。
輝の息はだんだん穏やかになっていって、輝は静かに眠った。
「輝、本当にごめんな」
「分かってるだろうけど、あんな事僕は絶対思ってないからな」僕はそう言いながら輝の頭をなでて、泣いた。
「灯?どうした?」
「空、輝を看ててくれる?ちょっと行く所があって…」
「ん?どこ行くの?」
「ナースステーション。何かあったら電話して!!」僕は涙を拭いて、病室を飛び出した。
絶対あいつは許さない。




