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26話

あれから2週間たった日から、輝は笑わなくなった。

否、笑えなくなった。

顔の筋肉も動かなくなってきたようで…


「ひ~か、反対に向けような」僕はそう言って輝の体を動かした。 

僕は30分毎にこうやって輝の体を動かしてあげる。

輝は仰向けで寝るのがきついから、横向きか体を起こさないといけない。

だけど、ずっと同じ向きだと体中痺れるだろうから、僕は輝を軽く動かしてあげているのだ。


「兄貴、眠い…」

「うん分かった…おやすみ」僕はそう言って輝の頭をなでた。

輝はもう僕に話しかけることはなくなって、眠たい時だけ僕に声をかけて眠るようになった。

僕は輝と話したいと思っていたけど、目を開けるのもきつそうな輝に、話しかけられなかった。

だから、僕はいつも1人で話していた。

その日の天気とか、昔の話とか…


「ひ~か、反対に向けるな」僕は寝ている輝を起こさないように、輝の体を動かした。

「ふわぁ~眠っ」急に眠気が襲ってきて、僕は壁に寄りかかって目を閉じた。


「輝くん、大丈夫だからね…落ち着いて息しようね。そうそう上手上手…」

「ん?空?って輝!!」僕が起きると、過呼吸になって苦しそうな輝の姿があった。

「息も整ってきたし、酸素マスク付けるな…」そう言って、空は輝の口元に酸素マスクを当てた。

「空!?輝は?」

「今は疲れて眠っていると思うけど…過呼吸だったな…」

「輝は大丈夫なの?」

「過呼吸は、呼吸困難の症状じゃない。多分ストレスが原因で…」

「ごめんな。僕が気付かなくて…苦しかったよな…」僕はそう言って輝の頭をなでた。


動けないのも話せないのも、相当なストレスだろうな…

僕が少しでも和らげてあげられればいいのに…


僕は輝のストレスを解消してあげるために、今まで以上輝のそばに行って、話しかけよう。

そう心に誓った。


でも輝の本当のストレスの原因は、そんなことじゃなかった…


絶対に許されないようなことで…


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