22話
あれから2ヶ月がたった。
僕の心も僕の体も限界だったが、もうなにも感じなかった。
おじさんの暴力もエスカレートしていき、おばさんまで暴力をふるうようになった。
輝は、絶対にOKしない僕を、頻繁にお風呂に誘ってくれた。
でも最近、輝がお風呂に誘わなくなった。
(もう諦めたのかな?)そう思ったけど、輝が
「僕、お兄ちゃんが一緒に入ってくれるまで絶対諦めないもん」そう言っていたのを思い出した。
それに、最近輝の、おじさんたちへの態度が変わってきたような気がする…
(まさか!?)僕はある考えが頭をよぎって、輝の部屋に飛び込んだ。
「ふえっ!?」輝はかなり怖がっているようで、やっぱり何か変だった。
僕はためらいもなく、輝の服をめくった。
そして、目を見開いた…
輝の体には、無数の痣・傷があったのだ。
輝を見ると、怖いのか、泣き出していた。
「輝、ごめんな。すぐに気づいてやれなくて」僕はそう言いながら輝を抱きしめた。
「お兄ちゃん…」
「怖かったな…ごめんな」僕は輝を抱きしめたまま、背中をさすり続けた。
僕は、貯めておいた貯金を持って、輝と一緒にこの家を出た。
『輝のため』そう言いながら、輝が辛い思いをしては、意味が無いのだ。
すぐにおじさんから電話がかかってきた。
僕は
「出て行く」それだけ伝えると、電話を切った。
これから輝と新しい生活を始めるのだ。
輝が辛い思いをする必要は無い。
その分僕が頑張るから…




