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16話
「次の方どうぞ…」僕は熱があったけど、外来の人の診察は続けた。
空には、
「きつくなったらすぐ終われよ」って言われたけど…
「大丈夫ですよ。お大事に…」そう言って僕は診察を済ませていった。
僕は熱が上がってきたみたいで、机にうつ伏せて休んでいた。
「灯~大丈夫か?」そう言いながら空が近づいてきた。
「ん?空…大丈夫だと思うけど…」
「無理すんなって。後の患者さん俺が代わりに診とくから…」
「お前診察の資格あったっけ?」
「一応持ってんの。しないけど…」
「じゃあお願いしま~す」そう言って僕は仮眠室に向かった。
「やめて!!はぁはぁ…」
「灯?どうした?」そう言われて僕は我にかえった。
「昔の夢見た…」
「辛かったな…でも大丈夫だよ」そう言って空は僕を包んでくれた。
空は、僕が昔のトラウマを思い出す度に、こうやって包み込んでくれた。
僕は安心できた。
僕は昔、『灯』って名前でバイトしてたんだ。
もう思い出したくないようなバイトをさせられてた…




