15話~輝side~
「輝くん、朝ご飯食べよう?」そう言いながらやってきたのは、空先生だった。
兄貴は?そう思って先生に目でアピールして、文字盤を持ってきてもらった。
僕は
『あにきは?』って伝えたつもりだったけど、上手く伝わらなかったみたいで、
「あちく?もう1回お願い出来る?」って言われた。
「あひし?もう1回!!」2度目も伝わらなくて、僕は辛かった。
「輝くんごめんね」そう言いながら先生は僕の頭をなでてくれたが、僕は泣き出してしまった。
「輝くん?泣かないで…灯呼んで来るから」そう言って先生は病室を出て行った。
僕は涙を拭えないまま、天井を見つめていた。
「ひーかどうしたの?」兄貴が僕の病室に入ってきた。
「ごめんな、僕風邪引いちゃったからさ、輝に移したら大変だろ?」
「だから来なかったの?」
「うん。ごめんな。で、何で泣いてたの?」
「僕の言いたいことが伝わらないんだもん。兄貴がいいよ…」
「うーん…でも明日位まで我慢してくれる?僕の風邪が治ったらその分いっぱい甘えて?」そう言われて、我慢することにした。
兄貴も熱あったらキツいだろうしね…
「分かった。兄貴もゆっくり休んでね」そう言って僕は兄貴に笑いかけた。
「ありがとうっ」そう言いながら兄貴は僕に手を振って、病室を出て行った。
寂しいけど仕方ないな…




