1話~始まり~
僕は君の弱さが見たいんだ。
隠しているその弱さが…
僕は病院で医者として働いている八木灯。名前から、よく女の子に間違えられてしまう。
そして僕には10離れた弟、輝がいる。
輝は、去年高校を卒業したばかりの、社会人一年目で、僕の働いている病院の売店で働いているみたいだ。
高校卒業するまでは2人で暮らしていたのだか、卒業してからは、1人暮らしをし始めた。
たまに遊びに来るけど、やっぱり寂しい…
「兄貴~遊びに来たよ」
「輝!!久しぶり」2ヶ月ぶりくらいかな?輝が遊びに来た。
「今日は泊まっていい?」
「うん。明日仕事休みだからいいよ!」
「じゃあおじゃましま~す」
輝が来ると、家の中はわいわいがやがや…
「輝、お茶注ぐね」そう言って僕はコップにお茶を注いだ。
それを輝がリビングまで持って行こうとしたが、
ガシャンと音がして、コップが割れてしまった。
「うわっ兄貴ごめん」
「ううん。輝怪我してない?」
「大丈夫」
「じゃあ僕がコップ片づけるからさ、輝は新しいコップ持って来てくれる?」
「分かった。本当ごめんな、兄貴…」そう言いながら、輝は台所に向かった。
僕が片づけ終わっても、輝はなかなかリビングに来なかった。
「ひか~?」そう言いながら台所に行くと、輝が必死にコップを取ろうとしていた。
コップの位置は、ちょうど輝の目の高さ。普通に取れる所にあった。
「輝、何してるの?」そう言いながら僕はコップを取った。
「兄貴、腕が上がんない。肩から上に…」
「本当に?」
「うん…」輝は泣きそうな顔をしていた。
「明日病院行こうか。検査してみよう?」僕には思い当たる病名があった。
それでなければいい話だけど…
「うん…」輝は不安そうに首を縦に振った。




