50話 ドラゴンズパーティー
本編50話突破です。これからも頑張ります。
「起きろ貴様ら。揃いも揃って寝坊助だな」
「んえ?誰?」
乱暴に起こされるが、エルの声ではない。というか全員寝てたっぽい。
部屋の中央には、私達の布団を剥ぎ取るカロロがいた。
「何であんたがここに?」
盗られた布団を手繰り寄せるが、またすぐに持ってかれる。
「試験内容を思い付いたから、連絡に来たぞ」
「何も朝っぱらからこなくても……」
安眠妨害反対。
「もういい時間なんだ。レンファも起きろ。寝ぼけて私を燃やそうとするんじゃない」
外を見ると、既に太陽は大分上がっていた。エルも寝坊したか、これは。
「えーっと、朝御飯食べていきます?」
「いらん。むしろ昼の飯をご馳走してほしいくらいだ。とにかくさっさとギルドに来い、試験引き伸ばすぞ」
エルの誘いを断り、カロロは一瞬で部屋から消えた。いや、最初から残像だったのかもしれない。
「ま、のんびりしてから行こうか」
「話聞いてました?」
レンファもまだ寝てるし、急ぐことはないよ、多分。
じゃあ二度寝でも……
「早く来いと言ってるだろうが」
流石に許されなかったか。
「ぐっはぁ!?」
鳩尾に一撃をくらい、私は目を覚ました。
「で、試験内容は?」
「慌てるな。説明する」
あの後四十秒で支度をし、急いでギルドに来たらこれだ。慌てさせたのはそっちだろうに。
「まず、お前達はダンジョンというものを知っているか?」
「少し」「話だけは」「忘れた」
「……何らかの理由で発生する、迷宮のことだ」
順番に答えると、カロロは呆れた顔で説明を始めた。
「その理由は様々だが、大抵は強い魔力を持った魔物が原因だ。強すぎると周りの地形、及びモンスターにまで影響を及ぼすからな」
「つまり強敵なのは確定か」
「そういうことだ」
嫌な予感がする。
「何で今その話を?」
答えは分かりきってるが、一応確認する。
「近くの山にダンジョンが発生した。試験内容は……もう分かるな?」
「山ごと吹っ飛ばせばいいんだな。よし任せろ!」
「ダンジョンを攻略して原因を絶ち、山を元に戻せ。それが出来たら合格とする」
ダンジョン攻略……。ゲームっぽくなってきたな。
正直エルなら山ごと吹っ飛ばせるが、ダンジョンなんてわくわくする響きじゃないか。
「ダンジョン……あの、それは私一人で?」
「安心しろ、そこの二人の同行も許可する。これはまだ正式なクエストではないため、ランクが違っても問題ない」
エルがほっとするが、私にも嬉しいことだな。ダンジョン何てもんに入れるとは。
「んで、情報とか無いのか?有ったらくれよ」
「調査などしていない。お前達なら最悪逃げられるだろ」
「カロロって、私達のことには雑だよね」
強い奴ってのは弱い人の気持ちが分からないらしいが、事実だったとは。
「一応、ダンジョンから出てきたと思われる周辺のモンスター情報は渡しておく。原因が何なのか不明だが、心配はいらないと信じておく」
「そんな信頼いらない」
ようは丸投げじゃないか。
「……とにかく、内容を変更するつもりは無い。文句も受付ない。さっさと解決してこい」
「理不尽ー。資金援助は?」
「あるわけないだろ」
情けも慈悲も無いが、エルとレンファは張り切っているようだ。
「私、頑張りますね!ダンジョンなんて腕が鳴ります!」
「おお、その意気だ!あたし達もいるから何も心配いらねえからな!だろ、キリル?」
「ま、そうだね。正直楽しみだ」
ダンジョン攻略のノウハウなんざ知らないが、やってやろうじゃないか。
キリル「龍人族が三人か」
エル「過剰戦力な気が」




