43話 手っ取り早く
キリルのキャライメージは”悪党”です。
ヒャッハーなモヒカンと同じです。
「ランクが一向に上がりません……」
「エルは気が早いね」
ギルドの一角、私の前でエルが項垂れている。
何でもCからBに上がるのに苦労しているとか。
いや、私だって3ヵ月くらい掛かったんだぞ?しかも偶然反骨竜を倒したからで、正攻法ならもっと大変なのに。
「これじゃあキリルさんが先にAランクになってしまいそうな……」
「それはないよ。セレスもB上位になってそこそこ経つらしいけど、Aまでは程遠いらしいし」
ランクの格差が酷い。まともにやったら何年くらいだ、これ?
「キリルさんとパーティーが組めない……絶望です」
エルのテンションが下がり過ぎて怖い。そんなに拘る程かぁ?
レイドクエストとか、ランク関係無い奴もあるけどあまり機会は無い。
……しょうがない、エルのためだ。あれを教えてやろう。
「すぐにランクを上げる方法があるよ」
「あるんですか!?ぜひ、ぜひ!」
予想外の食い付きっぷりだ。
「裏技でもなく、公的なやり方だから確実だよ。そのためにはギルド本部に行かなきゃいけないけど……」
「分かりました!早速準備しましょう!」
「話を聞けい!」
せっかちなエルの額にデコピンをぶちこむ。
強めにやったからか、エルは2メートルほど後方に飛んでいった。
「ちんたらしている暇は無いんですよ!?」
「あるから!大人しくしろ、もう!」
「で、その方法とは?」
ジュースを飲んで落ち着いたところで、改めて説明。
「ギルド本部には昇格試験ってのがあってね。それに合格したらランクが上がるんだよ」
「おお、まともだ……」
最初からそう言ってんじゃん。
昇格試験というのは、いわば特例だ。
普通にランクを上げていこうとしても、時間がかかる。それは徐々に強くしていき、クエストの内容も実力に合わせるためだが、最初から強い人もいる。
そんな人が一からやる必要は無い、強いんだから優遇してもいいじゃない。
そんな主旨で出来たのが昇格試験だ。
更に言うと、ギルドは国営であり、国から要請がある時がある。
その時に少しでも戦力を増やすために、実力がある人を発見しやすくするという目的もある。
能ある鷹は爪隠すと言うが、好んで隠れるような奇特な奴はそういないしな。あ、私か。
「内容はちょっときついらしいけど、エルならいけるでしょ。つーかその為の制度だし」
「行かない手はありませんね、ギルド本部はどこに?」
やる気で何より。
「隣町のガルムルク。工業都市の」
「意外と近いですね」
馬車で3時間くらいのところだ。
森を抜ける必要があるから、生身ではちときついとか。私達なら関係無いが、なるべく楽したい。馬車って乗ってみたいし。
「キリルさんは行ったことあるんですか?ガルムルク」
「何度かねー。徒歩だけど」
馬車代なんて無かったからなぁ。しかも龍化すると目立つから人の姿だから、かなり歩いたもんだ。モンスターも出るからなお面倒くさい。
「行くんだったら、馬車代を稼がないとね」
「クエスト選んできます!よし、やるぞー!」
あー、しばらく贅沢できないかー。
因みにキリルはエルの気持ちに気づいてません。変わってるなー、程度の認識です。




