おまけ 勇者とカイトの町
勇者視点による今回のダイジェストです。
淡々としてます。
仲間と旅を続け半月。
東の港町、カイトにやって来た。
町に着いたら、いつもの様にお祭り騒ぎになっていた。
何度か魔王軍と戦ったことがあるとはいえ、俺達はまだ何もしていない。
それなのにいつも囃し立てられるが、拒むことはできない。
俺達は、人界の希望なんだから。
町のことは、老紳士のような町長に案内してもらった。
俺達が来ていることを抜きにしても、雰囲気の明るい町だと思う。
ティアラは毎度のように楽しそうだ。外の世界を見たことが無いらしいから、どこに行っても目を輝かせている。
逆にアーシアは落ち着いている。
この冷静さが頼りになるけども、たまにははしゃいでいる姿も見てみたい。
後、ハーフエルフであることを隠さなくてもいいのかと聞いたら、どうせ見た目じゃ分からないし、言いたい奴には言わせておけばいい。と言っていた。
本人が気にしなくなったのなら、俺としては嬉しい。
しかし、裏路地まで案内されるとは思わなかったな。
前の町でも、もちろん王都でもそこは無いものとして扱ってたのに。
町長は浮浪者なんて冒険者と変わらない、と言っていた。大物なんだろうか。
そんな感じで観光……じゃなくて視察をしていたら、突如警報が鳴った。
魔王軍め、こんなところまで攻めてくるとは。
俺は冒険者と共に、森で迎え撃つことにした。
魔王軍との戦いは、結論からいうと楽勝だった。
数では劣っていたが、森に慣れている冒険者達は難なく敵を倒していった。
中でもある聖騎士はとても強かった。
今の俺ではまず勝てないだろう、そう思えるほどだ。
こんな気持ちはあの時出会った暗殺者の女の人以来だ。
……もしかしたらこの町にいるかもと期待したが、そんなに都合良くいかないか。
結局、こちら側に死者は出なかった。
ティアラによると腕のいい暗殺者がいたかららしいが、まさかなぁ。
とにかく、町は守れたんだ。良かった良かった。
でも、何だろうか。まだ嫌な気配があるように思える。
もしかして、別の部隊がいるんじゃないだろうか。
俺は皆を急かし、急いでカイトに戻った。
……が、カイトは何事も無く平和だった。
どうやら杞憂だったらしい。少し腑に落ちないが、何も無いならその方がいい。
いつの間にか、嫌な気配もしなくなっている。俺の勘は当たるほうなんだが、今回は外れたか。
そういえば仲間が見当たらない、と言っていた冒険者がいたな。獣人族と、エルフの二人だったか。
明日になっても帰ってこなかったら捜索するらしいから、その時には俺も協力しよう。
よくいなくなる仲間らしいが、戦いがあったからな。万が一もある。
それでも直ぐに探さないのは、信頼してるんだろう。必ず生きているって。
この町には後三日ほどいる予定だったが、魔王軍の襲撃があったから早めに出るかもしれない。
一刻も早く強くならないとな。
魔王を倒し、平和を取り戻すんだ。仲間と共に。
たまにこんなのを投稿するつもりです。
やっぱりキリル視点の方がいいですね、作者的には。




