24話 本筋、邂逅
前回のあらすじ
ある日森の中、勇者さんに出会った。
「やだよ。寝言は寝て言え」
「手厳しいですね‥.‥.」
勇者とかふざけたことを言うからだ。
だれが好き好んで魔王討伐なんてするか。
‥.‥.つーか、勇者かぁ。半月前に王都を出たって聞いたけど、こんな所にいたのか。
確か修行の旅で人界を回ってるんだったか?
「シーザーだっけ?あんたほんとに勇者なの?」
「あ、はい。俺が勇者のシーザーです。この二人は俺の仲間で、クレリックのティアラと、ランサーのアーシアです」
「ティアラです。助けて頂き、ありがとうございます」
「アーシアよ。さっきはシーザーが失礼したわね」
勇者に続き、女二人も挨拶をしてくる。
ランサーの方は‥.‥.耳が尖ってるな。エルフか?
いや、魔力の流れがセレスとは違う‥.‥.ってことは、ハーフエルフか?
迫害種族が仲間とは、いかにも理由ありだな。
そんでもう一人は、潜在魔力が桁違いだ。明らかに人間じゃない。
どうやら勇者様は、主人公らしく厄介者を引き連れて冒険しているようだ。
そんな面倒なパーティーに入れと?ないない、あり得ない。
私の平穏を守るためにも、この誘いは断るしかない。
「それで、あなたは?見たところ冒険者のようですが‥.‥.」
「ん?あー、そうだけど。この森にはクエストで来てね。たまたまあんた達を見つけて、危なそうだったから助けたってわけ。はい、説明終わり。あんた達も魔王討伐、頑張ってねー」
早口で言い終わり、手を振って帰る旨を伝える。
この三人は常識がありそうだし、無理に引き込もうとはしないだろう。
私が協力する気が無いのが分かり、勇者一行は沈んだ顔をする。
やめろよー、女の子にそんな顔させたくないんだけど。
「あのっ‥.‥.!せめて名前だけでも‥.‥. 」
「勇者様に名乗れるような者でもないんでね。それじゃあ、失礼するよ」
隠密を使い、颯爽とその場から消える。
勇者と会うなんて予想もしなかったが、接触は最低限にできたと思う。
‥.‥.つーか、別に助けなくても勇者補正でどうにかなったんじゃなかろうか‥.‥.。
*****
魔王討伐、頑張って
あの人はそう言い、俺達の前から姿を消した。
多分隠密スキルなんだろうが、一瞬で見えなくなるなんて‥.‥.。
「何者だったんだろう、あの人‥.‥.。B級って言ってたけど、私達より強かったよね‥.‥.」
ティアラも、実力差を実感している。
「そうね‥.‥.あの蠍を苦もなく倒しちゃうなんて、余程の強者よ。仲間に出来なかったのが残念だわ」
「そう言うなよアーシア。無理矢理付き合わせるわけにもいかないんだしさ」
今までも魔王討伐の仲間を募ったことはあるが、皆断られた。
危険なことだし、こちらも無理強いはできない。
「さ、早く次の町に行こうぜ。ここも安全だとは限らないしな」
俺達は、力を付けなきゃいけない。
人々のためにも、必ず魔王を討つんだ。
クレリックは、下級回復職です。
後にプリーストになることができます。




