13話 Bランクとペット探し
短めです
ガダの森。
カイトの隣にあるこの森で、私達は例のペット、レッドサラマンダーのポチを探していた。
「おーい、ポチやーい」
「ポチちゃーん、でておいでー。ほら、美味しいおやつもあるよー」
ミーアと一緒に、大声で呼び掛ける。
森の方に行ったのは依頼で確認済みなので、ここにいるのは間違いないはずだ。
だからこうやって捜索しているのだが‥.
「ポチちゃん、出てこないね」
「怖がってるのかもね。ほら、セレスがさっきから怖い顔してるし。ていうか、どうしたの?何でこっち睨んでんの?」
すると、今まで黙っていたセレスが口を開く。
「‥.ねぇ、それで本当に出てくると思ってんの‥.?」
「思ってないよ?」
「え!?」
即答すると、何故かミーアが驚きの声をあげた。
「ど、どういうこと?キリルちゃんなら何か考えがあると思って私もやってたけど、そうじゃないの?」
考え?
「ごめん、無い。」
「ちょっとぉ!馬鹿正直にやってたよ!キリルちゃんってそんなに行き当たりばったりだっけ!?」
まずい、舞い上がってたな。
これで出てくれば楽だなとは思ってたけど。
取り敢えずミーアを宥めつつ、捜索方法を考える。
「いなくなったのは一昨日って書いてたわね。サラマンダー種はあまり速くないし、そう遠くへは行ってないはずよ」
「とっくに森のモンスターに食べられてたりして。その場合報酬はどうなんのかな」
「その可能性もあるけど‥.とにかく今は、見つけないと話にならないよ。」
と言ってもなあ。
「キリル、あんたここで暮らしてるんだから土地勘あるでしょ?サラマンダーが居そうなとこ知らない?」
居そうなとこねぇ‥.あ、あった。
「少し行ったら洞窟があるよ。確か暗いとこに住むんだったよね?そこに隠れてるかも」
じめじめしたそれなりに広い洞窟があったはずだ。
「あるのね。手がかりも無いし、行くわよ」
「これ、結構難しいクエストだよね‥.」
手頃だと思ったが、読みが外れたかなぁ。
「‥.で、着いたけども」
「いきなり突撃するんじゃないわよ。偵察はあんたの役目だからね」
わかってるわかってる。
明かりの魔道具で照らしながら、奥へと進む。
洞窟の中は涼しく、快適だ。
「敵感知には反応なし‥.静かだね」
「油断しないでね、感知は万能じゃないから」
「そうは言っても、索敵は私しかできないじゃん」
セレスの魔法にそんなのあったっけ?
「私だって似たようなことは出来るよ、『感覚強化』!」
ミーアが耳を立てて周りを探る。
そういえば獣人族は自分の身体能力を強化できるんだっけ。
「‥.うん、私も反応無し。まだ安全だね」
「一先ずこのままで行くわよ。何か出たらまず観察、いいわね?」
「「はーい」」
いつの間にかセレスが仕切ってるけど、これが一番安全か。
「‥.ん?反応が‥.結構沢山」
「こっちも聞こえるよ。群れだと思うけど‥.」
しばらく進んだ後で、壁の向こうに反応があった。
群れか‥.じゃあ違うかな
「一応確認はするわよ。ここを出ても他に目星付けてないんだから」
セレスの言葉に従い、私を先頭に様子を伺う。
するとそこには‥.‥.
レッドサラマンダーが大量にいた。
「どう?なんだった?」
ミーアが後ろから聞いてくる。
「いることにはいたかな。群れだけど」
正直相手はしたくない。
群れと聞いて、ミーアとセレスも覗きこむ。
「うわ、大量にいるわね。‥.でも目標はいなさそうね。余所者だからこの群れにいるわけ‥.」
セレスが言葉に詰まる。え、何?
「‥.探してるポチって、目印あったわよね」
「ああ、確か頭に特徴的な模様があるとか‥.まさか」
恐る恐る、サラマンダーの頭を確認する。
すると一匹、頭に炎のような模様が付いた奴がいた。
「‥.もしかして、あれ?」
‥.こいつはとんだクエストになりそうだ。




