12話 Bランクとパーティー
私がBランクになった次の日。
ミーアとセレスにも報告し、祝いとしてご飯を奢ってもらっていた。
「いやーありがとね。今朝は何も食べてなくてさ、もう倒れるかと思ったよ」
昨夜は考え事をしていて、保存食が無いことを忘れていたのだ。
「朝からよく食べるわね‥.今日は遠慮しなくていいけど」
安心しろ、いつも遠慮はしていない。
「朝御飯の奢りで済ませるのは味気ないし、夜にはちゃんとお祝いするからね!」
ミーアは優しいなぁ、二食もご馳走してくれるなんて。
「ランクが上がったのはいいとして、熟練度はどうなったのよ。大体Bランクのうちに上級職になるもんだけど」
どうだったか、最近疎かになってたしなぁ。
登録証を取りだし、確認する。
「んーと、21だって。まだ半分はあるね」
「ましにはなったけど、まだまだね」
うっさい、こっちも色々あったんだ。
「わ、私もまだだし焦らなくていいよ。それに上級職になってもスキルが優遇されるぐらいで、実力は変わらないんだから」
分かってるけど、なんか悔しい。セレスは上級職だし‥.
「‥.セレスの職業って何だっけ」
「何で知らないのよ‥.ソーサラーよ、ウィザードの上級職。覚えなさいよ?」
ウィザードは基本の魔法職で、ジョブチェンジ先が多い。ソーサラーは普通の魔法使いとは少し違うらしいが、傍目から見たら一緒だ。
「ミーアは戦士だよね」
「うん。もうちょっとで上級職になれるんだよ」
「そっちは覚えてるのね‥.」
戦士は多様な武器を使いこなし、魔法以外ならお手の物な万能職だ。前衛でも後衛でもいける。
そして私は‥.
「あれ、暗殺者の上級職ってなんだ?」
「あんたは登録証で見れるでしょ!」
登録証で転職可能な職を見てみる‥.が
「狂戦士になれるんだけど」
「やっぱり適性あるんだ‥.」
「で、パーティー組むんでしょ?」
「そうだね!せっかく同じランクになったんだから!」
「うん、というかそれが本題だった」
ご飯を食べ終わり、私達はパーティーとして初のクエストを探すことにした。
「パーティーって言っても、登録とか無いよね」
「ええ、一緒にクエストを受けるってだけね」
「自分でパーティー名決めてる人達もいるけどね。一部のSランク冒険者はパーティーだったらしいし」
それは一人一人がSランクの実力を持っているということか?だったら反則過ぎだな。
「で、どのクエストにするの?あんたはともかくミーアとも組んだこと無いから、連携は難しいわよ」
「手頃なのかぁ‥.弱すぎるのも駄目だよね。キリルちゃん、何にする?」
私も探してみる。
報酬がうまくて、そこそこな難易度の奴は‥.
「これどう?迷子のペット探し。報酬高いよ」
私が選んだのは、ある商家からの依頼だった。
「ペット探し?地味すぎじゃ‥.え、ペットってレッドサラマンダー!?しかも依頼主けっこういいとこのじゃない!」
「それってそこそこ強かったような‥.大丈夫かなぁ」
レッドサラマンダーは、サラマンダー種の中でもメジャーなモンスターだ。
調教も楽な方なので、金持ちの変わり者はペットにしていたりする。
「強いのは群れの場合らしいし、逃げたのは一匹って書いてるから大丈夫だよ。じゃ、受注してくるね」
最後までセレスは渋っていたが、結局このクエストになった。
今思えば、このときの私は少しテンションが上がっていたのかもしれない。
「んじゃあ、出発!」
「頑張ろー!」
「流されちゃったけど、大丈夫、よね‥.?」
職業考えるの楽しいです